クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのレビュー・感想・評価
全21件中、1~20件目を表示
冷めたシーン1つ
未来のぶっとんだ世界観の中に「MARVIS」の歯磨き粉が見えた。主人公の寝室的な部屋にあって、スポンサー?なのかなと思って、冷めた。でも歯は磨くんだ。で、冷めた。見間違いだったのかな……
プラスチックを食べた少年は幸か不幸かまさにその時代の環境に適応した少年で=進化した人類だったはずが、「人類の誤った進化と暴走を監視する」という価値観を持つ政府としては、その風潮に染まった大人としては、その存在を認めることは、自分自身を否定することであり少年はプラスチックを食べる→異常行動をとる少年として母親に殺され、(プラスチックを食べる子供?まさか…)で解剖されて本当だったことが判明し、しかし大人に隠蔽され……などなど、未来の犯罪も結局子供が犠牲になるのかーと皮肉めいたものも感じる。
こういう未来にはなって欲しくない。
目黒のパン屋にパンを買いに行く途中で、本日までデビッド・クローネンベルグの特集をやっていることを知り、1本だけ(2本観ても同じ料金なのだが)観てみた。ホラー映画かと思っていたが違う。訳がわからない映画。近未来が舞台なのに古い建物ばかり(セットでなければ多分大半はアテネ)出てくるのが変な感じだし、進化した人類は痛みの感覚が無くなり、新たな臓器を自ら作り出す人とか、プラスチックを食べる人とかが出てくる薄気味悪い話が続く。僕のような凡人には理解出来ないグロテスクな近未来の世界の話。台詞回しが理屈っぽく、哲学的な表現ばかり出てくるのだけは共感が持てたが、こういう未来にはなって欲しくないと切に思った。Timlin役の女性が可愛らしかった。
混沌とグロテスク
印象を一言で言うとしたら、得体の知れないドス黒いもの?
カンヌに出品されて席を立つ人が続出!
確かにタキシードとロングドレスに着飾った観客の
目を背けさせるに十分なグロテスク!!
その部分の映像は
《プラスティックを食べる少年の解剖》
カプリース(レア・セドゥ)が冷蔵された遺体を一目見て、
「とても無理!!」
そう言ったほど、あどけなく無垢な美少年の裸体。
母親にその悪食を嫌悪され殺された少年。
少年がプラスティックやその類を好んで食べる事を忌み嫌った母親に
枕で窒息死させられた。
父親はそれを解剖ショーに出品するのだ。
背中から《サーク解剖モジュール》の4個のアームが
ブレッケン(少年)の内部を切り広げると、
黒々と光り炭化したおぞましい内臓がギッシリと詰まっている。
更にそれを映像に拡大して見せる・・・
(席を立つガタゴトした音と、紳士・淑女たちの嫌悪の表情が
(見えるようだ。
(取り出して置かれたそれは、たどんorうんこor手榴弾)
【近未来】
パフォーマンス・アーティストのソール(ヴィゴ・モーテンセン)と
パートナーのカプリース(レア・セドゥ)のショーは人気を博していた。
ソールが生み出す新たな臓器をカプリースがタトゥーを施して
摘出するのだ。
(これはなかなか面白いショーだ)
まず第一にキャスティングに惹かれました。
ヴィゴ・モーテンセン。
レア・セドゥ。
クリステン・スチュワート。
黒いマントを身にまとったヴィゴ。
拷問具のようなベッド(オーキッド・ベッド)は、鳥の巣に似て
更に心臓のようなハンモックに寝て、不眠。
食事を困難にしてるとしか思えない、
ブレックファースター・チェアに羽交締めにされてる。
デヴィッド・クローネンバーグは嫌いではない。
「ヒストリー・オブ・バイレンス」と「スキャナーズ」が特に好き。
「危険なメソッド」と「マップ・トゥ・ザ・スターズ」も偏愛してる。
「旋律の絆」は狂気、「裸のランチ」は好き嫌い言うより、訳わからん。
産業廃棄物を食する種族が居るくらいだから、
食べ物も枯渇した終末期のSF?
