NOPE ノープのレビュー・感想・評価
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あまりにも多層的でバケモノのようなエンタメ。
初回にはストンと入ってこなかったチンパンジーとテーマパークのオーナー、デュープ(スティーヴン・ユアン)のエピソードが、二回目の鑑賞ではむしろこっちが本筋の人間ドラマのように感じられて、つくづく細かいところまで行き届いた脚本だと感心した。デュープは情けなくて可笑しくて、哀しくて可愛い。
また、見るものと見られるものの関係性、人種差別、ハリウッドの搾取の構造の批判と批評、テクノロジー面での映画史の読み直しなど、テーマは実に多層的で、それでいてとことんバカげた痛快ジャンル映画になっているのも素晴らしい。
そしてフルサイズのIMAX仕様という日本に2館しかないIMAXレーザーGT案件であり、バカでかいスクリーンに視線を縦横無尽に走らせる楽しさを久々に味わった。一方で、通常のワイドスクリーンの劇場でも観てみたら、それはそれで構図がみごとに決まっていて、従来の映画の安定感を堪能することができた。
フルサイズのIMAXとワイドスクリーンの映画が、上位下位や優劣の違いではなく、表現そのものが別物であることを改めて教えてくれるという意味でも、非常に有意義な作品だと思っている。
前2作に比べてスケールを増した異様な手触りと発想力が楽しい
ホラーと他ジャンルとの間の壁を融解し、そこに鋭い社会批評眼に満ちた暗喩を絡ませてくるジョーダン・ピール作品。「空に何かがいる!」という直感的な発想と共に始まる本作は、前2作で常連だった製作者ジェイソン・ブラムの名が消え、撮影にはスケールの大きな作品を得意とするホイテ・ヴァン・ホイテマが加わっている点でいつもとやや趣きが違う。『ジョーズ』の海洋や『トレマーズ』の地中を丸ごと「空」へと置き換えたかのような恐怖の展開があり、所どころに『未知との遭遇』の影響も見え隠れする。それでいて映画史の1ページ目からずっとこの業界に携わってきた「動物」や「調教師」に関する視座を据えることで、奇妙な手触りが生まれている。さらには「西部劇」という要素も顔を覗かせるが、彼らがshootするのはライフルではなく、あくまでカメラなのが面白いところ。前2作ほどの鋭さはないが、今回も特異な語り口で観客を惹き込んでやまない。
古典的なのに新しい
本当はもっと深いはず!…でもどうにもわからない。
本当はもっと深く、わかりやすく、色々詰め込みたかったのだろう。それでも何とか2時間超にまとめました感。鑑賞者からするとただただ冗長で、どうにも脚本がまとめきれていない。
ストーリーの軸をOJにするのか、ジュープにするのか、煮え切らないストーリーの展開。ゴーディの件は重要でインパクトは強かったにも関わらず、自身の理解力不足で全く読み解く事が出来ず。あとで回収する伏線と思って観ていても、答えも抽象的で分からなかった。
後日ゆっくりとネットでネタバレ解説を見るとしても、ラストまで通して観て、伏線なのかメッセージなのかを鑑賞者が判断出来ないのは致命的。最後まで解説の無い場面は想像で補完するしかなく、結果モヤモヤ。
それぞれにわかりやすい対比があれば、と思う。
UFOという視点から大きく意表を突いてきたのは好評価。そこから特性を見つけてやっつける流れも、(呆気なかったけど)素晴らしく良かった。ホルストの行動も、終盤の乱入者も、物語に何の意味があったのかはわからなかったが、個人的には最後まで飲み込み難い作品だった。
ここまでメッセージ性の強い映画で、伏線がほぼ理解しきれない感想は初めてかもしれない。数年後、自身の理解力が向上している事を期待して、また本作を鑑賞してみたい。
お猿さんとお馬さん
ホラー?社会風刺?ちょっと物足りない
SFとホラーの融合?それが“そこそこ”面白かったです。
誰にも感情移入できない。。。
見せないで魅せる前半
前半、挫折しそうも対比が効いての後半はアゲアゲ。
その理由を、昨今メジャーなCGバキバキのモロ見せSFへのアンチテーゼでは、と考える。
抜きで恐怖とサスペンスをあおる山場までは、
映画創成期を思わせる「見せないで魅せる」恐怖の連続だ。
CGをなるべく排した、オーソドックスかつ古き手法が退屈に感じさせたのかもしれない。
だが気づいてからは知恵と工夫の作り込みに、驚かされもする。
(実際、牡丹灯籠さながら「見てはいけない」がキーにもなっている)
