「亡き妻を追い求めて辿り着いた思い出の地」君を想い、バスに乗る 12shiho28さんの映画レビュー(感想・評価)
亡き妻を追い求めて辿り着いた思い出の地
80代のトムが、亡き妻との思い出の地まで、スコットランドとイングランドをバスで縦断するロードムービー。
老いた体には厳しい旅を強固な意志で実行する彼の秘めたる想いが、現在と過去を行き来する構成で次第に明らかにされる展開も、旅の中で彼が様々な人々に出会うエピソードも悪くない。
けど、予告編で感じる明るさや高揚感を、私は本編で感じられず、トムの意固地さと老いた体で続ける過酷なバス旅の悲壮感と焦燥感に、どこか居心地の悪さを感じ続けた。
その居心地の悪さが、ラストシーンで腑に落ちた。
冒頭、彼は近所の子供に「遠い所に行く」と言い、劇中医師に「やるべき事がある」と言う。
彼の人生は、全ては今は亡き妻の為にあったのかもしれない。そして、思い出の地に辿り着いたことで、彼は満ち足りてやるべき事を成し遂げたのかもしれない。
観ている間よりも、観終わってからの方が考えさせられる映画でした。
あと、予告編と本編の温度差もある映画でした。
そして特筆すべきは、50代で特殊メイクなしに主役を演じ切ったティモシー・スポールの演技!一見の価値あり。
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