CLOSE クロースのレビュー・感想・評価
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「萌え」では済まされない世界
ゲイを扱ったファンタジー要素満載の作品がなぜかウケている。この事が影響して当事者が生きやすくなったかどうかは
怪しいところだ。
この映画はそんなファンタジーを取り除き、どちらかというとドキュメントに近い生々しさがあった。
同級生からの揶揄いや仲間同士の軽はずみな行動により、成長期の心の機微が少しバランスを崩しただけで脆く壊れてしまう。
誰も悪く無いけれど、誰かが発端で起こる不幸。
こっちはリアルバージョンの〝怪物〟だった。
繊細さと脆さ
悲しい
レオとレミの天使のような笑顔が尊い
13歳のレオとレミ。
兄弟かと思えるほどの仲良しぶり。いや、双子のように遊ぶ時も寝る時も一緒のふたり。
そんな仲良しなふたりだが、無垢な子供から少し成長して、ふと他人から見る自分たちの関係が複雑に思えてしまうレオ。しかしレミは自然で、変わらず近い距離を保とうとする。そんなレミをレオがだんだん突き放していくが、レミにはそれを受け入れることが出来ず、レオが離れて行く哀しみと憤りでどんどんつらくなるレミ。レミの流す涙に似た経験が自分にもあるような。
なんだろう。どちらの気持ちもものすごく分かってしまう。
レミと一緒に涙がこぼれてしまう。
レオにとって最悪な事が起きてしまう
が、レオは泣かない。ずっと泣かない。ずっと葛藤して家の手伝いやアイスホッケーに没頭するが、堪えきれなくなった時とうとう涙が溢れ出すレオ。ずっと見守っていた私も一緒に泣かずにいられなかった。
レオの母親、父親、そして兄。レミの父親、そして母親。それぞれの思いが強く伝わってきて
最後はやっぱりレミの母親。
私だったらどうしただろうか。
レミの母親の複雑な気持ちも痛いほど伝わってきて、本当に心が揺さぶられる貴重な1本。
アヒルの子とヘビ
致命的に人を傷つけてしまうということ
思春期はとりわけ他人の目が気になる。ましてや恋愛に関するものには敏感になる。「お前ら男同士なのに恋人みたいに仲がいいな」なんて言われたら…。
僕はレオの行動を理解できてしまう。レミに素っ気ない態度をとったり、レミとは関係のない新しい世界を見つけようともする。結果、レミを"致命的"に傷つけてしまう。そこまで気が回らない。
僕は人を傷つけたくないし、自分も傷つきたくない。結果として対人関係が臆病になる。人付き合いが苦手になる(私です)。そんな僕でも、間違いなくたくさんの人を傷つけてきたと思う。しかもそれは自分を信頼してくれた友人だったり、自分を愛してくれた家族だったりもする。そんなことを考えると、なかなか辛い映画です。
なんとも美しく
観たままの感想をとにかくどこかにメモしたいという気持ちで書いてる。
時の流れの描写、、、美しさがすごい。
文字や言葉では出てこないが、レオがどのような感情で
どれほどの時を沈黙で耐えてきたかが描写からひしひしと伝わる。
思春期や環境の変化によって、些細なことだと思って気にも留めなかったレオの行動は、レミにとっては立ち直ることができない絶望だったのだろうか。
レオが 会いたい ただその一言にどれだけの後悔やレミに対する罪悪感 すべてを感じた上でまた会いたいと言葉にすることの重さが、、
普通の映画に比べて言葉数は少なかったように思うが
感情はとめどなく自分の心にのしかかってくる
リアルすぎて、レオがまだ泣いていないのにわたしが泣くことは許せない なんて感情まで出てきてしまった
素晴らしい映画だった。
名作誕生!
