モガディシュ 脱出までの14日間のレビュー・感想・評価
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まさに炎のデスロード
いやすんごい社会派エンターテイメントでした。韓国映画には南北問題というジャンルがあると言っても過言ではない中、恋愛もアクションもコメディもアグレッシブに取り込む中でこちらは国際政治を背景に政治秘話としての大脱出劇を展開。まあメジャー映画はとっくの昔に日本映画を抜き去っているのは百も承知のうえ、ここまでやれちちゃうのはすごい。おそらく大量のCGを入れてるのだと思うけど、圧倒的物量のエキストラと弾丸と80年代末のソマリアの再現、そして、クライマックスのチェイスはまさに炎のデスロード。4台の車の脱出を弾丸数珠繋ぎで抜けてく余裕。あと音響と音楽も先端をいっている。
これは志の問題だろうね。東宝松竹東映あたりでは永遠に作れない。作れる製作陣と観る観客がいないと成立しない。メジャーはどうせアニメとシリーズデート映画で儲けてるのだから8本に1本くらいは威信をかけてこのくらいのものを狙って欲しい。
ソマリア政府を相手に睨み合う北と南。突如起こる反乱軍のクーデター。協力し合う南北の大使館員たち。
いいプロットだ。
社会派で、ハードアクションなのに人情もの!
お国柄か、見るたびに「熱いな」と感じていた韓国映画の「熱さ」が
アフリカという舞台においては丁度で違和感なし。
しかも内戦を舞台に、混乱からの脱出を描いた
「ブラックホークダウン」さながらのハードアクションかつ
仇同士であるはずの北朝鮮と韓国大使館員らが協力、
共に現地を脱出する人情劇であり、社会派という、
欲張ったジャンル構成に驚く。
それこそ韓国だから可能なオリジナルブレンドだとしか思えず、
あんばいには近年めざましい韓国映画の勢いをまざまざと見せつけられたような気分だった。
それでいてちょくちょく笑えるところもあり、
とにかくラストが切ない。
期待していたが、期待以上でまさにグッジョブの良作だった。
また、格別に二枚目、美女、というわけでもない、
どこかにいそうな、しかしながら演技力確かな俳優陣の存在感もいい。
(見てきた韓国映画は「家族」がよく登場する。そのありふれたモブ感がいつも絶妙だなぁと思う)
果たして日本映画で他国の紛争など舞台に
物語を展開できるだけの胆力があるのか。
内戦の迫力や、物語のスケール感に差をあけられたなぁと思いつつも
拍手を送りたい上映終了直後だった。
亀は転回、人は転向、SAVE THE 亀の法則
ただただ圧倒された。
圧倒的なスケールの中に、
細かなウィットにあふれたアイデアがたくさんあった。
なかでも、
重い北と南の関係を、
軽くユーモラスに描いたシークエンス。
冒頭で、
時間経過を表現した数本の吸い殻、それに向かう亀をくるりと転回させる。
(さらりと人物のキャラも売っておく。)
後半、北の人たちを救出する為に転向(形だけ)させる。
主義や思想、北や南、右と左のような、
重い表現ではなく、
人として人に気持ちを寄せて行動した事、
ただ救いたい、を象徴的に描く。
あ、亀も。
お箸使用民族にはよくわかる、
南北を越えた気遣いもあった。
どんな題材でもユーモア、
ウィットを入れてくる。
難しい事を解体して簡単にする、
解体されたものに、ペーソスを散りばめて、
おもしろくする、
おもしろくしたものを、
観客の胸に深く突き刺してくる、
さすがに今回のような実話を題材にするならどうなんだろうと思ったがいつものリュ・スンワンだった。
広大なアフリカの大陸でも、
