「アジア人ゾンビの気が狂ってる感がすごい!」哭悲 THE SADNESS 屠殺100%さんの映画レビュー(感想・評価)
アジア人ゾンビの気が狂ってる感がすごい!
アジアンゾンビホラーは、韓国の『新感染 ファイナル・エクスプレス』があり、あっちは、グロが弱くアクション要素が強かった。
ゾンビというのは、人肉を主食として、とどまるところを知らない人肉に対する食欲が凶暴度を保証していることが基本設定となっている。
これに、少しずつ設定変更を加え、21世紀に入り新概念が取り入れられた。それはゾンビが走るという設定。『ドーン・オブ・ザ・デッド』は走るゾンビが大活躍する傑作ゾンビ映画であった。
そこに、アジア人のゾンビという設定を加えたのが、『新感染』。ゾンビ映画における画期的な進歩とまではいかなかったが、アクション要素がホラー要素を上手に補って最高のゾンビ映画に仕上がっていた。
アジアンゾンビの設定をよりアップデートしたのが、この映画。ゾンビが喋る設定は、『バタリアン』で「脳みそくれ〜」のリフレインでしかなかったが、この映画では、自分がしたいことを、理由を交えて理路整然とよく喋る。したいことは、惨殺やレ○プをしたいというネタに限るが、それでも内容的には脳みそが食べたいというよりはかなり進歩した。
だが、喋るという設定はそこまでのインパクトはないと思った。喋りはあくまで言葉だけなので、ビジュアルとしては怖さに何も貢献しない。何がアップデートしたか?それは、人肉を食うという単純作業だけでなく、武器をつかう、レ○プをするという行動レパートリーが増えたこと。これがかなりこの映画を盛り上げている。
特に、今までの人肉を食うという食欲こそがこれまでのゾンビたちの唯一の欲望だったことに、ついに性欲が追加されたのだ。これは、かなりのアップデートと言っていいと思う。普通の人間なら人肉を食いたいとは思わないが、性欲はある。ついにゾンビの欲望と人間の欲望がリンクしてしまった。ゾンビに自分自身の欲望の一部を投影させられてしまうおぞましさを感じさせられるとともに、あれはもしかしたら自分もそうかもしれないと思わせる恐怖を起こすことに成功した。人間とゾンビは限りなく近いものとなった。
これに加え、アジアンゾンビの俳優になかなかの角々顔のビジュアルの人が出てきて、ニカッと笑う。これが怖さではなく、ゾンビに気が狂ってる感を追加した。
顔が角々で目が細いモンゴロイド特有の容姿に、ニカっと笑顔のゾンビ。ニカっと笑いながら、食欲だけでなく性欲まで満たそうとする。これは、今までのゾンビにはない新しいフレーバーである。
数々のゾンビ映画の設定を大幅に乗り越えて、ゾンビは単に怖いというイメージだけだったこれまでの時代を超えて、気が狂ってるいるという設定を追加したことで、素晴らしく斬新なゾンビ映画に仕上がっている。
白人にあのニカっはできないし、ましてや角々顔は生まれつき無理。アジアンゾンビこそゾンビ映画の時代の最先端を行くために重要なポイントだったんだと気付かされた。
怖いというより、まじで気が狂ってるという言葉がふさわしいゾンビ映画。ついに新概念(性欲、狂気のアジアンスマイル、角顔の3つ)をゾンビに加えることに成功した大傑作だった。