劇場公開日 2023年5月5日

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「楽園追放:ロバの場合」EO イーオー 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0楽園追放:ロバの場合

2023年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2022年。イエジー・スコリモフスキ監督。あるサーカス団で少女にかわいがられていたロバのイーオーは、サーカス団の解散によって別の場所に引き取られていく。幸福な日々を失ったロバは、少女との日々を忘れられずに逃げ出すが、人間世界の思惑に巻き込まれていく、という話。
ロバの主観をなぞる不思議な感覚だとおもいきや、そこでとどまらず、人間の主観にも寄り添っていく。人間とロバの間を視点が揺れ動くことで、自然のうちに、複数の主観の一つとしてのロバの主観に入り込んでいる。そのうえさらに、誰の主観ともいいきれないイメージ映像のようなもの(動物のような動きをするロボットとか)も挿入してくる。ロバからは能動的・積極的な意味が出てこないので(言葉でしゃべれないし表情をつくれない)、人間ではなくロバ、ロボットではなくロバ、という対比を通じて「ロバなるもの」が表現されているのかもしれない。だからことさら、どうでもいい人間たちの姿や、どうでもいいロボットの姿が描かれるのか。

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