悲惨な戦火の中でも、
ワイルド・ギース風に逃げる事もなく、
圧倒的に楽しませてくれたリュ・スンワン。
そういえば、パートナーの、
ファン・ジョンミンが誘拐されたんだってリュ・スンワン。
韓国エンタメは最強
やはりはちゃめちゃ感出しつつ、最後はちゃんとまとめて落として、しかもしんみりさせつつ社会性を訴える力技、好き。
あからさまにやなやつ演出してたら、案の定帰れない設定だし。
北と南が協力して脱出を目指す(事実に基づく話)
感情表現とアクションシーンのハーモニー
1990年末から91年初頭のアフリカ・ソマリアを舞台に、共に国連加盟を目指してソマリア政府の支持を取り付けようとする韓国と北朝鮮両国の大使を始めとする外交官やその家族達が、暴動から内戦に発展して混乱するソマリアの首都モガディシュから脱出する姿を描く作品でした。実話を基に制作されたそうで、勿論創作された部分は多々あるでしょうが、非常にリアリティに富んでおり、まるで自分が現地にいるかのような錯覚を与えてくれました。
暴動が発生する前は、互いに妨害工作をしていた両国大使でしたが、暴動発生後は協力してソマリアを脱出することになる過程は、実に見応えがありました。特に人物描写が秀逸で、平生外交的に敵対している両国大使達が暴動を受けて協力することになるやり取りが、時にシリアスに、時にユーモアを交えて描かれていることや、人間らしいアンビバレントな感情を、俳優陣が上手に表現していたことには、感心するばかりでした。
また、モガディシュの街の風景は、(実際に行ったことはないので本当のところは分かりませんが)壮大かつ緻密に再現されており、カネ掛けて作ってるなあという感じがヒシヒシと伝わってきました。そのモガディシュで繰り広げられた暴動や襲撃シーンや、終盤の車による逃走シーンなども迫力満点で、アクション映画としての出来栄えも中々のものでした。
ちょっと首を傾げたのは、その逃走シーンで無数の銃弾を受けながら、犠牲者が1人しか出なかったこと。アクションとしては面白かったものの、ダイ・ハードじゃあるまいし、流石にこの部分はやり過ぎかなと感じたところです。
ただ全体として観れば、ストーリーも演技も描写も非常に優れた映画で、評価も満点を与えたいと思います。
因みに韓国と北朝鮮の両国は、大使達がモガディシュを脱出した1991年9月に国連加盟を果たしたそうです。そういう意味で、歴史を刻む作品でもあった訳で、いい映画を観たなあという感覚を一層強めました。
なお、ソマリアは現在も治安状況が最悪のようで、外務省が出している渡航情報でも、最悪の「退避勧告」が出されているようです。そのため本作のロケも、モガディシュと似た感じのモロッコで行われたとか。ソマリアを舞台にした映画と言うと、1993年に実施されたアメリカ軍の軍事作戦を描いた「ブラックホークダウン」がありますが、あちらもモロッコでロケが行われたそうで、本作の制作に際してもそうしたことを参考にしたのではと勝手に想像するところです。
あと、作品の内容とは一切関係がないのですが、韓国大使役を演じたキム・ユンソクは林外務大臣に、韓国大使の片腕である参事官役を演じたチョ・インソンは前原誠司衆院議員にそれぞれ似ており、なんか笑ってしまいました。
力作 追記 史実とフィクション
昨日新宿で見ようとしたらなんと満席でキャメ止めに変更。今日吉祥寺で鑑賞。狭い小屋だけど8割の入り。これもしかして俺と同じで金曜のアトロクの影響かなあ。宇多丸さん絶賛だったからなあ。