レア・セドゥは裸になることになんの抵抗もない女優らしく、
全裸を披露(ヘアヌードとありましたが、配信は“ぼかし“でした)
(本当に見事な肢体を惜しげもなく・・・)
彼女は演技力も存在も美貌も度胸も備えてるので現時点で無敵。
クリステン・スチュワートはヴィゴの虫歯を数えてるのかと
思ったらキス・シーンに変わる。
「古風なゼックスは苦手」と、ヴィゴ。
クリステンはやはり魅力的。
映画は特に感動もなくアートな袋小路。
皮肉も散見して、
「内なる美」と聞くと「精神的美しさ」と普通連想しますが、
「内臓の美しさのこと」だったり、
「オディールのショー」って
「ディオールのショー」の語呂合わせ?
もっと沢山あったかも知れないけれど・・・忘れました。
《地球の未来に警鐘を鳴らす》
的な生真面目さは微塵も感じられない。
《好きなことを好きなようにやった作品》
イヤーマン(耳男)のダンスシーン、
これは傑作!!
一番気に入ったシーンでした。
未来は恐ろしい
近未来における話にしては、あまりにもゾッとさせられるシーンが多いのが印象的だった。
臓器が人の倍以上に体内でつくられてしまう加速進化症候群という病を抱えるソールはパートナーのカプリースとともに余分に作り出された自身の臓器にアーティスティックな要素をプラスするショーを行い注目の的となるが、それがやがて政府の目に留まるようになり、自由な活動が制限されゆく中で、プラスチックを食べる少年の遺体が運び込まれる。
序盤に登場した少年の生い立ちからも、少年が誕生した理由も映画では説明されているが、これが近未来仮にもしも食料につき何も無いとなった際に生き延びる手段として独自に進化した人類とも考えたら、今後起こり得る恐怖を描き出した作品だなあと思いました。
クロちゃんです!わわわわぁ、、るど。
クロちゃん、凄いわ…痛みのない世界で痛みを味わいたい変態の話、しかもそれを露出してアトラクションのアートにまでするって、変態のための世界観の作り込みは匠です。クロちゃん、日本のエロ漫画を紹介してあげたら、もしかしたらベストフィットするかも。
しかし、痛みを味わいたい変態ってこれ、自動車事故とか、ドラッグとか、転送ポッドとか、変態ビデオとか、いろんなことして破滅していく主人公のコアイメージは変わらないよね?チョコバーが好きなのはザ・フライぶりじゃん。
そういった意味では安定のクロちゃん。だけど、新鮮味あるおどろおどろしいホラー描写はあまりないな。もう何もかも同じ世界に通じるから目新しいものはあまりなく、むしろすべては同じ世界に通じることの不気味さが際立つクロちゃん映画の怖さだな。これがダーケストだよ。
裸のランチ的、戦慄の絆あるいはエグジステンズ的な手術器具や赤ちゃんがまんま食べる時の椅子、揺り籠式ベッドなどのビジュアルには、あまり面白さは感じなかったなあ。そのほかにも、母胎をイメージするネンネのシーンもあったな、クロちゃん、赤ちゃんがえりかなあ?
これといった目新しさはないけど、ヴィゴ・モーテンセンのキャラづくりが一番よかった。喉をごろごろずーっとしてるのが、なんか汚いクソジジイに気持ち悪いイメージを植えつけてきたクロちゃんらしいキャラづくりがすばらしい。気持ち悪いおやじはクラッシュのヴォーンとか、裸のランチのドクターベンウェイ先生とか、ビデオドロームの撃たれて飛び出てバババンのおじさんとか、脇役で無惨に死ぬ汚いおじさんの系譜があって、今回の主人公はそっちの人だったと思いますが、どうなんでしょう?だから何って話ですが、自分似でモテモテの主人公が多いクロちゃん映画において、なぜ汚いおじさんが主人公だったのか?そこはクロちゃん自身がおじいちゃんだからかな?謎はクロまるばかりです。
クローネンバーグが描く人類の未来像。
本作にはプラスチックを食べる集団が出てくる。彼らは自分達が人類の進化した姿だとしていわゆる新人類として徒党を組み、まるで麻薬製造工場ようなところで密かに自分たちの食糧であるチョコバーを製造している。このチョコバーは彼ら以外の人間には猛毒であり食べたものはたちまち死んでしまう。
人間の環境への適応能力は他の生物と比べて高いらしい。灼熱の亜熱帯地域から北極圏のような寒冷地までどんな環境下でも暮らせるから人類はこの地球上で最も数が増えたのだと言われる。
