「シティーハンターをこよなく愛する者として」劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト) みーなさんの映画レビュー(感想・評価)
シティーハンターをこよなく愛する者として
すでに4回鑑賞。まずは良いところから。
・令和の時代に、再びCHを蘇らせてくれたこと。関係者の方々には感謝しかない。
・やっぱり獠はカッコいい。アクションだけでなく、ふとした表情も。獠に会いに行くだけでも価値がある。
・オープニング曲で、ミニクーパが颯爽と街を駆け抜ける演出はオシャレだと思ったし、GETWILDは言わずもがな。
・声優陣の続投。賛否があるかもしれないが、みなさんお元気で、愛情を持って演じてくれて、本当に嬉しい。オリキャラ3人もお上手で、特に沢城さんは圧巻!
・CHをよく知らない人にとっては、タイアップも多く、面白く観れる内容なのかも。
ダメなところ。
・とにかく脚本がダメ。エンジェルダストの奪い合いがそもそも意味不明。簡単に奪還され、結局アンジーに返すし、何がしたいの?アンジーの立ち位置が変わりすぎてよく分からない。3人も死んだ割には中身がない。
・海原、エンジェルダスト、ユニオンテオーペ、原作の核となるワードを出してきたものの、初見の人には分かりづらい内容。原作無視、キャラ崩壊からして、原作ファンがターゲットではないと理解したが、かと言って初見の人にも優しくないストーリー展開。そもそも獠と対決するのが女性って色んな意味で無理ない?エンジェルハート仕様か?
・もっこりはCHには必要だけど、いい加減クドくなってきてウンザリ。終盤に差し掛かってるのにまだやるの?ともうおなか一杯。ギャグシーンはせめて半分くらいに留めて、登場人物の背景を深堀りした方が良かった。
・TMはせいぜい最初と最後だけでいい。似たような音楽で単調。前作は神過ぎた。
・個人的にはCH一本で勝負してほしいけど、コラボが好きな方もいるだろうし、営利的な事情もあるだろうから目をつぶる。ただ、やるなら序盤のみにして。敵地に向かう最中にナンパ男とかルパンとか、せっかく盛り上がってきた気持ちが逸れて白ける。今後もキャッツが出てくる展開になる伏線があったが、本筋に介入するのだけは、お願いだからやめて。間延びするし、何度も集中力が途切れて立て直すのが本当にキツイ。勘弁してほしい。
・思いつくだけギャグとコラボを詰め込んだら、観客が喜ぶと思ったのか?発想がオヤジ過ぎる。。制作の主要メンバーに若手や女性はいるのか?誰も止められなかったのか?
・エンジェルダスト抜きで、双方マグナム弾くらってるのに、動作が変わらないリアリティのなさ。
・エンジェルダストという反則技で、獠がめずらしくが劣勢で痛めつけられているのに、海坊主は解説者、香は傍観者、、これはないのでは?
・獠は女性を殺さない。何があったとしても。しかも依頼人。殺すしかない、という事情なのであればなおのこと、納得させる背景が必要。今回の浅いストーリーでは、獠が女性を殺す理由として納得できるものではない。
・香は殺しを後押ししない。何とか他の方法がないか考える。それに獠がさらに苦しみを背負う選択をらすることを、香が促すだろうか。香が絶対言わない言葉を言わせてしまった。本当に悲しい。
・海坊主のレオタード然り、ファンが大切にしている、キャラクター像を崩壊させてしまう罪深さ。。CH好きであればある程、悲しさと怒りが込み上げてくる。
海原編と言えば、
・過去の因縁との決着
・獠と香が、お互いの気持ちを認め合い、一気に距離を縮める
という2大テーマがあって、原作では双方が良いバランスで進んでいって、海原との最終決戦を迎える展開。
今作は原作でいう、ミック編に相当する、海原編の前段だと理解したが、
エンジェルダストの深い因縁が示されることもなく、
獠の香への愛情と苦悩が、描かれることもなく、
迷走させた印象で、この後どうやって海原編につなげるつもりなんだろう、ミックもなしで、、、かなり厳しいのでは?と大いなる不安が募る。
ミックを出さなかったとしても、着地点は揃えた方が良かったのでは?
海原編の前段で、香がギャグ担当のみというのは本当に良かったのか?何なら殺しの後押しで、香のキレイな心を逆行させて、この後どうするの?矛盾しない?まさか劇場版の海原編は獠香の関係は省略?!どう収集つけるつもりなのか、収集することを考えずに突っ走ってしまったのか、ただただ不安しかない。
前作のようなテイストであれば、ここまでは思わない。もっこりとハンマー、カッコいい獠を組み合わせれば、CHは成立する。
ただ海原編は別。それだけ、往年ファンの、海原編への要求は高いし、向ける目は厳しい。
海原編に挑むなら、覚悟を持って脚本を作って欲しい。無理なら原作準拠で!秀逸だし、このストーリーに胸熱になり、CHが好きというファンは多いのでは?
海原編はCHの至極のエピソード。30年来温めてきたファン共通のイメージがある。登場人物の背景や心理が丁寧に描かれ、深く感情移入できるところがCHの良さ。これ以上、往年のファンをガッカリさせないでほしい。
それでも、CHの大大大ファンとしては、続編を期待したいし、続編制作の一助となるよう、さらに劇場に足を運びます。
この虚しい感覚のままシリーズを終えるのは悲し過ぎる。。
今度こそ、往年ファンが納得するような、「二人でシティーハンター」を見せてください!!