で、作品は期待に違わぬ力作だった。まず画角や色彩、CGも含めてとにかく映像が締まってる。残念ながら邦画には時々あるけど韓国映画はごくわずかしか見てないけど見た範囲では画面が緩いことはない。役者も誰も知らないけど主役のおっさんが良かった。
あえてマイナスを指摘すると、クライマックスの大カーチェイスは素晴らしいんだけど、ソマリア軍の銃撃が激しすぎで、ワイスピ並にタイヤに当たらないのがオカシイ。映画の質が全く違うんだけどね。
ともあれラストに向けて両者に生まれた友情というか相互理解。清々しい映画でした。
追記
非常によくできた映画であるからこそ、歴史改変のリスクには自覚的である必要があると思います。
この監督の前作が「軍艦島」とのこと、未見ですがかなりの創作が含まれていると聞きます。おそらく映画として完成度は高いのではと想像しますが、もし事実と違うことが描かれているのなら、それが定着することになるのは困るなあと。
中国でもそうした改変がまだ行われてますからね。日本もわかりませんが、映画の出来が悪いから定着しないのかも。
ある意味、麻薬カルテル以上に闇に包まれた武器市場の流通システム
正直、詳しいことや実態は何も知らないし、一時的に関心が高まっても、忘れてはいけないのに時間とともに忘れられてしまう内戦や紛争、それに伴う虐殺や弾圧が世界にはたくさんあります。
ボスニア・ヘルツェゴビナ(ムスリム、セルビア人、クロアチア人)、ルワンダ(ツチ族、フツ族)、ミャンマー(軍事政権、民間人)、香港(傀儡トップ、民主化運動家)、ウクライナ…。
ソマリアも例外ではなく、同じように救いのない悲惨な現実。
規模も背景もまったく違うけれど、攻撃を受ける側の当事者にとっては絶望感しかない状況だと思います。
子どもたちにまで、あんな殺傷能力の高い銃が提供されてる現実には、ぶつけようのない怒りと無力感しかない。
紛争の類いは、総じて政治や経済が安定していない場所で起きる。すなわち、武器を調達するノウハウも経済力もない国家や勢力に武器を与えているのは、大国や軍事国家。きっと、核兵器なんて使わなくても、通常兵器や拳銃だけでも世界中の人間を殺せるくらい供給過多なのだと思います。武器の需要を作り出すように暗躍してる政治家や諜報部員が現実の世界にもきっと本当にいるのですね。
回り回って、自国民を殺すことに使われることになるかもしれないのに、平気の平左。
それにしても、いつもながら、韓国のおじさん俳優たちの演技や存在感は、序盤から中盤にかけてどんどん厚みを増して、いつの間にか映画をどっしりと落ち着かせてくれます。
飛行機から見えた半島の突端は、アフリカの角(ツノ)というメタファーだったのかな?
邦画は韓国映画にまけている。悔しいけれど。
私は去年の秋まで、韓国嫌いだった。勿論、北朝鮮も。何度も日本の首相が朝鮮統治時代を謝罪しても色々難癖をつける韓国が嫌いであった。定年前、社員旅行がソウルに決まったが、私は辞退したほどだ。
勿論、日本が朝鮮半島を侵略、植民地化したことは認識している。しかし、昨年秋、縁あって韓国の若い女性と知り合いになった(遊びではありません、誤解しないでほしい)。色々、話していると韓国への偏見が溶解した。
この映画を鑑賞して感じたことは、日本映画は韓国映画に負けている。かっての日本映画の栄光は、どこに行ってしまったのだろうという思いだ。
ソマリアであった実話をエンタテインメントに仕立て上げる韓国に脱帽である。気になったのは、北朝鮮に厳しくないか。韓国製作だから、自国を良くみせたいのは理解できるが、北朝鮮が可哀想だ。
流石、韓国映画だと思いました
北と南のこともだけれど、もっともっといろんなことが描かれている。こ...