いまや地球温暖化どころか沸騰化なんて言われてるけど、そんな環境になればなったで人類は適応して生き残るのかもしれない。
深刻な環境汚染の原因の一つであるプラスチックゴミ。海洋マイクロプラスチックはもはや空気中にも含まれていて、それを吸い込み体内で蓄積されれば人体にどんな影響を及ぼすかわからない。
本作の集団はまさにそんな汚染された世界に適応した進化した新人類として描かれる。確かに有毒なプラスチックを体内で無毒化できる消化器官を有するなら彼らは新たな環境に適応した新人類といえるのかもしれない。そんな彼らを脅威とみなして滅ぼそうとする体制側。その体制側に秘密工作員として仕えるのが主人公のソール。
彼も進化した人類の姿として描かれる。近未来においては人々は痛みを感じなくなり、まるでドラッグをやるかのように街中で互いを刃物で傷つけあい快楽をむさぼっている。
もはや苦痛は快楽にとって変わられ、痛みを感じない人々の欲求はより刺激を求めて巷では公開手術などというパフォーマンスが人気となっていた。
その第一人者であるソールは創造性進化症なる病で体内で常に新たな臓器を作り出しては相棒のカプリースに摘出手術をさせるというパフォーマンスで一躍人気となっていた。しかし彼には潜入捜査員としての裏の顔も。
彼の潜入捜査によって新人類のリーダーであるラングの暗殺に成功するが、それと時期を同じくしてソールは彼らの食糧であるチョコバーを自分が食べることができることを知る。
今までの彼は単体の臓器しか生み出せなかったが、今や新たなる消化器官を生み出せるようになっていた。すなわち彼は自身が新人類であったことを知るのだ。
こうして書いてみるといわゆる体制側にいた秘密諜報員が取り締まるべき反体制側に取り込まれてそちらに乗り換えるという一種ポリティカルサスペンス的な本筋に監督特有のグロテスクでアーティスティックなものを詰め込んだような作品なんだろうか。
とにかく内容ははなから理解できるとは思ってないけど、次から次へとイマジネーション溢れる映像の連続で独特の世界観に浸ることができた。御年80歳のクローネンバーグがその健在ぶりをアピールしたということか。
かつて彼の作品を象徴する言葉として内臓感覚とか言われてたけど、だから今回内臓を描いたのかな。とするとこれはファンサービス的な作品であるのかも。
ちなみに本作を見ていてクローネンバーグの集大成ともいえる作品だとも感じた。生物と機械が癒合したようなデザインの手術マシーンは「裸のランチ」に出てくる昆虫タイプライターや「戦慄の絆」での禍々しい手術道具を、手術パフォーマンスは「クラッシュ」での交通事故パフォーマンス、手術マシーンの操作盤は「ヴィデオドローム」のもだえるビデオテープ等々かつての彼の作品を彷彿とさせるものでその辺も見ていて楽しかった。
クローネンバーグのSF嬉しい
久々のクローネンバーグ作品で、しかも初期作と同じタイトルだし、SF的なイメージが前面に押し出されているしで、かなり期待高まりつつも主演がヴィゴ・モーテンセンなので、どうなのかな、とも思いながら観に行ったんだけど、もうどこをどう切ってもクローネンバーグの映画としか言えない作品だった。意味不明で頭のおかしな作品世界上を、更に頭のおかしい理屈を持ってキャラクターたちが蠢いているのに、クローネンバーグ自身が作品世界を信じて真摯に構築しているから、こちら側もそんな狂気の世界に魅せられ、同期し順応し、作品世界に没入していく。映画を観るというのはこの感覚だよな〜と嬉しくなった。映画を観る醍醐味って、リアリティがあるとか、感動があるとか、そういうことじゃないなと改めて実感した。
俳優も良くて、ヴィゴ・モーテンセンは、彼とクローネンバーグのコンビ作品も好きとはいえ、クローネンバーグに期待する作風とはちょっと違うという気持ちが今まであったが、今回はヴィゴ・モーテンセンの怖い顔と初期中期のクローネンバーグの幻想的な世界が融合して、すごく良かった。ラストシーンの『んー、美味い!』の表情とかヴィゴ・モーテンセンの顔面力の効果絶大だった。で、ヴィゴ・モーテンセン、レア・セドゥ、クリステン・スチュワートらのセレブ的な要素がクローネンバーグのアングラ要素をいい意味で中和していたし、クリスティン・スチュワートの観ていて不安を煽るような存在感は悪夢的世界に見事にハマっていた。
