ノースマン 導かれし復讐者のレビュー・感想・評価
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今週の本命にはなると思うけど、かなりの知識が要求されるので注意…。
今年29本目(合計682本目/今月(2023年1月度)29本目)。
この映画、ひとつの分野だけでなく、かなりの分野の知識が総合的に問われる、「総合的理解」が一つのカギになるかな…といったところです。そもそもが作話の範囲だからです。ただ多くの方が書かれているように、「北欧神話のあらすじ」「当時のイギリスと騎士等はどう扱われていたか」等の知識がないと結構厳しいです。特に前者、神話に関することは、映画では結構詳しく出てきます。何かしらファンタジーRPGをやっているかどうか、だけでもかなり違います。
出てくる字幕も実にマニアで、聞いたこともないような単語がいくつか出てきます。英語を聞き取るしかないですが、普通に英検1級、準1級レベルの単語の話をするので結構きついです。
少なからずの方が「量が多すぎて何がなんだか…」という字幕で押されてしまったのではないかな…といったところです。それはある程度想定できそうな気がします。かといって、私がいつも書くように「最低限これだけ」というのだっていっぱいありすぎるし…。せめて、何でもいいので「北欧神話入門編」くらいなものを読んでいるかいないかだけでもかなり違う印象かな、と思います。
規模的にも今週の本命作になることは間違いないと思いますが、一方で理解の難しい映画であることも事実です。いろいろな知識を要求される「知的な枠」として数回見ることが想定されているのかな…と思うくらいです。
日本で一般的に暮らしている方だと、程度の差はあれ、あの映画を完全に理解しきろうと思うと無理がくるし、どこかではつまります。それを埋めるのは字幕の聞き取りなどになりますが、そこも難しい(英検1級レベルの単語ばっかり出てくる…)という特殊な映画です。
ただ、日本に「忖度」することなく、母国語でバリバリ、「当地としては常識扱いなのだろう」とも思える映画を作ったのは良かったなと思います。そしてこれに低評価をつけた方は、「なるほど、そういうことが映画の裏にあるのか」ということを学ぶ、そういた「正の連鎖」があると良いな、といつも思っているところです。
減点に関してはとくに見いだせないのでフルスコアにしています。
ロバート・エガース節炸裂
ずっと音が鳴り続けていた映画
ハムレットとニーベルンゲンの指輪とベンハーとミッド・サマーとマクベスが混交した北欧神話だったのか?出演俳優を楽しみにしていた。アニヤとイーサン・ホークはわかりました。ビョークとウィレム・デフォー、わからなかったー!
おまけ
評価と全く関係なく思ったのですが、この映画を子どもと一緒に見たらどうなんだろうかなあと思いました。というのは怖かったり残酷な場面が多かったからです。日本でこの映画はPG12(12才未満は親など大人の助言が必要な映画ー大人の同伴が必要か不要かは知らないです)、ドイツではFSK16(見ていいのは16才以上)です。映画のレイティングシステムの基準や成立背景は国によって異なるので一括りにはできないとは思います。
昔、「ロード・オブ・ザ・リング」が流行っていたとき、日本では何歳の子どもも見ることができるのでドイツ人がとても驚いていたのを思い出しました。殺戮シーンなど残酷な場面がある映画はドイツでは子どもに見せてはならないんだよと聞いてびっくりしました。「ロード・オブ・ザ・リング」のドイツでの年齢設定を調べたら、FSK12、extended editionはFSK16となってました。
一方で、原作小説の『指輪物語』はドイツでとても人気があってよく読まれていたから、大人のドイツ人にとって映画化はすごく嬉しそうだったことも思い出しました。
期待した程ではなかった
"大鴉王"
この手のジャンル、娯楽作に突き進んだかと思いきやイメージしていたようなアクションなど派手な戦闘シーン的なモノは控え目にロバート・エガースの前二作から引き継がれている世界観みたいなどんよりした暗い雰囲気など映像美が際立つ、単純に復讐する男の物語が在りがちに思える中で知的な要素が含まれている場面や演出の数々。
もはや顔芸がピカイチなデフォーやアニャ・テイラー=ジョイのお尻、アイスランド繋がりからのビョーク、逞しくて薄情なニコール・キッドマン、ラストの決闘シーンは『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』でのオビ=ワンとアナキンの闘いみたいは気のせいか!?
