逆転のトライアングルのレビュー・感想・評価
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「好き過ぎる」
今年31本目。
「イニシェリン島の精霊」など外国映画で今年3本面白すぎる作品が続いたなあと嬉しいです。今作と「RRR」の3本。ほんの少し触りだけ内容知っていたので後は全く予想付かない展開。Partごとに分かれているのもいい。147分が短く感じた映画も珍しい。昨年のカンヌでパルムドール受賞。今年のアカデミー賞作品賞ノミネート。凄い作品だったんだなあと。
クレイジー、ただただクレイジー 予想外だったけどそこまで悪くはなか...
クレイジー、ただただクレイジー
予想外だったけどそこまで悪くはなかった
でもちょっと吐きすぎ
もう少し端折った方が良い
最後は、良い方へ考えて良いの?
好き嫌いは別れそう
ヒエラルキーの欺瞞を暴いた問題作…などと力むまでもなく,年齢・性別・富などによる優劣が危機に臨んで崩壊した時(パラダイム・シフトってやつ?)の右往左往ぶりを楽しみたい。娑婆へ戻るのを躊躇するおばちゃんの心情を最後の最後で察知できなかった美人モデルの態度と末路を通じて,階級間の順位転倒はあっても分断は解消されない事を思い知らされ,少しほろ苦い。
皮肉の詰め合わせ
3章すべてに登場するのはカールとヤヤのみで、その変遷も皮肉の一部なのだが、故に一貫したものはありません。
クセの強い2章のキャラも大半は使い捨てで、極論、3章それぞれ全く違うキャストでやっても“話”は成り立つのです。
中盤、トイレに駆け込む者もなくみんながギリギリまで我慢した挙げ句、噴き出すように吐く。
地獄絵図の中、平然と議論を交わす船長と『クソの王』。
船酔いにしては違和感が強く、船長たちがあらすじにある海賊の一味で一服盛ったか、と勘ぐるが、何もなし。
元々沈みかけの船に、武器商人への皮肉のためだけに手榴弾が投げ込まれる。
すべて“皮肉”のための演出でしかない。
本番と思われた島に漂着してからは、正直薄味。
『キャプテン』以外での蹴落とし合い出し抜き合いなどもなく、更なる下剋上を狙う者もいない。
弱者の切り捨てや短絡的な暴力なども起こらない。
描きたい事の範囲外なのか、起こりうるべき駆け引きや醜い本性などは描かれず、無駄に上品。
そしてラスト、ヤヤの台詞はアビゲイルに希望を見せるのか、それとも逆撫でしたのか。
あれだけストーリーそっちのけで“皮肉”を描いておいて、主張を明確にせず観客に委ねるのは個人的にナシ。
予告にある『バレンシアガ』と『H&M』の一幕は面白かったが、映画である必要性は感じませんでした。
現代ヨーロッパ的な作品
昨今話題のリューベン・オストルンド監督作品を初見。イケメンカップルの食事代をめぐる諍いから、クルーズ船での富豪たちの傍若無人な振る舞いとカオス、そして無人島への漂着と、ストーリーは荒唐無稽に展開する。
貧富の格差をジェンダー問題も絡ませて描くのは、まさしく現代ヨーロッパ的なのだろう。ブルジョワたちの不条理劇といえば、ルイス・ブニュエルを思い起こさせるが、こちらは薄味であっさりした感じがするのも今風なのだろう。
主人公カールは、空っぽな感じがいい。ヤヤのチャールビ・ディーンは、スター性があり、これが遺作となってしまったことが残念。酔いどれ船長のウッディ・ハレルソンが怪演。ロシアの資本主義者とアメリカのマルクス主義者のやり取りは、諧謔的で面白みがあった。
それにしても、オストルンド監督は、これからもこのテーマと描写を続けるのだろうか。そうだとしたら、いずれマンネリに陥ってしまいそうな感じがするのが正直な感想。
痛烈な風刺と現実的な人間性の冷静な描写
ブラックコメディ風ポスターだけを見て鑑賞を決めた。人間の優位性は外見や知名度、地位などではかられるのか?やはり金持ちなら何でもできるのか?でももし状況が変わったら、その価値基準は変わってしまうのか?スクリーンからそんな質問を投げかけられているような作品。
途中、社会主義だ資本主義だと酔って大喜利風に騒ぐシーンが個人的にかなり不快だったのは、汚物まみれの人々、揺れる船、騒音に近いわめき声騒ぎ声が、見ていてストレスを感じたからかも。あのシーンの長さ意味ない気がする。もし敢えてだとしたら、タチが悪い。
そして後半の大きな変化が、悲劇のはずなのにそのように見えないのは、どこか楽観的に現状を受け入れ、何が得なのかを考えて従う、人間の浅はかさが出ているからか。驚きのラストシーンで放つ、人気モデルのヤヤの行動とセリフから「人を操るのが得意」って最初に言っていた!と思い出し、彼女の設定に関してはずっと筋が通っていたのかも、と感心。スカッとはしないけど、ラストはちゃんと落ちが用意されていてそれなりに納得したりして。
金、富、権威渦中の自分とは?自己の価値は?