臓器が増殖するという設定は、アートの定義やクローネンバーグ自身の身体の衰えなどもテーマとして入っていそうだとか色々深読みが出来そうだし、好きな人は考察するだろうけど、個人的には悪夢的、幻想的な世界観としてそのまま楽しんだ。そんな世界観の中で動きまわる不思議なキャラクターたちを見ているだけでとても至福な時間だった。とくに不気味かつスタイリッシュなドリラーキラーな仕事人コンビは最高だったよ。クローネンバーグは次作も是非SFでやって欲しいな。いや、SFじゃなくても長生きして作品作ってくれるだけでいいか。
覚悟はしてたんですが💦
デヴット・クローネンバーグ監督は、「裸のランチ」のみ観てまして、観るのにかなり疲れた記憶がございまして、でも興味惹かれて今回観たんですが、やっぱり疲れた(笑)
しかも前情報は、このサイトの軽いあらすじくらいでしたので、まあ、わからん(笑)私のようなニワカでは、パンフレット読んでからじゃないと厳しいのでは?
(見ても??)熱烈ファンじゃないと厳しいかなぁ。
物凄い感性を要求してくる作品の為、カルト的人気も頷けます。
しかし、臓器摘出がエンタメで、セックスと同義とか、もうね、把握は出来ても理解出来ない!近未来とか言いながら廃墟ビルみたいなところばっかりだし、外科手術の映像がワザとでしょうが、適当な内蔵描写。映像暗いので、眠くなる。(苦笑)観るシーン??ばかり。
レア・セドゥと機械のメンテナンス業者の女性2人のおっぱいくらいか凝視したの(笑)
わかっちゃいるんですが、ヒト選ぶ映画ですよ。
Brain Sugar
リバイバル上映された「ビデオドローム」の奇怪さにハマりクローネンバーグの新作も鑑賞。予告を見る機会が無かったので情報源はポスターのビジュアルのみです。
この作品を完璧に理解するのは不可能なんじゃないのかなってくらいカオスな内容で、置いてけぼりにされそうなところをボディホラー的な楽しみ方でなんとかしがみついていきました。
ゴミ箱を食べる子供をいきなり映されて唖然としたところに、母親が子供を殺すという急展開にお口ポカーンとしましたが、これが始まりに過ぎないというのが末恐ろしいところです。
主人公の不思議な体質を利用して、実験もといアートとして活かしている構図はまだなるほどなと思えるところがあったのですが、自分の腹部を切ってジッパーみたいに開閉しやすくした挙句、臓器をチョロチョロっと弄って快感を覚えるというシーンはインパクト絶大でした。体に傷をつけても痛みなんかよりも快感が増すとかいうマゾもマゾなので、半分引きながら見ていました笑
近未来的な設定を多く携えており、食事支援や快眠サポートの機械、モニュモニュしたリモコンで切開する装置、電動ドリルで脳をぶち抜いて殺す手法、体についての犯罪を専門とする捜査課などなど、SF小説のような設定が多く盛り込まれていました。あまりにも多いので、散漫になっている感じは否めませんでしたが、一つ一つ興味深いものがあったのは収穫でした。
なんでこれPG12で通ったんだ?と疑いたくなるくらい乳房を曝け出しまくっていますが、セクシーだと思えるのは前半だけで、後半に差し掛かってくるとどんな解剖されてるんだろうという目でしか見れなくなってしまいました。傷だらけにしまくるのが監督のお好みのようで、齢80にしてこれだけ性欲を全開にしているので、クローネンバーグはまだまだ成長途上です。
絵面の派手さと設定の凝りっぷりにハマれば確実に沼る作品だと思います。痛覚を感じない体や多くのキャラにもっとフォーカスが当たればなとは思いましたが、現代にここまでオリジナル性の突き抜けた映画を観れたことに感謝したいです。
鑑賞日 8/26
鑑賞時間 18:25〜20:20
座席 B-6
クライムズ・オブ・ザ・フューチャー
失礼かもだけど、電気按摩椅子みたいな食事補助具?はモーテンセン込みで笑える。
大仰な揺りかごみたいなのも、もっと肉感あると寝心地良さげなのにな。
あの甲殻オペ台との遠隔操作ってどんな技術なのか?