一瞬、毛色を変えた方向に舵を切ったようで不安に思えたがロバート・エガースは変わらなかった、思い出せる限り『ヴァルハラ・ライジング』を撮ったレフンやポール・バーホーベンは『グレート・ウォリアーズ/欲望の剣』をジョン・ミリアスは『コナン・ザ・グレート』な訳で、ロバート・エガースの次回作は現代劇を期待したい。
アイスランドの温泉にホッコリ
こういう映画をどうしても作ってみたかった❗️
そして、本当に作っちゃった‼️
そういう意気込みで作り上げた世界観なのだろうということがヒシヒシと伝わってきます。
でも、想像してたよりは〝軽い〟のです。
ダークかどうかはともかく、ファンタジーの割りに背負ってるものが薄い。ニコールママの種明かしも単なる〝説明〟なので、イーサンパパの実像の真偽についてさほど懊悩(本当なのか、だとしたら俺はどうすべきなんだ?)することもなく、じゃあ、そんなことにウジウジするくらいなら未来志向で明るくいこうぜ‼️ともならない(せっかくアニヤ姉さんが未来志向でやり直そう、みたいなことを言ってくれたのに)。
時折(都合よく)出てくる予言者的巫女のイメージだけで宿命とか運命を匂わせる演出も少しくどかった。
この映画で一番ホッとしたのは、二人で小さな温泉に浸かったところ。
だって、ずーっと寒そうだったし、寒いけれども汗臭そうだったし。
不思議なことに、似たような風貌だった『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルンには、お風呂入って欲しい、と一度も思わなかったんだけどなぁ。あ、でもギブリには思ってたかも😆
『テルマエ・ロマエ』でご存知の通り、古代ローマ人は今もヨーロッパ各地に残る水道橋などから常時、清潔な水を引き(トレビの泉だって元々は初代皇帝のアウグストゥスの時代に作られたのが起源…今もその時の水道から供給されているのかどうかは確認してませんが)、衛生環境の整備にも抜かりなく、お風呂好きで有名です。お風呂の中にも数人並べる穴あきのベンチがあり、排泄物の落下する場所にも水が流れていたそうで、これが洋式便座の始まり(と、どこかで読んだ記憶があります)。
帝国滅亡後は、キリスト教の影響(裸は欲情をそそるからダメ❗️みたいなこと)などもあり、お風呂文化は廃れていきましたが、そのせいばかりでは無いにしろ、中世ヨーロッパには、〝不潔〟なイメージが強い。だから、臭いを誤魔化すために香水が発達した⁈という説もあるくらい。
それで映画ですが、製作陣の熱意に比べると、娯楽作品としての出来は少し残念な印象です。
面白かったが、、
生々しい
神経を逆撫でするような生々しい映像に圧倒される
人間の原初的な部分をえぐり出すかのような、生々しくて、荒々しい映像に圧倒される。
人と獣の境界線や、文明と自然の境界線が、まだ曖昧だった頃の物語であるということが、スクリーンから、肌感覚で伝わってくるのである。
荒削りで、洗練されていないアクションが、逆に良い「味」になっているし、神話的な要素や超自然的な描写も散りばめられていて、ファタジーやホラーの味わいも楽しめる。
極めてシンプルな復讐の物語ではあるが、主人公の目的が、父親の仇を討つことから、産まれてくる子孫を守ることに変質するところも面白い。
ただ、復讐の相手である叔父を殺すチャンスは何度もあったはずなのに、なかなか本懐を遂げられないところにはフラストレーションがたまるし、話がもたついた感じになってしまったのは惜しまれる。
もう少しテンポがよければ、復讐のカタルシスも増したのではないだろうか?
これぞ本家だ、北欧版地塗れハムレット!! 復讐に彩られた亡国の王子の人生の咆哮と魔女の微笑...これぞ本当の貴種流離譚映画
噂に違わぬ骨太で血みどろな北欧神話譚!