お金(富)の価値、存在?
ものごとの存在や価値を考えるとき
容易いのは
逆、反対のこと、状態とを
対比させて思考すること。
(容易い発想であるが、それでは真理にたどり着けない)
お金持ちの反対は
貧乏、ではなさそうです。
でも、持って生まれた美貌は
揺るぎない財産なのかも知れない
マルクス、レーガン・・・
語録は、面白かった!
シュールで面白い、中満足!
中盤のグロくて汚い描写が笑えた。欲のせめぎ合いの描き方がリアルで自然。ラストはあれで良いと思う。長さは感じなかった。
◆各項目別評価。
ストーリー4
映像:4
サウンド:4
演技:5
没入感:3
グロさ:4
シュールさ:4
◆総合3.8
鑑賞日時と場所
2/28(火)TOHOシネマズ新宿スクリーン3。前から3列目。
ニックネームと同名のYouTubeチャンネルで、上記詳細を語ったネタバレレビューをアップしました。
ラストシーンの“人は何に向かって走る?”
「フレンチアルプスで起きたこと」で大好きになった、リューベン・オストルンド監督作品ですが、本作も個人的に好みの作品になっていました。
作風は、過去作と同様に現在社会に対して超風刺の利いた作品でしたが、アカデミー賞狙いなのか表現がかなり過激でベタで分かり易く欧米的笑いも多かったような気がします。しかし、分かり易い(錯覚)の上に底の見え難さ(深さ?)もありました。ラストの解釈も「フレンチ~」の様に観客に委ねる形で終わっていましたしね。
まず表層的なテーマから話すと、いつも通りではあるけど人間社会の階層・階級・序列・ヒエラルキーに対する皮肉と悲哀と、能力・美醜・貧富・人種・性差・職業・思想・価値観の対立と容認。といった、納得は出来ないが人間の資質的に現状では解決不能なため不本意ながら受け入れることに対する叫びというか原題の“悲しみのトライアングル”(眉間の三角皴)の映画です。
しかし本作では、人間はあらゆる関係性の中にヒエラルキー(上下)は存在している様に感じているが、実はそれは全くの間違いであり(思い込みでもあり)、もっと正確に言うなら人間関係の中で発生する上下の関係は、本来TPOによってある時は上であったり、ある時は中間であったり、ある時は下であったりと、状況が変わればいつでも頂点が逆転するトライアングルであるという事を、分かり易く教えてくれる作品でした。
但し、それだけを言いたい映画でもなくて、前日に『小さき麦の花』という作品を観たのですが、作風としては全く対極にある作品の様にも見えますが、作り手の奥にある本来のメッセージはかなり近い様にも感じられました。
あちらは、最底辺の人間の姿をミレーの絵画のごとく神々しく描かれていましたが、全く逆の方法論の「ソドムとゴモラ」を縮図的に描かれているのでしょうね。
それが美醜では優位、その他では劣位(または中間)の男性モデル視点で描かれているのが凄くキャッチーで面白い。
一章ではモデル業界という(小さな)世界でのヒエラルキーを見せ、二章では豪華客船での世界の縮図を見せ、三章では逆転価値観の世界を見せ、ラストは主人公が画面の左から右に向かって走るカットで終わり、何に向かって走っているのかは観客の想像に委ねるという構図は見事です。
おちょくり劇場
いつものおちょくり炸裂です。わかりやすい下品なスノビズムを貶すというより、悪意なく上品で人のいい金持ちを描こうとしているところもかえって生々しい。無人島もので逆転の構図が同じらしいリナ・ウェルトリューナー『流されて…』を見てみようと思いましたね。
作中ずっと走ってる美に対する経済的な価値、ていうテーマも面白かったです。美は資産。むごい。
人間の汚い面が織りなすミルフィーユ的ドラマ。
理想ではない現実に突き動かされる登場人物達は、もはやゲロですら美しく、笑えました。
一瞬だけ武器が出てきますが、主に人間性が武器となり暴力となっています。
スウェーデンとギリシャで作られてますが、普遍的で国際的なセンスが通じていて楽しかったです。
