ガザ 素顔の日常のレビュー・感想・評価
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この映画に映っている人々が今、苦しんでいる
ハマスとイスラエルの戦闘が激化している。ニュースでは日々、死者数という「数字」が報道されるが、その数字の向こうにはリアルな人々の生活と命がある。このドキュメンタリー映画は、ガザの人々の日常生活を捉えた作品だ。ガザという地名は「青空のある監獄」という言い方もあるように、悲惨な紛争の犠牲の代名詞ともなっているが、そこに暮らす市井の人々には笑顔もあり、将来の夢があり、愛のある家庭と生活がある。
しょっちゅう電気が止まる不安定な場所で仕事をする人々やタクシー運転手のおじさんなどの日常的光景と同じように若者がイスラエルに向けて投石をしている光景、さらには突然の空爆など、恐ろしい光景が写される。日常に紛争の火種が混在しているその光景は現代日本では見られないものだ。しかし、私たちと何ら変わらない少年たちの笑顔や大学進学を夢見る女性の顔もまたある。今、こういう人々の命が脅かされているのかと思うと心が引き裂かれる。ドキュメンタリー映画は、世界の人々との距離を縮めてくれる優れたツールだと再確認できる作品。
封鎖された町、ガザの真実がリアルに分かる貴重な1本
東京23区の6割ほどの面積に、200万人が暮らすパレスチナの町、ガザの人々の生活を追ったドキュメンタリー。「世界ふしぎ発見!」の気分で見始めたら、全然とんでもなくて、むしろ「クレイジージャーニー」じゃん!ってなった。陸上の国境は厳重に封鎖され、海上も、ビーチから5キロ地点にはイスラエル海軍が監視しているので、漁師も海岸から5キロ以内でしか漁ができないという……。強制鎖国状態、あるいはロックダウン状態の人々の不便な生活には同情を禁じ得ません。さらに、ガザ地区の人々のメンタルがビンビン伝わってきて心が揺さぶられます。この映画にしても、海外からのロケ隊は入れないので、相当な苦労を経て完成させたのだと想像できます。大変貴重な映画です。
一日も早い停戦を、パレスチナにガザに平和を・・
ニュースでは伝えきれないリアルなイスラエルとパレスチナの闘いの地ガザ。
戦争で指揮を取るものは何時でも安全な場所から、そして犠牲になるのはいつも国民。その中でも今回は子供たちが驚くほど多くて言葉も出ない。
イスラエル対パレスチナ、ユダヤ人対アラブ人。私の持つ知識では何度聞いても良く理解できない関係だが、映画の中での衝突の様子を観ていると憎しみが憎しみを生んでいて、パレスチナの若者たちの姿に言葉も出ない。
その地に暮らす人たちは、ただただ普通に暮らして行きたい。家族と愉しく暮らしたいと思っているだけなのに、何故いつまで命を無駄に奪い取る戦いを続けるのか。
この戦争の不条理さに腹立たしさと虚しさが入り混じって胸が苦しくなってしまう。
きれいごとと笑われても、武力よりも対話で和平の糸口を見つけてもらいたいと切に望みます。
ガザ。最近ニュースで頻繁にきく地名ですが、争いとは関係ない、一般庶...