言葉より目線
コン書記官。。。。白旗。。。
複雑な事情があるのも生きてこそ
北と南の大使館員が協力して、内戦が起きたソマリアから脱出を図るというストーリー。
北と南の関係性以外にも今世界中で、さまざまな事情、思惑があるが、その問題と向き合うのはお互いが生きてこそであるということを感じさせられる作品だった。
お互いが協力することがタブーとされている中で協力なしに脱出が難しいという状況がお互いの理解をしていく様子には胸が熱くなった。
緊迫感のあるストーリーの中にも、気の利いたギャクがバランス良く入っており、エンタメ要素を兼ね備えている。
そして、これは全く予想してなかったがアクションの要素も強くクオリティが高く。社会派サスペンスというジャンルには収まらないエンタメ作品だった。
ラストシーンは痺れる名シーンだった。
韓国映画、やっぱスゲーわ…
面白かった。
韓国に対してやたらと偏見を持つ昭和オジ様的発想をする人であったとしても、この映画は面白いと感じるはずだ。
自信を持ってお薦めする。
ストーリー、ゴージャスでリアルな映像、そしてアクション、スケールの大きさとすべてにおいて引き込まれた。
同じ言葉を話す同じ民族が心の底から敵対し合うという特殊な状況…むしろ彼らにとっては、外国人の方が信用に値するのだろう。
ただでさえそんな異常な状況下に置かれた両国の人々が、他国での内戦に巻き込まれるという極限状況に遭遇する。
そんな中で彼らが取った行動は…
ソマリアの内戦の異様な状況がリアルに映像化される中で展開されるシリアスなストーリーの一方で、コミカルなシーンも時々挿入されており、その演出も心憎いものがある。
最後のカーチェイスの見事さは必見。
韓国映画、本当に凄いわ…。
今の日本ではこれだけカネのかかったスケールの大きい映画は作れないだろう。
しかしこの映画、こんなに面白いのに映画館での地味に扱われ過ぎ。
もっと多くの映画化で上映されるに値すると思うんだけどな。
コミカルな序盤から一転凄惨なドラマに豹変するずっしり重いソマリア版『マッドマックス2』
序盤は国連加盟を目指して火花を散らす韓国と北朝鮮が丁々発止の騙し合いをしたり、本国から左遷されてきたカン参事官を放置したりと植木等でも出てきそうなコメディ調。しかし内戦が勃発してから突然シリアス路線に急旋回、水鉄砲でも扱うように機関銃を振り回すソマリアの子供達にゾッとさせられました。韓国と北朝鮮の断絶は食事のシーンにすら滲んでいて韓国大使館に飾られているソウル五輪のマスコットを子供達に見せないように気遣う北朝鮮の家族等細かい所作で当時の事情を無言で説明するカットが積み重ねられてからの脱出作戦、どうやって撮影しているのか解らないテクニカルなカメラワークを駆使したカーアクションを経て今に至るまで埋まることのない両国の断絶を象徴的に見せるラストシーンまで一気に見せる圧倒的な社会派スペクタクルアクション。
韓国のハン大使を遠じるキム・ユンソクと北朝鮮のリム大使を演じるホ・ジュノの二人が反目し合いながらもかすかに友情を通わせる燻銀の演技が圧巻ですが、個人的にはチョ・インソン演じる韓国のカン参事官が印象的。内戦勃発となった途端にスイッチが入り、抜群の行動力で次々に突破口を開く活躍が鮮やかでした。
これは素晴らしい快作!韓国版「アルゴ」だ!
内戦状態のソマリアから国外脱出をはかる南北朝鮮の人たちの姿を通し、敵をも許し助けようとする人間の姿を描く作品。
傑作であり、まさに快作と言える。
モロッコで撮影したようだが、キャスティングやカメラワークは文句のつけようがない出来映えだ。
そして、素晴らしいのはシリアスな内容でありながら、登場人物のひとりひとりを実にユーモラスで人間味溢れるキャラクターとして描いている点だ。
悲しいかな、日本の映画では、これほどの作品にはならないだろう。このあたりは韓国映画の高いレベルがうかがえる。
ラストシーンで、韓国大使ハンも、北朝鮮大使リムも後ろを振り返らなかった。
お互いを思い、お互いの気持ちを胸にしまい込んだ、二人の願いにも近い思いを表現しきったと言える、完璧なラストシーンだ。
ぜひ、劇場で確かめください!
アクションモノとしても大迫力!
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