「スイスアーミーマンが宇宙の中心で愛の讃歌。と言うか、おバカンフー。」エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
スイスアーミーマンが宇宙の中心で愛の讃歌。と言うか、おバカンフー。
ダニエルズですもん。何と言ってもダニエルズですもん。更にルッソ兄弟が製作に名を連ねるA24作品。普通のおバカで終わるタマじゃなければ、感動のバーゲンをする訳もなく。
家族愛・人類愛を、捻くれ者が照れ隠しで、おバカンフーにしちゃいましたけど、見たい人だけ見てちょーだい!的な。
最高に楽しかった。
マジで。
楽しかった。
とっても!
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3/11 追記
「スイスアーミーマン」って、科学的な根拠の部分って、突っ込んだらアホじゃないですか。と言うか、あほらしさのインパクトから、真面目に考えようとする人はいないと思うんですよね。だから、これもそうだと予想してたんですよ。映画界にはびこる「マルチバース」を逆にコケにしに来るんじゃないかと。
で、実際、多少そういうところはあるんですよ。ハリウッド大作って、この手のマルチバースだのの設定のあるSciFものには、「だれがそんなものを作った?」なんて言う、大掛かりな設備や基地があったりしますが、今回はバンです。VANです。VANに取り付けられた歯医者さんの椅子みたいなやつと脳波計に、極めつけはドラゴンボールを探すドラゴンボールレーダーみたいな小道具。マルチバースが、地下鉄の路線図的なんが止めですw
そもそもがですよ。
SciFものに「量子論」を持ち込み、実際、量子の力を借りながらも、映画のスクリーン上では依然として人間の形をしている登場人物たち、っていう時点で、科学的な論拠よりも描写の方を優先してるわけです。ドクター・ストレンジじゃ、量子の世界が登場すると、空に渦がウズウズ巻いてたりします。つまりは、そこからは「ニュートン力学」が通用しない「量子の世界」。モノは、その形からしてニュートン力学で結合している、今の、この3Dの世界のそれとは、根本的に異なるはずですが、創作物では、そこは描写の自由で、割とフリーになってたりします。
で、本作ではベーグルですよ。
あれの意味は「ニュートン力学が崩壊した世界」。単純なブラックホールではありません。
「どんな選択をしても、それは量子の確率論の海に消えてしまう」
とは、ジョブ・トゥパキの言葉。本質を、シンプルに詩的にしてて。いや、かっこよくてニヤってしてしまいましたけどね。ででで。そこから、
「ならば、全てを、その海の中に入れちゃうわ」
なんだと思われ。
この「ベーグル」は、多分いろんなものを象徴している。新しい秩序。それまでの規則に縛られない、自由な世界。まぁ、いろんな言葉で言い表すことができるもの。
それは良いけど、やっぱり愛だよね、家族愛だよね、って言うオチ。
と。人生は選択肢の連続。その枝分かれした今の世界に生きる、今の自分を大切にせよ。と言う、べたのダメ押し。
だから、結局はベタなんですよね。ベタベタ。エブエブの本質はベタベタですよ。で、SciFをコケ、と言うかお笑いにしてる。この塩梅、しょっぱさが、個人的には堪らなかったです。
これは、iMaxである必要は、無いかと思います。