"父王を叔父君に誅殺され母を奪われた王子が漂流の末に復讐を果たす"というまさしく『ハムレット』的な貴種流離譚がその本筋なのですが、そのモデルとされるスカンディナヴィアの伝説上の人物アムレートを主人公に、より物語の出自に沿った北欧神話的な純然たる暴力と峻厳な自然を背景としたダークファンタジーに仕上がっており、『ハムレット』の抒情たっぷりで"女々しい(誤解を恐れずに言えば)"部分を排した徹頭徹尾猛々しい復讐の物語にリビルドされています。
『ハムレット』はどうにも甘ったるくて…と感じている方々、幼少期に慣れ親しんだ『小さなバイキング ビッケ』から転じてバイキングの勇躍に惹かれる、そしてシュワちゃんの『コナン・ザ・グレート』やジェイソン・モモアの『コナン・ザ・バーバリアン』の野性味に打たれた方々ぜひ、というところ。
同監督の過去二作品とも人心の醜悪さや超自然的な事象に対する得体の知れない恐怖を鬻ぐ展開が高く評価されており、本作でもその手法は踏襲されつつもさらにアクション(それも多分にバイオレンスな)にロマンスという娯楽要素が加わり、製作者として一気にマジョリティーを獲得した感があります。
史実を背景としたリアリティーとケレン味を利かせたオーバー表現との間のバランスにやや迷いは感じられましたが、今後の彼の監督作品については職人としてよりどちらかに振り切った趣向が企図されるかと思うと、本作でのこの混然一体とした独特の妙味はなかなかに貴重かもしれません。それがゆえにオフトーンにも荒唐無稽にもなり過ぎず、独自の空気感が漲っているように思いました。
ツェッペリンが脳内でリフレイン
北欧のヴァイキング神話を主軸とした、父を殺された子の復讐譚という事で、『コナン・ザ・グレート』っぽいストーリーかと思っていたら、案の定その通りだった。というか監督のロバート・エガース自身も影響を受けたと公言していたようなので、実に分かりやすいというか。戯曲っぽいセリフ回しからもシェークスピア劇、特に『ハムレット』を下地にしたのだろうし、『グラディエーター』要素もチラホラ。
『ターザン:REBORN』でもムキムキぶりをアピールしていたアレクサンダー・スカルスガルドだが、本作は『コナン』のシュワちゃんを彷彿とさせるボディが説得力十分。剣劇アクションは華麗さよりも重厚さ・荒々しさに重点を置いている。父殺害の動機の真相に意外性を感じなかったり、敵討ちにかける時間が長すぎないかといった細かいツッコミはあれど、外連味たっぷりな画作りはエガースらしさ爆発。前監督作『ライトハウス』同様、本作でも"鳥”が重要なモチーフになっているのは見逃せない。劇伴で『移民の歌』を流れたらテンションMAXになっていたが、流石にそれは無理だったか。
道産子としてはお菓子のノースマンがチラついてしょうがなかったが、しっかりコラボレーションしていたようで何より。
スケールアップしてもエガース節は健在!復讐もまた運命の導きなり
アクション/アドベンチャー/ヒストリーと様々なジャンルを跨る血生臭い復讐モノである本作によって自身がアクション含む大作(予算・規模感、豪華キャスト、本編尺)もいけることを証明して、自身の特徴的なスタイルや世界観(ex. 神話などに通ずる時代モノばかりの題材)を保ったまま拡大することに成功している。揺るぎない確固としたスタイルと荘厳さ、魅惑的な語り口に魅了される歴史巨編一大スペクタクル。
シェイクスピアの『ハムレット』ハムレットの元となったと言われている伝説。神々しい、ある種必然の題材。台詞回し然り、実際シェイクスピアや演劇的な要素が乗り移ったような瞬間もあった。アイスランドと言ったらビョーク、ちなみに監督と共同脚本務めるはこれまた一風変わった『ラム』のショーン。
忘れ難いビジュアルの数々!雄大な自然を捉える美しい撮影の中で展開されるのは決してスピーディーではない重そうなアクションだけど、それはそれで合っていた気がしたし、監督らしい顔の寄りなども挟みつつ独特なテンポを形作っていたと思う。笑っていいのか分からないインパクト溢れるシュールなシーンや展開も健在。
背中から肩にかけての筋肉がドラゴンボールや北斗の拳などマンガ並みなアレクサンダー・スカルスガルド大暴れ!今回母親役であるニコール・キッドマンとはドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』で年下の暴力夫として共演していたくらいだし、若々しいから少年が数年後にスカルスガルドになっててもあまり違和感なかった(ex. 朝ドラ、大河ドラマ)。ラストバトルは熱い!!
『ライトハウス』に続いてウィレム・デフォーの使い方分かっているし、『ウィッチ』か今やすっかり名作請負人となりつつある脂乗りまくりアニャ・テイラー=ジョイ。それにイーサン・ホーク大好きとしては嬉しい父親役。
Strike! To the Valhöll!
P.S. 本編中にプシュプシュ開けて…持ち込むの缶って!あと、コソコソする系の人、聞こえてるから!ずっとされていたら気になるから人思いにバッとしてくれ、と思った。
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