ガザ。最近ニュースで頻繁にきく地名ですが、争いとは関係ない、一般庶民も大勢いて。
海辺で遊ぶ子供、カフェの店員、床屋、漁師 etc. 生活者目線は、日々の報道では知りえず。
仕事なり勉学なり育児なり、それぞれの役割に専念できる日々になりますように…。
かつては観光でも行ける旅先だったのですよね。
一方で、興味深かったことは、
床屋さんのエプロンが日本語まみれだったこととか、
"Habibi" アラビア語のラブソング、かつて個人でドバイ/バーレーン旅行中に聴いたものが、またここでも聴けたことに驚きました。
ドキュメンタリーというより映画
冒頭で、タクシードライバーが海岸沿いのドリンクスタンドで飲み物を買うときのやりとり、カメラワークと背景の音楽のかぶさり方が、ドキュメンタリーではなく製作映画の1シーンのようで、もしかしたらこれを製作した人は、当初は映画を作ろうとしたのかなと思った。
その違和感が最後まで後を引いて、途中の映像でも引っかかるところがいくつかあった。
海の波が画面を飲み込むように見える角度の撮影とか。
1日4時間しか電気が来ないという市民のカットの後で、夜の街で自家発電によるのか、電気をつけて音楽を流して踊る人々。
黒煙の上をドローンで撮影できたから見える光景とか。
廃墟の前でチェロを弾く女性とか。
東京と同じくらいの人口密度の土地で、15年以上封鎖状態に置かれたら若者の鬱屈が国境の壁に向かっていくのは想像にかたくない。
店での顧客とのやりとりや、怪我した若者の表情が、日常でも感情あらわでいることが彼らの表現方法になっていくのかなとも思う。ビズーを3,4回行う文化と関係しているのかもしれないが。
ガザが封鎖状態に置かれてどのように経済状態にあるのか、食料は、衣服は、ガザ地区内でどのように賄われていて、どれくらいが支援によているのか、を描いてほしいと思った。ガザ地区と呼ばれる10㎞x40㎞ほどのエリアと、その中のガザ市、の区別がわかりにくかったので、撮影場所の説明があった方がよかったと思う。
街の中の風景、中の難民キャンプと呼ばれる地区、それらを映像で見ることが出来たことには感謝。
“その先”が見えない辛さ
アメリカの属国である我が国では、ハマス=過激派、アラブ人=過激のイメージばかり先行してる感があるが、パレスチナ人の家族思いで社交的で情熱的な一面が知ることのできる一作。
検問所が閉鎖されているため、南北40キロ東西10キロのガザ以外にどこにも行けないガザ市民。
経済活動が停滞しているはずなのに不思議とフルーツや、煙草・コーヒーなど嗜好品は比較的手に入れやすいように見える。
どこから仕入れたのか、ガイ・フォークスの仮面を被ってイスラエル軍に投石している人もいた。
ガザの中にも格差は存在し、きらびやかな邸宅でファッションショーを開催する女性と大人数の兄弟と海でとれた小魚を貪る少年など、ガザの中にも明暗が浮かび上がる。vsイスラエルの映像だけではない、日常がこんなに長い時間観られるのは貴重だと思う。
観ながら、様々な疑問が渦巻く。
・ホロコーストを経験したユダヤ人たちが、同じようなことをアラブ人にしていることに対して何も感じていないのか。同じ問いを投げかけたら、一般的なイスラエル市民はどう答えるのか。
・イスラエルは最終的にはガザからパレスチナ人が出て行くまで、攻撃をやめないのか。
・ガザのパレスチナ人は今後自由になったとして、その先ユダヤ人とはどういう関係を築きたいのか…
映像からは不安の裏返しから少しでも明るく生きようとする人々と、行き場のない怒りから攻撃に転じ負傷する若者たちなどを描き、そこには何の解も見いだせない。
ただ、平和に日常を過ごしたいだけなんだ、という切々とした彼らの訴えが繰り返し強調される。
十字軍の時代から、一方的な西洋の聖地奪還という大義名分で戦禍の地になったパレスチナ地域。ww1時のイギリスの三枚舌による混乱、イスラエル建国で勝手に割譲されたパレスチナ。その土地に住む者のことなど全くかえりみられず、政治の駆け引きで苦しむのはいつも民間人だと毎度苦々しく思う。
理想論だが本当に平和を望むなら、イスラエル人もパレスチナ人も国民側が政権の煽る憎しみに煽られずに、戦争に加担せず、互いに共存しようと歩み寄ればいいのだが、二つの民族があの土地に縛られている以上、そんなことは起き得ないのだろう。全く、宗教というものが真に人を幸せに導いているのかというと、首を傾げるしかない。
