劇場公開日 2022年7月22日

  • 予告編を見る

「萩原&村上の“イイ顔”演技が映える」島守の塔 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5萩原&村上の“イイ顔”演技が映える

2022年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

まずは萩原聖人、村上淳のダブル主役が目を引く。年齢・キャリア的に中堅ベテラン枠に括られる2人を起用するというのは、失礼ながら近年の商業映画ではなかなかの冒険。集客のためには今人気絶頂の俳優を起用するのがベストなのだろうけど、結果として萩原&村上のキャスティングは、2人が演じる島田叡と荒井退造の没年齢を照らし合わせると妥当だったと思う。
とにかく2人の表情が実にスクリーンとマッチする。役作りなのかは不明だが少々増量した萩原と、顔のシワが際立つ村上。“イイ顔”していると言い換えてもいいが、枯れさも漂わせてきた彼らのシブい表情は、そこら辺の若手俳優ではまだ出せないだろう。
あと個人的に好きな女優という理由もあるかもしれないが、2人の対比とばかりに吉岡里帆の可憐さも映える。ただ彼女の妹を演じた池間夏海同様、他の女性キャストと比べて綺麗すぎる感はあるが。
クラウドファンディングで制作費を募ったというだけあって演出や視覚効果がチープなのはやむを得ないものの、邦画特有の病である劇伴の乱発が本作でも発症しているのが残念。ただ、島田本人が発したとされる言葉をそのまま喋らせたり、予算がないながらも創意工夫して見せようとしているあたりは無下にはできない。
元球児という共通点を持った島田と荒井による戦地でのチームワーク。「野球」の生みの親・正岡子規の言葉が本作のキーワード。ロシアも野球が盛んな国だったら良かったのに…

邦画が好きでない自分が本作を観てみたいと思ったのは、繰り返すようだが萩原&村上という同世代の俳優が主役だったから。もしこれが超人気アイドル事務所のタレントが主役だったら、絶対観ていないだろう。

regency