オペセックスの快楽に至る価値観の変遷は?
全身耳男も何チャンネルなんだろ
前ていの説明がざっくりな分そんな興味で楽しんだ。
作品の中で息づく市井の人々の見えづらい価値観というか、無痛のヒトがみせる喜怒哀楽の世界観の希薄さ。
テクノロジーの進化のぶん、ヒトの感情が退化か鈍化なのかしてるのかな?(知らんけど
毒だった紫チョコを食べられる人の説明を聞き逃したけど、なんだか唐突で予想付かない終わり方もおかしいw
あの感泣は「痛み」を取り戻せてめでたしめでたしってことでいいか??
あそこから話が面白くなりそうな気がしたので、もう100分要るんじゃなくて?
説明する気が無いぶん、難解(そう)なまま展開していくへんてこな世界、、、
そんなわからないまんまを楽しむ。
なぜか唾棄出来ない。
鹿を連想
不穏で異様な世界観ですが、俳優陣の演技や説明的すぎない抑えた語り口で、今の現実と地続きのような感覚になります。
また、残酷な描写もありつつ、どこかユーモラスな描写もあり、登録所の二人や、技師の二人組など、狂っているような滑稽なような妙なテンションのバランスです。
登録所の二人が上役に報告する場面などは笑ってしまいました。
とはいえ、やはり冒頭など少年の描写は辛いです。
映画祭で退席者が出たなどと紹介されていますが、内臓や流血の描写よりこういう子供の扱いが不快だったのでは、などと思ってしまいましたが。
環境問題や変化を認めない社会体制のために、次の世代にしわ寄せがゆく、子供が犠牲になる、という意味合いにも感じました。
個人的には内臓や流血描写は平気な方ですが、それを快楽として味わうことが一般化している描写は、眉をひそめてしまうというか、価値観が狂って揺らぐというか。
肉体というものの感覚や扱いなど、考えさせられます。
そういった切られる描写はやはり女性が対象になっていて、切られる男性は主人公だけだったと思いますが、そこで特別感というか、主人公が性差を超えたところでの肉体の感覚を示している存在なのかとも感じます。
ラストは、肉体の変容を認めることで解放されたかのような表情が、やはり印象深いです。
ストーリーでは技師の二人組の素性が分かりにくかったのですが、捜査対象者らしき人物をアレしているところから権力側の工作員的なものかなと解釈していますが、実際のところどうなのか…、狂信者的な理由なのかも…とも。
耳男やバイオメカのパフォーマンスなど映像的にも面白かったです。
骨チェアーなどは何だこりゃ?、と。
骨チェアーの理屈はよく分かりませんが、これも奇妙な滑稽さがありました。
プラスチックを食べるといった部分では、観光地の鹿がビニール袋のゴミなどを食べてしまって消化できずに死んでしまうというニュースを連想してしまいました。
ゴミを捨てないようにしなければ、という話でしたが、人間に置き換えてみると、この先ゴミを捨てないようにできなければ、それを消化できるようにしなければ、などという未来にいつかなるのかも…などと考えてしまいます。
とにかく20年前の脚本ってことに驚き。
事前の情報収集しないタイプの私にとっては、とにかく置いてかれないように、必死でついて行ったつもり。だけど、設定が斬新すぎて後手にまわってしまったシーンもところどころ。
クローネンバーグ作品で観た、おそらく唯一と言っても良い作品「クラッシュ」と真逆の無痛という衝撃には、正直面食らった。
冒頭の情報を自分なりに繋ぎ合わせて、地球環境の悪化とそれに伴う人間の進化(変化)を考えてたけど、いやいや、脚本はなんと20年前
‼︎なぬーー。
とにかく、程よくぶっ飛んだ、とんでもない作品です。
痛みや感染症を克服した人類に訪れた未来の物語。 浜辺で海岸の石ころ...
