「ドッキリと残虐がなくてもここまで怖い」ブラック・フォン 無計画大臣さんの映画レビュー(感想・評価)
ドッキリと残虐がなくてもここまで怖い
◆まとめ
・主人公(男)が可愛い
・ちゃんとR12に収まってる
・友情・努力・勝利!
◆くわしく
主人公はとある住宅街で暮らす11〜13歳の少年。訳あって当たりの強い父親に怯えつつ、妹と支え合いながら暮らしていた。
ある時から、主人公と同じ年代の少年たちが次々と誘拐に遭って行方不明になる。
友人がいなくなったことで怯えていた主人公だが、運悪く自分も捕まって地下室に監禁されてしまう。
しかし様々な助けを借りて、五体満足で脱出し(重要)、元の生活を取り戻す。
まず主人公の少年が本当に可愛い。若い頃のビョルン・アンドレセンにどことなく似ている。
同年代の子たちも人種は様々で、犯人のタイプに見た目の一貫性は無さそうだけど笑、みんな可愛い。
地下室に監禁されてからは基本的に主人公の行動と、外にいる家族や警察の動向しか分からない。
ここが家の中のどこなのか、犯人は何者なのか、何のためなのか、何を仕掛けているのか、いつまで自分を生きられるのか、いままで拐われた被害者はどうなったのかという
犯人に関わるアレコレが分からないまま話が進むため、見ている側も少年と同じように心が落ち着かない状態で過ごすことになる。
そのせいで、終盤まで犯人に何か暴力を受けるんじゃないかとずっと怯えていたが、結果的に生々しい暴力描写はなく、ちゃんとR12指定に沿った内容になっていた。
結局のところ、犯人は意外と主人公を気に入っていて、脱出に積極的でなければ能動的に殺す気はないのだが
それを犯人視点で描いてしまうと、主人公の感じている恐怖は取り越し苦労になってしまい、見ている側に共感を得られない。
犯人の動向があまり描かれないことで恐怖を煽る想像をかき立てられて、とても良かった。
主人公脱出のために今までの被害者たちが黒電話を通じて助けてくれる。
被害者たちは自分たちが試した脱出方法や失敗点についてアドバイスをくれて、主人公はそれに沿って試行し、着実に脱出に近づいていく。
失敗もあるけど、被害者である友人に励まされて覚悟を決め、結果的に犯人を倒して五体満足で脱出することに成功した。
父親とのわだかまりも無くなって最愛の妹と三人で熱い抱擁。
まるで少年漫画のような展開。
「友情・努力・勝利」というどこかで聞いたフレーズが頭に浮かんだ。
王道ながら良いカタルシス。そして不安が大きかった分、脱出できた時のとてつもない安堵感…。
これは見ないとダメだよ。