第三者として、自分の国が戦争に巻き込まれても、私は絶対に加担せず負の連鎖を断ち切る努力をする側にたちたい。こんなことを書いていつつも、自分の書いたきれいごとに無力感を覚えるけれども。
偽善だろうとなんだろうと、とりあえず今困っている人を少しでも助けることはしたい。特に子供たちのため、少しだけども支援金がきちんと届いて欲しい。
歴史的背景への関心の高まりと今後の方向性への期待
各地で緊急上映会が開催されている。前に居住地域の映画サークルで『ガザの美容室』の上映を検討したときには、背景を理解するのが難しいと判断してみおくったけれど、今なら関心がかなり高まっているとは言えるであろう。
長閑な日常生活描写がしばらく続き、建物が破壊されたりして、何をしても怯えながら毎日の生活を続け、憤懣を投石や暴動で表現していく描写となり、ある女性は、暴力で立ち向かおうと思ったけれど、他の方法を考えたい、と言っていた。暴力の応酬を続けるのではなく、平和的解決の努力に期待を託すしかない。ハマスがロケット弾を使い始めたのはいつからのことなのかはわからなかった。
人間は進化してるのか
スクリーンに映るガザの美しい自然の風景や町並みと対象的に、ロケット弾を受けて廃墟になった町並みや傷付いた人や子供の姿が映し出され胸が傷んだ。
この世から戦争が無くならないのは、平和は金を生まないが、戦争は金を生むからだろうな。
封鎖という監獄
「 船長になる!」と瞳を輝かせ語る14歳の少年アフマド。砂浜に佇み海を眺めるのが好きだと語るチェロを奏でる女子大生カルマ。
次々と寄せる波の数キロ向こうの水域に入ると、イスラエル軍に捕えられるか、攻撃されてしまうという。
ただ、当たり前の日常を過ごしたい、その当たり前の願いが余りに切ない。
元JICAパレスチナ事務所長の成瀬猛さんが、ほぼ満席のキネマ旬報シアターにて登壇され、貴重なお話を伺う事が出来ました。
彼らの思い、彼らの置かれている状況を知り、日本政府として、人道的な立場での支援を続けて貰いたいとの成瀬さんのお話に深く共感したが、果たして自身に何が出来るのだろうか。スクリーンに映っていた彼らは、今どう過ごしているのだろう。
映画館での鑑賞
うん。ガザ地区可哀想ですね
ウクライナ可哀想ですね。
そうですね。
みなさんに一言御座います
第二次世界大戦まえも、第二次世界大戦あとも、
全ての国で紛争がなかった日はただの1度もありません。ただの1度もです。
知らないだけなのです。ニュースでやらないから。報道って何でしようね。ニュースって何でしようね。
知るって何でしようね。救いたいですか。救いたいですよね。皆さんが住んでいる町内。村の中に貧困に苦しむ人はいますか。難病の人はいなくても重病で苦しんでいる人はいますか。大怪我を負ってる人はいますか。同じ町内の人全員を貴方は救えますか。同じ職場で働くひと全員の人生を護れますか。または護る気がありますか。僕は地球全員の日常を救いたいですよ。気持ちはね。これからも僕は僕と家族の生活を第1優先で生活していくんでしょうね。こういう映画をソファーに腰掛けて間食を摂りながら感動して涙を流すんでしょう。これからも。
今から約4年前の「ガザ」
ドキュメンタリー映画「ガザ 素顔の日常」 大阪十三映画館「第七芸術劇場」にて 2023年11月7日
2019年との記載あり 今から約4年前の「ガザ」。
長さ40km 幅10kmほどの狭いエリアで暮らしている。ガザは「天井のない監獄」と呼ばれる。
日常があり、普通の人々が暮らしている。穏やかで美しい地中海に面しており、温暖気候、花やイチゴの名産地。サーフィンする若者や、ラッパー、妻が3人、子どもが40人いる老人など、平和で楽しい状況
しかし、ガザの住民の約7割が難民で貧困。2014年と2018年の戦争では、多数の学校、病院、家屋、発電所などが破壊された。それでもなお、力強く生きようとする住民たち。
チェロの音色で包まれている。
ハマース=パレスチナ人じゃない。
とにかく見てほしい。
緊急上映するミニシアターも出てきた模様。
今壊されているのは、こういう生活、この人達の命だ。
ガザの映画もそうだけど、イスラエルの映画も見てほしい。
