「信仰と命」聖地には蜘蛛が巣を張る カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
信仰と命
結構な衝撃を受けた「ボーダー 2つの世界」のアリ・アッバシ監督の最新作と言うことで公開を心待ちにしていた作品。
アジアや中東には女性が学んだり、働いたりする事を良しとしない国があるというのは知っていたが、一人でホテルに泊まる事さえもできない、つまり女性は男性の所有物に過ぎないという考えが当たり前の国があるというのは正直言って驚いた。
宗教による戦争が絶えず、毎年多くの人が亡くなっていることからすれば、如何に貧困が理由であっても信仰に背き売春をする女性の命の重さなど虫ケラ同然と言ったところか。
主人公の女性ジャーナリストが自らの危険を犯してまでも犯人を捕らえたいと思ったのは、女性が生きにくいこの国の制度や慣習に対しての強い怒りからで、それはそのままイランで生まれ育ち、北欧を生活の拠点としているアリ・アッバシが抱いている感情そのものであり、彼だからこそこの映画を製作し世に発信できるのだと思った。
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