「【正しくも懐かしき日本の緑濃き夏休みの風景は、少しささくれだった少女の心を優しく癒す。ある姉妹が、一夏のある日、蛍を探す小さな旅をする中で改めて家族の大切さに気付く過程を描いた作品。】」幻の蛍 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【正しくも懐かしき日本の緑濃き夏休みの風景は、少しささくれだった少女の心を優しく癒す。ある姉妹が、一夏のある日、蛍を探す小さな旅をする中で改めて家族の大切さに気付く過程を描いた作品。】
■中川かなたは14歳の中学生。 両親の離婚により、転校した学校で淡々と日々を過ごしている。夏休みに入り、かなたは母に提案されて余り気乗りがしないまま祖母の緑深き谷あいの家を訪れる。
そこで待っていたのは、離れ離れになったかなたの事が大好きな父と暮らす妹のすみれだった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は、ドラマディックな物語展開がある訳ではない。比較的淡々と進む。
・登場人物には、悪者はいない。かなたの学校の先生も彼女を気にかけているし、一緒に暮らすバーで働く母も優しい。
・だが、かなたはどこか不機嫌だ。理由は大好きな父と会えない事だろう。父が作る大好きなハンバーグを食べれない事だろう。
故に、かなたは父と住む久しぶりに会ったすみれに対し、愛想ない返事しかしない。
・けれど、かなたはすみれと一緒に蛍を見に行く。山間を走るバスに乗って。
ー 今作の、祖母が住む緑深き谷あいの家を含めた自然がとても美しい。自然光で撮影したのであろうか。正しい日本の夏休みと言う感じが、濃厚に漂って来る。そして、どこか懐かしいのである。ー
■かなたとすみれは、結局蛍は見つけられない。けれども、かなたは心配して迎えに来た自分を何時も大切に扱う母の存在を改めて感じ、久しぶりに会った大好きな父に抱き付くのである。
かなたとすみれにとっては、忘れられない夏休みになったであろう。
そして、かなたはすみれの”又、来ようね。”と言う言葉に、優しく返事をするのである。
<今作は、両親の離婚によりささくれだった気持ちになっていた多感な時期に入りつつある少女が、祖母の緑深き谷あいの家で久しぶりに会った妹と蛍を探しに行く中で、少しづつ優しい気持ちになって行き、自分を大切に思う両親の心を改めて思い出す物語である。>