映画撮影のシーンや「最初の映画」のくだり、手回しIMAX、撮り魂オヤジ。
映画つくりへのオマージュが感じられるところもまた、
アンチテーゼを思う理由にもなった。
また直接的な暴力シーンがほぼ皆無である。
しかしながらありったけ詰め込まれた暴力性は特筆すべきではなかろうか。
バイクの横滑り停止シーンでは、思わず「アキラー!」と叫んでしまったw
絶対、わざとだよね。
作りこまれたホラーパニックシュールアクション映画
評論子には刺さらなかったけど…
映画っていうのは、なんの映画でもそうなのですけれども。
いわゆる知的思考の生産物なのですから、映画というものは。
観客の側でも、その知的思考(価値観とか世界観とか)を作品に反映してしまうことは、やむを得ないことなのだと思います。評論子は。
そして、監督の知的思考と観客のそれとがビッタリと当てはまったときに、「この映画は面白かった」「あっという間のエンドロールだった」と、観客に「刺さる」のではないかと思います。
そういう点から言うと、残念ながら、評論子の場合は、本作のジョーダン・ピール監督の知的思考を、充分には咀嚼(そしゃく)できなかったのだろうと思います。
そんな、残念な評になってしまった今回のですけれども。
同監督の他作品を観て、また他の監督さんの手になるホラー映画というジャンルの(実は、評論子はあまり観ない分野の作品)を観ていくうちに、その醍醐味に気がつくようになるのかも知れません。
以上の次第で評論子には残念ながら「刺さらなかった」一本なのではありますけれども。
しかし、評論子の鑑賞能力にはまだまだ、まだまだ「伸びしろ」があることを教えてくれた一本として、良作の評価としておきたいと思います。
(いつの日にか、本作を秀作と評する日が来ることを期する意味で。)
(追記)
レビュアーたなかなかなかさんの「映画は未知のものを映し出すことにより、その真相を白日の元に晒す」という指摘には、言い得て妙というのか、「なるほど、そうだったんだ。」と、感心することしきりでした。
確かに、そのとおりだど思います。
映画は、ファンタジーを描いていた頃から、人々の願望や空想(理想)の中にあるものを描いて「白日の下に晒していた」わけですし、その後は社会の背後にある実相を隠すところなく描き出すことで「白日の下に晒してきた」とも言えると思います(いわゆるアメリカン・ニュー・シネマの潮流)。
(につかつロマンポルノが、世の男性諸氏が常日ごろ見たがっているものを「白日の下に晒す」から、下心ありありの野郎どもが大挙して、その系統の映画館に押しかけるという例を引くまでもなく。)
おかげさまで、これからも、その作品が「白日の下に晒す」真実や愛や哀しみや歓び、善や悪などを見つめながら、永く映画鑑賞を趣味としていけるとも、改めて実感しました。
本作についての的確なレビューて、そのことに思いを致してもらったことに、厚く感謝して、たなかなかなかさんのハンドルネームを記(しる)して、お礼に代えたいと思います。
ホラーということを忘れてたら大変なことになった件
待望の個人的・初ジョーダンピール監督作品の鑑賞。情報をシャットアウトしたフライヤーしか見たことなかったので、もう最初から最後まで惹かれっぱなし。ナニコレよ。そしてその清々しさ。映画の面白さをくすぐってくる、良いホラーだった。
だってほら、NOPE=無理!とか、いや!みたいなカジュアル英語って聞いていて。そこのリードに引っ張られすぎて、ホラーであることを割と忘れて観ていた。ただ、そんな怠惰な自分をすぐに殴ってくる。序盤からチンパンジーが荒らし、心をすり減らしてくる。話の輪郭を次第に映しつつ、コトの重大さを突き付けられたられた時にはもう…無理。
とはいえ、入口から想像もつかない出口にブワッと心が掴まれた。IMAXが出てくる意味や電動化における細やかな皮肉も感じる。ホラーのトーンをバイオレンスにもアンチテーゼにも触れるのは洋画ホラーの視点の上手さだなと思う。もはや、大人が追いかけている青春にさえ見えてくるのは、何なのか…。笑
情報を遮断することで出会える発見も多い。ジョーダンピール監督がホラーを撮ることをあまり意識していなかったからこその衝動もあったと思う。いやぁ、雨の日に観る『NOPE』駆られたなぁ…。
社会派SFホラーコメディ
逆走する発想
おもしろいけど…
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