「刀剣男士の活躍は見応えがあるが総じて安っぽい作り」映画刀剣乱舞 黎明 ななこさんの映画レビュー(感想・評価)
刀剣男士の活躍は見応えがあるが総じて安っぽい作り
ゲーム本編プレイ中、メディアミックス(特に舞台)なども鑑賞しています。
良かった点
・各刀剣男士の解釈、演じ方
・殺陣。特に室内や夜の森など、困難が予想される場所での迫力ある殺陣を見られるのは圧巻。
・仮の主の設定
・終幕に向けての盛り上がり
残念だった点
・話の説得力のなさ。言いたいことを作中で見せず「〇〇で〇〇で、〇〇だったんだ!」と不自然に主人公に喋らせるシーンでガッカリしてしまった。
・各設定の見せ方の浅さ。上述の通り、仮の主の設定は面白いのになぜ彼らが主になったのか、どのようなやりとりで出会ったのかの掘り下げがほぼない。
メインキャラであるはずの伊吹と弟の話もあまりに唐突で、「福祉の手の届かない児童虐待・ネグレクト」など重いテーマを盛り込んだのに「使いたい要素だけを使った」感が否めない。
その他「なぜ?」が明かされないことが多すぎる。それが自然に受け入れられるものならよいがそうではないので違和感が残る。
(なぜ遡行軍殲滅後の渋谷に誰もいないのか、なぜ想いを取り戻した群衆の誰1人スマホで撮影をしないのか、なぜ長谷部はあのアパートに来られたのか、どうやって山姥切国広は伊吹に出会った?など)
・映像がチープ。ウィッグはガタガタ、某男士はうっすら髭の跡が見える、小鬼や子供はなぜあれほど画面に馴染まない映像を使った?
クライマックスのスカイツリーのシーンも、空に違和感がありすぎて集中できなかった。
繰り返しになるが一部刀剣男士の活躍や見せ方、殺陣はファンとして非常に嬉しいものでありラストの盛り上がりはとても良かった。
だからこそ主人公に状況を語らせる台詞回しの陳腐さ、そのくせ「想い」という単語を連呼して感動を与えようとする浅薄さがあまりに残念。
何がしたいのかわからなかった。