絶妙に辛辣なブラックコメディ
皮肉のきいたブラックコメディでとても面白かったです。
冒頭から色々な方面をおちょくっているようなノリで、小市民的なデートの割り勘問題から、社会主義対資本主義まで、格差社会や差別意識の根深さを笑いで見せてくれます。
気まずい空気感や嫌な緊迫感、タイミングが絶妙で、音楽との相乗効果も素晴らしいと思います。
あんなシーンでパンクなロックな音楽がガンガンと流れたりなど、かなり笑ってしまいました。
カール役のハリス・ディキンソンの絶妙なイマイチ感や、ヤヤ役のチャールビ・ディーンのキュートな無邪気さなど、役者陣もみんながそれぞれのキャラクターに合った素晴らしい演技だったと思います。
社会の縮図のような戯画的なキャラクターながら、リアルにいそうな存在感。
ひどい有り様の場面での体を張った演技もすごいなと。
全体的にコントで見たことあるあるなシチュエーションですが、それに社会風刺を練り込んでここまで辛辣にハチャメチャにするとは。
それでいて、いろいろな目線で考えさせられたり、突き付けるようなラストも印象深いです。
トイレ掃除がキャプテンになるまで
良かった訳でもないが、悪かった訳でもなかった
本作はいつにも増して露悪的だった
その分、シャープさも削がれていた感じがした
リューベン・オストルンドは本当に
軽薄な人が嫌いなんだろうし、
人々の欲望を描くのが上手い
スティックスナック1本とか本当にくだらないけど
どこかおもしろい。
あの夜の3人は可愛かった。
彼の描く小さな欲望一つ一つが
事実に思えるから余計辛いよね
アビゲイルが皆んなにキャプテンと言わせて
餌付けする場面は本当ガッツポーズしましたよ
いえーいって感じで、これが見たかった!って
ただ、あのエレベーターを前にして
現実に引き戻される感じも辛かった。
あのエレベーターにはそりゃあ乗りたくないよな
今作はアビゲイルの物語だった。
ああいう異常自体が無ければ、
だれも彼女のことを覚えてすらいない訳だもん
ラストは三角関係かー
そりゃトライアングルだからそうなのかもだけど
宙ぶらりんで終わった感じも辛かったし
ラスト、相手を想う女と殺したい女の構図は
哀しかったですな。
結局、主人公は身体を与える事でしか
愛だの食事などは得られなかった訳ですな。
ハリス・ディキンソンはもはや
ライアン・ゴズリング並みの風格がありましたよ
あの顔立ちは強いな
原題通り、「悲しみのトライアングル」がよかった
複雑でバラバラな人間社会において平等という概念ほど胡散臭いものはない。
ジェンダーや身分、そして人種の格差から産まれる人間の社会的行動を、寓話的に、そして徹底的にアイロニカルかつブラックに描いた快作。
難点はこのテーマに行き着く迄に要する前半部の時間なのだが、見終わって見ると、なるほどこれは必然だったなと思わせる作りがこれまた旨い。
こういう人間の愚かしさを描いた映画って、どうしても説教臭くなりがちだが、観察的でアイロニカルな視点が映画に冷徹なムードを持続させる。若い中産階級のカップルの悶着を一応の群像物語の軸に設定させて、この難しいテーマを映画として成立させている辺り、非常に抜かりない作り。
複雑でバラバラな人間社会において平等という概念ほど胡散臭いものはないという事を、実に多面的に描き、突き付けてくる。やはりパルムドール受賞作品、中々に刺激的な一本だった。
思っていた映画とは・・・
この映画はカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。
アカデミー作品賞にもノミネートされています。
評価が高いんでしょう。
ブラックコメディの要素は満載です。
3つのパートで構成されています。
最後のパートをもっと観たかったのですが、
2つ目のパートが長すぎでした。
全体的に思っていた映画と違いました。
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