僕は「クーリンチェ殺人事件」をフェイバリットムービーにしているが、本作「CLOSE クロース」はそれに匹敵する、いや、凌駕していると言ってもいい、思春期の心を見事に映像化している作品だと思う。
観客は何度も繰り返される日常的な風景の中に映し出される、揺れる少年たちの心に触れることになる。それは「同性愛の映画」などと陳腐な言い方でまとめられない、少年期の繊細な心のありようであり、我々もかつて感じていた友情や愛情に対するいびつな感情や純粋な思いであって、宗教的、倫理的な正義や悪のような二項対立で言い表せるほど簡単ではないものだ。
僕らは社会に絡めとられていく中でそういった感情を忘れて大人になっていくのだけど、どちらが生き方として美しいのだろう。その答えは、この映画が教えてくれている。
パスタを吸い込むシーンが大好きです⭐️
家族ぐるみの付き合いで兄弟の様に仲が良く
いつもどんな時も一緒に過ごす13歳の少年2人の物語
冒頭の柔らかな光の中、花畑を駆けぬける天使の様な2人に見(魅)入ってしまいました
しかし無邪気な時間の終わりが訪れてしまう…
思春期へ向かう13歳の彼らには
集団という世界への入口、その世界の中で
自分を偽るのか自己を貫き通すのか…
生き辛さをも感じ始める時期でもあるのだ
鑑賞して1週間以上が経ち
ようやく迷子になっていた心が落ち着いてきた
取り返しがつかない悲劇の物語ではあれど
優しい旋律の音楽と柔らかで美しい映像は
鮮やか過ぎる程…私の中で宝石の様な傑作として心に刻まれました
レオ役エデン・ダンブリンの繊細で壊れそうで儚げな瞳に心奪われました⭐️
大きな傷を胸に歩いてゆく。
カンヌでグランプリを受賞した話題の本作。とても哀しくて儚くて、そして美しい映画でした。まるでアート作品のような圧倒的な映像美の反面、ストーリーは余りにリアルです。
ベルギーの田園風景の中、自転車で並走する2人の少年。13才のレミとレオ。四六時中共に過ごす2人。しかし中学に入学するとクラスメイト達からその間柄を揶揄され少しずつ関係が変わっていってしまう。そしてその先に待つある出来事。
レオが小さな背中で背負わなければならなくなったもの。どれだけ自らに痛みを与えても真実を受け入れなければ1歩も進めない。誰もが経験のある思春期の友情や素直になれない感情。小さなコミュニティの中で少年が恐れたものの正体。圧巻のリアリティーで描かれる繊細な表現に観ているこちらも胸が苦しかったです。2人の少年の眼差しも、演技も本当に素晴らしかった。揺れ動く心の内側を強烈に映し出した傑作です。
ちょっと合わなかった
今の時代はこういう作品が評価されるべき
ストーリーはよくある展開だし、
大どんでん返しや驚きなストーリーじゃないけど
少年の涙にここまで心が動かされるとは…
心が洗われる作品だった。
色々なやりようで、さらに涙で前が見えないくらいに感動で陥れるような展開とかがあったと思うけど、
この映画はそこがちょうどいい。
心の窓をトントンと優しく叩いて、奥に入ってきて
じんわり溶かしてくれるような作品だと思う。
誰かの心無い言葉で関係が悪くなったり、傷ついたり、
そういう人がいることがわからないお馬鹿さんがあふれているSNS時代の今こそ、こういう作品がきちんと評価されるべきだと思う。
あとは、残された人がどんなに辛いか、
周りの影響にも気付いてほしい。
今度から疲れた時におすすめの映画ある?と聞かれたら、この映画を紹介したい。
23-094
美しさが印象に残る映画
とにかく美しさが印象に残る映画で、出てくるのは美男美女ばかり、
咲き誇る綺麗な花畑、自転車で通り過ぎるだけの草原、やわらかな陽射し、
その全てが美しい。
撮影は、監督の出身地ベルギーとゴッホの出身地オランダで行われたらしいです。
美しい映画なのでケチつけたくないんですが、後半ねむくなってしまった(笑)
でも、いい映画です♪
シリアスな映画で少し静かめだけど、暗すぎず明るすぎず、観やすい映画かと。
ベルギーやオランダって美しいなー♪と思った、美しい映画です(笑)
ベルギー、オランダ、フランス、の合作なので、言語は何だろう?と調べてみたら、
ベルギーは、オランダ語、フランス語、ドイツ語、の3ヶ国語らしく、
過去、オランダ、フランス、ドイツ、に支配されてきた事に由来するそうです。
同じベルギー人でも言葉が通じない事あるんだとか。
映画で使われてるのは何語なんだろ?
ほんのりBL
性のあわいの悲劇。
レオとレミは幼いころからの親友で、花卉農業を生業とする互いの家を行き来して長い時間を共にすごしていた。互いに深い好意を示すことに少しも疑いをはさまない暮らしの中で、夜も自然にベッドで体を寄せ合って眠るほどだった。
しかし二人のそうした濃密な関係は、彼らが小学校に入ると淫靡なからかいの的になる。レオはそれを疎ましく思い始め、レミは深く傷つき、事件が起きる。
中盤までのカメラはなかなか素敵。とりわけオープニングからしばらくの、暗がりで声を掛け合う二人が外へ飛び出して一面の花畑を駆けだしてゆくショット、オーボエを吹くレミを逆光の中からみつめるレオの幸福な視線、等々。このあたりは自らの性を明確に意識するより前の、幼い両性具有性をうまく捉えてみせたと思う。
しかし照明・カメラ・編集のいずれも表現の引き出しが少なくて、中盤以降は、同じスタイルが反復されすぎることがどうしても鼻についてくる。脚本の踏み込みの弱さがその印象に拍車をかける。
是枝裕和『怪物』にも同様のニュアンスを示唆するシーンがあるけど、あの映画の複雑さ・繊細さには到底及ばなかった。
ところで朝日新聞の本作レビューで「メロドラマの傑作」と評しているのは、メロドラマという言葉の誤用。メロドラマというのは、本作の場合なら二人が最後まで出口なしの状態で悩み続ける映画のことです。
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