普通に一緒に仲良く働いている所も出てきたりする。
どっちの市民も普通の生活を望んでいるだけだ。
ガザの日常 パレスチナ の人たちの暮らし
ここ数年、パレスチナ の風景を知ることができる映画が、劇映画もドキュメンタリーも増えてきて、パレスチナ やその人々に心を寄せる人には!現地の様子を垣間見ることができ感謝しかないとと思う。天井のない監獄ということばがまさに相応しい。僅かな細長い土地、片側は海、だか海にも繰り出すことができない。空も高く広がるがそこは爆撃機が往来するところ。パスポートも移動の自由も制限されているガザのパレスチナ 人にはうみも空も有限だ。
その中でも逞しくなんとか融通して生きている人たち。廃品で手作りしたボードやボートで遊ぶ少年たち。クラシック音楽を学びなにかをかえようもする学生。タクシーを運転しながら日々苦しくなる一方の暮らしを見つめる。海で漁をして警備隊に拿捕逮捕された息子を待つ家族、息子の帰還。ハマスの登場台頭によりパレスチナ への支援や思いが分散され散逸されたというようなことが述べられている。ISいわゆるイスラム国の登場により、難しい中東情勢や紛争の歴史においても、ある種わかりやすくアラブの大義という柱の下理解出来たことが根こそぎひっくり返されパレスチナ はどうなるのか危惧と不安しかない。ハマスのグリーンカラーのパレード、参加する多くの人々の表情は熱狂より憔悴や諦念、惰性にも見えるが日常の一コマなので僅かなシーンから読み取ることはできないだろう。帰還した漁師の息子を迎え祝うのはPFLPの旗。最近の情勢は勉強不足で分からないので率直な感想だけ。何も詳しいことを知らなくてもガザストリップに暮らす人々、大海を前に前にも後ろにも進めない暮らし、その中での連帯と助け合いと、鬱屈しこれ以上は耐えられないという状況を押し返し精一杯ぶつける石礫。報復の空爆や砲弾そして子どもも含めパレスチナ 人たちは倒れ負傷し障害をもち、この悪い循環が狭い土地で繰り返される。ほとんど寝ることと家に帰ることもできない救急救命士の男性、絶え間なく運び込まれる爆弾、空爆、あらゆるイスラエル軍の武器と暴力による負傷者の手当てをする。私たちは鉄の塊じゃない生身の人間だ、と語る温厚で熱意あふれる医療スタッフの彼、唇を噛んで顔を歪め本当はいいたくないけどつい漏れてしまった、
パレスチナ人以外の全ての人間に怒りを感じる
という苦渋の表情、言葉。全く無力な自分を恥じる。そして笑顔とユーモアと悲嘆と絶望のガザの人々を想う。
「素顔の日常」からにじみ出る絶望的な閉塞感
映画の題名や写真、予告編から、紛争地域というだけではない、ガザの普通の側面を紹介する、明るいドキュメンタリーと予想していた。
しかしそうではなく、具体的な事例を通じて、「素顔の日常」においてさえ、絶望的な閉塞感があることを伝える作品であった。
2007年から封鎖された国境に検問所は両端に2ヶ所しかなく、また、海は2009年から陸から5.5kmまでしか出ることができないので漁業もままならない。
パレスチナ難民全体では、1948年の「当初70万人だった難民」が、避難先で世代を重ねて「今や約560万人」らしいが、一夫多妻の子だくさん家庭が出てきて、そりゃ増えるなあと思った。
燃料不足も深刻で、仕立屋は困り果てる。
笑顔のタクシー運転手も、実は借財を背負っている。
タイヤを燃やし、フェンス越しに物を投げる暴動。
イスラエル兵に撃たれ、障害者となった若者は、溜まった思いをラップに歌う。
本作の出だしは、6~7人を中心にした通常のインタビュー映像で構成されていたが、後半になるにつれ、そういう整然とした枠には収まらなくなっていく。
緑一色に染まった、イスラム武装組織ハマス(公安調査庁HP)の集会の映像は、もっと観たかったが映画のテーマに合わないのか、すぐに終わってしまったのは残念だった。
大規模な戦闘があった2014年から5年くらいの映像のようだが、映像がいつどこでという情報には乏しい。しかし世界から忘れ去られて、いつまで経っても閉塞状況は変わらないのだから、同じことなのかもしれない。
夜遅い上映であったが、観に行く価値のあったドキュメンタリー作品だった。
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