痛みや感染症を克服した人類に訪れた未来の物語。
浜辺で海岸の石ころをほじくっていた男児は母親から注意を受ける。
見つけたものを食べてはいけませんよ、と。
家に戻って来た男児は洗面所のプラスティックバケツを齧って食べ始める。
その夜、母親は男児を枕で窒息死させてしまう・・・
といったところからはじまる物語で、映画の主人公はパフォーマンスアーティストのソール・テンサー(ヴィゴ・モーテンセン)。
彼は、加速度的に新種の臓器を発生させる体質の持ち主で、パートナーのカプリース(レア・セドゥ)とともに、新種の臓器を公開で摘出手術するパフォーマンスを行っていたのだ。
一方、政府は「オルガン・レジストリ(臓器登録所)」を秘密裏に立ち上げ、ラング(スコット・スピードマン)とティムリン(クリステン・スチュワート)を調査員として活動させていた。
警察は、テンサーのパフォーマンス活動に触発された人体破壊パフォーマンスを行う輩を取り締まる「ニュー・ヴァイス(新犯罪)部門」を設置し、テンサーを秘密捜査官として協力を要請していた。
アーティスト仲間から謎の整形外科医のもとへ赴くよう伝えられたテンサーは、結果として「オルガン・レジストリ」と接触し・・・
と展開。概ね、ダークな犯罪映画の外格となる。
ま、とにかく、手術場面が苦手なひとには不向きな場面が巻頭しばらくしてから登場し、ねちゃねちゃ感は『ビデオドローム』を凌駕している。
クローネンバーグ監督にとっては、人体破壊、変異する肉体、痛みに対する嗜好、さらに肉体とテクノロジー(といっても物理的テクノロジーなのだが)は、先に挙げた作品以外にも『ザ・ブルード/怒りのメタファー』『スキャナーズ』『ザ・フライ』『戦慄の絆』『クラッシュ』と数多いが、今回はその中でも飛びぬけている感じで、テンサーとカプリースが用いる奇怪な手術台は、『戦慄の絆』の出産手術器具や『ザ・フライ』の物質転送装置をよりグロテスクにしたものと言えるでしょう。
その後、ニュー・ヴァイス(モグリの新種臓器の摘出パフォーマンス)の捜査に、冒頭の男児の両親が絡んできて、事態はますます不可解なものになっていく。
プラスティックバケツを食べていた男児は、その能力を父親から遺伝で受け継いだものだが、男児の父親のプラスティック消化器は移植によるものだった。
移植した生体能力が、遺伝するものか・・・
男児の父親は、プラスティックを主食(というか他のものは食べられない)とする新人類グループの首魁で・・・
おおぉ! おおぉ? ミュータント?
キリンの首は突然伸びたのであって、徐々に伸びたわけではない。
人類の突然変異。
ということは、これはクローネンバーグ監督よるリアル・スーパーヒーロー映画なのかもしれない。
リアルな変異はグロテスクという。
異常気象による食糧不足、過剰なプラスティック廃材・・・
そんな中で人類が生き残るとしたら、こういう悪夢のような姿にならざるを得ないのかもしれません。
なんとも気が滅入るなぁ。
なお、製作はカナダ・ギリシャの合作、ロケーションの多くはギリシャのようです。
つらい
何もしないのに首が痛くなって痛み止めを飲まないと夜も眠れないとか、人差し指が何もしてないのに力を入れると痛いなど、体があちこち痛いので、こうして酔狂で体を痛めている人たちには共感できない。クローネンバーグらしさが全開で、いやがらせみたいな映画だ。
いつの時代かよくわからない美術がいい。社会もちょっと変だ。
アブノーマルの向こう。
進化する現代、それに順応する為、体も進化させないといけないと人体を改造する話。
人体を改造し手術はSEXと!訳の分からん事を言い、メスで体を切り刻み、内臓に触れられる事に快感を得る変態な人達のストーリー。
作品観ての率直な感想は、海外で体の改造って実際ありますよね。
タトゥーの延長上でオデコにツノの作ったり体にコブ作ったりみたいな...以前番組クレイジージャーニーで特集やってたのを覚えてます。
本作では体内で新たな臓器を生み出す加速進化症候群という中々出会えない独特な世界観な作品。退屈な作品だと眠気が来るんですが...ちょっと変わった作風で観入ってしまった。
観終わった後に残るものは正直なかったけど、鮮明に覚えてるのは美女3人の裸体、いやっ!バディだけはよく鮮明に覚えてる!
