「ヴァルハラへ....。」ノースマン 導かれし復讐者 レントさんの映画レビュー(感想・評価)
ヴァルハラへ....。
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まさにリアルハムレット。血に飢えた獣のように復讐心に取りつかれた男による凄惨な復讐劇が繰り広げられる。
キリスト教が未だ異端とされた中世バイキングの時代を舞台に繰り広げられるこの復讐譚は北欧神話をベースに現実と幻想が入り乱れるまさに悪夢のような世界観を創り出しており、エガース監督の真骨頂と言える作品。
それは単なる復讐劇では終わらない。感性を刺激するおどろどろしい描写の数々は耽美的でさえあった。
ストーリーはまさにハムレットの元ネタとされる人物アムレート王子による復讐劇。最初は復讐心によってさらに新たな復讐心が芽生えるという不毛な内容、すなわちアムレートが復讐を果たし殺されたフィヨルニルの息子が復讐を誓うという無間地獄のような落ちかと思ったが、それは違った。アムレートは子供共々殺してしまったので。
復讐を遂げた主人公の魂は彼らが神と崇めるオーディーンの宮殿たるヴァルハラへと昇ってゆく。
つまり本作では不毛な復讐劇をけして否定的には描いてはいない。
最近、アメリカではキリスト教離れが進んでいるという。特に若い世代でそれが顕著で無宗教の人間が増えている。本作もアンチキリスト教的な作品といえるのかもしれない。
主人公が犯す数々の残虐行為をキリスト教信者の行いだと劇中語られることからも。
内容的にもいろいろ考えさせるし、また映像はやはりエガース監督らしい満足のいくものだった。
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