「感情を揺さぶってくる」モガディシュ 脱出までの14日間 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
感情を揺さぶってくる
ストーリー的には「内戦が勃発したソマリアから、韓国と北朝鮮の大使館関係者が協力して脱出した」という話なんだよね。その中で、色んな人が、何をどう思ったかを描いてくるの。
内戦勃発したあたりで思うのは「国って意外に脆弱な基盤の上に成り立ってるな」ってことだったの。なんか確実なものが存在してる気がしてるけど、国民がそれを信じなかったら簡単に崩れるね。「民なくして国なし」だと思ったの。
韓国の大使館員が脱出できなくなったあたりでは、「この時期の韓国は、国力がまだ低かったんだな」って思った。大国のアメリカはすぐに撤収してるし、最後に頼るイタリアは、内戦の中でも色んなことが機能してるんだよね。
そして、中国を頼ろうとした北朝鮮は、それが無理だと知ると韓国を頼る。色々なものが崩壊した状況で、最後に、政治的に近いところでなく同胞を頼るのは、正しい判断だと思ったよ。
韓国もすぐに「人道的に助けよう」とはならなくて、政治的な駆け引きを続けんの。こういう状況でも、駆け引きをやめない人たちが、外交を進めるんだなって思ったね。
それで感情を揺さぶってくるのは、女の人と子供を描いてくるのが大きいの。大人の男の人は、まあ、闘って負けたらしょうがないみたいなところあるけど、女の人と子供は、この状況下で闘うの厳しいからね。だから北朝鮮大使館が襲われたときは「どうなっちゃうの?」「ひどいことは、しないで」と祈るように観ちゃう。
ソマリアの子供が、遊びのように銃を向けると、意図が分かった子供が倒れた振りしてくんだよね。ここ面白い。
韓国大使館で食事を出されたときも、北朝鮮の大人は『これは、食べちゃ駄目だ』って感じなんだけど、子供は食べたくてしょうがない。それで『食べてもいいぞ』ってなったときは、「良かったねえ」と思ったの。
最後は政府軍から誤解を受けて銃撃されるんだけど、あれだけ撃たれたら犠牲はあれだけでは済まないだろうな。ちょっと脚色が入ってる気がする。
ラスト、危機を通じて、韓国と北朝鮮の大使館員は気持ちが通じ合ってるんだよね。いがみ合う気持ちがなくなってる。でも、通常の生活を送ってる韓国と北朝鮮の政府の人たちはそうではない。
南北統一が、いつか果たされるといいなと思ったよ。