難しいというより
先日ビデオドローム見て、好みだったので鑑賞。
グロい、というよりは生々しい?感じ。
ナイフでゆっくり切ったり、腹部を開いたりして、割と臓器もしっかり使っている感じ。
なのでグロさはあまり感じず、痛々しいというのが強く、そういうのがダメな人は無理かも。
ビデオドロームよりは、会話上で設定に説明があったかな。
ストーリーは理解できる方ではあるかな…
ただ、それを納得できるかは…
後は脇の要素ではあるけど、ベッドや椅子が何のためのものなのかイマイチ分からない。
特に食事補助?の椅子が何のためのものなのか理解できなかった。
大分癖がある作品なのでオススメはしづらいです。
進化は選択か
Crimes of the Future
もしもの話を忠実に描いている。痛覚を失った人間社会は、タトゥーを超え身体に傷痕を残すようになる。新しい倫理観のもと、一方でアート以外への興味を失っている
周囲の情熱は第一人者の想いを超え、当の本人には逡巡もあり、(潜入捜査を行っているように)中盤以降は一部辟易していたことがわかるが、最後の結末は皮肉的で(現実基準での)狂気が標準装備の世界において、揺れ動く心を表している
技術変革が続く中で、「人間の政府」という言葉からはAI社会などの背景が示唆される。大きな流れに飲まれないようにする、人体の反乱。個々が選んでいるようで、選べていないのだろうと感じた。
内なる美
ホラーのサブジャンルに"ボディホラー"というカテゴリがあるそうで、正に監督はその第一人者であることは明白である 『裸のランチ』でもそうだったが、内蔵系のグロテスクさを演出させながら、その画力と強引に結びつけるストーリーテリングにまんまと心を奪われてしまう 気持ち悪さの連続はもはや快感に取って代るという、今作の多々あるテーマの一つを体感してしまっているのである
一種のSFなので、荒唐無稽な前提ではあるが、"苦痛"(作品内のそれは痛さの度合いが低くなってしまっている、もしくは他の感覚に変化している)から人々が解放された世界に於いての、二つの物語がやがて絡まる展開として作劇されている 一つは人体内に出現する新たな臓器と、それを切除するパフォーマンスをするアーティスト 又一方は、後半判明するのだが、新しい臓器で有害物質に対応する消化器系を移植し、環境問題を目指す団体の話である
まぁ、かなりストーリー自体が飲み込みにくいし、初めに説明する件もなく、やたらと官能的且つ、玩具のような生活具もしくは医療具(ベッド、椅子、手術台)を使用している様が、滑稽で痛々しく、なんだか面はゆい、居たたまれない羞恥感漂うカットであり、さすがクローネンバーグ、始めからトップギアである 女優を次々裸体に晒す脚色、子供を使ってのまるで"蔘鶏湯"のレシピのようなオチ、道徳感を逸脱した女性二人の電気ドリルによる頭骨穿孔の暗殺方法、一部の好事家が興じる刺青やインプラント等の人体改造等々、これだけの世界観を"松花堂弁当"の如く綺麗に盛付け、尚且つ未来への警鐘のような魔術に落とし込んだ今作品の胡散臭さと、尤もらしいエクスキューズに、総合芸術の悪魔の側面を垣間見てしまった希有な作品である 老監督の集大成と言ってもよいグロテスク且つ猟奇、そして皮肉な環境提言と言った、ハイコンテクスト作品であろう
クローネンバーグ節
試写会にて。
久々に(かどうか分からないくらい追いかけ切れてなかったが…)クローネンバーグ節全開の、なに言ってんだか分かんない系のビデオドローム方面のやつでした。
が、残念!ノレず!…😢
映像は刺激的なのに、設定が飛び過ぎてて一歩も地に足が着いてないためにどんどんどうでもよくなっちゃった…
もう一歩現実に踏み残して欲しかった…
あとテーマがどうであれ、レア・セドゥの顔をいじっちゃ、ダメ!ゼッタイ!
せっかく美しいフルヌードを披露してくれたのに…
全21件中、1~20件目を表示