劇場公開日 2023年12月22日

「ライカート作品が好きな人は楽しめる」ショーイング・アップ sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 ライカート作品が好きな人は楽しめる

2025年10月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ケリー・ライカート監督らしい、淡々とした映画。
おなじみのオレゴン州が舞台で、今作は、美大とその卒業生である主人公まわりの出来事が描かれる。
とはいえ、ほとんど何も起きないのだが、時間が進むうちに「ショーイング・アップ」というタイトル通り、だんだんと様々なものが浮かび上がってくるところが妙味。

ライカート作品が好きな人はきっと楽しめる。
でも、初めましての人には「結局、何が言いたいの?」になる可能性ありの作品。

<内容に触れた備忘録>

・ 「制作」自体が、徐々に表現が形や色になってハッキリと現れてくるものなので、主人公リジーの制作にスポットが当たる作品なのかと思いきや、そういう場面はもちろんあるものの、どちらかというと、明らかになっていくのは、親子の関係とか、共に作家である友人との関係とか、生活との兼ね合いとかの方だった。

・劇中で「注目作家」として取り上げられていることになっているジョーの作品は、やっぱり説得力があった。それに対して、美大の校内の至る所で活動している学生たちの表現は、実験的で微妙なものも多く、そこにもリアリティが感じられた。

・冒頭のリジーのスケッチが魅力的で、釉薬で色付けされた立体への展開に納得した。

・焼成する際の作品の位置や、隣に置かれた別作品からの影響など、窯を開いてみないとわからないところが焼き物の面白さでもあるが、リジーのガッカリ感はよくわかった。

・頼まれたら断れない「人のよさ」は、父親譲りなんだなぁ。

・リジーからみると少し冷たい母なのかもしれないが、ちゃんと愛情を持ったバランスのよい人という印象を受けた。

・ここにも陰謀論の影。

・僻みや嫉みもさらけ出してぶつかりながら、ちゃんと「いいものはいい」という部分では一致して、友人としての関係を紡ぎ続けるリジーとジョーの姿が清々しい余韻を残す。

・鳩はやっぱり平和の象徴。BB銃で撃っちゃダメ!

・自分も展覧会の搬入日が2週間後ほどに迫っていたので、個展の準備で慌ただしいリジーやジョーの気持ちと重なる部分があった。

sow_miya
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