劇場公開日 2023年3月24日

「安楽死の是非」ロストケア 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0安楽死の是非

2024年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 今作は安楽死をテーマにしている。当然のことながら、問題は認知症などの症状が甚だしい人々に対する介護の負担を、家族などの当事者に全て押し付けていることだ。問題を解決するには、そういった介護の負担の大きい人々を受け入れる体制の拡充が考えられる。しかし、それができるなら既に実施されている。実際には介護業界の人手不足や財源の捻出の問題からできないとなると、やはり安楽死を制度化する必要があるんじゃないだろうか。

 そもそも、今作に出てくるような認知症の進行が甚だしい人々も、正常な判断力を持っていた頃ならば、自分の尊厳が傷つくような状態になってまで生きたいとは思わないのが多数派だろう。プライドは無くなっていないわけで、だとすれば、やはり人としての尊厳を保ったまま人生を終えられた方がいいんじゃないだろうか。検事が犯人の行動は身勝手な正義と言っていたが、それは自分が介護に携わらなくて済む人間の綺麗事にしか聞こえない。以上の点から、真犯人の行動は法律に反しているとはいえ共感できるものだった。

 ストーリーの構成は、真犯人が明らかになった辺りから、やや冗長になってくる印象を受けた。検事の父の孤独死のエピソードも、彼女の心境の変化を描きたかったのだろうが、入れる必要があったのか疑問だった。しかし全体としては良い映画だった。

根岸 圭一
R41さんのコメント
2024年10月28日

いつもありがとうございます。
この作品のように、対立する複数の意見があるということは重要な社会問題だと考えます。
根岸さんが仰るように、介護に必要な資金があれば…という前提が正しい場合、そうすべきなのです。そしてその前提は正しいと考えます。
しかし、石破政権は選挙前にウガンダに45億支援しました。
また岸田政権はウクライナその他外国に何十兆円もの国民の税金を支出しました。
岸田の支出だけで、日本が抱える恒久的な問題はすべて解消できます。
ただ、
そこに割り込みすべてを委託または派遣にする寄生虫業者の退治も必要です。
これらを抜きにした討論にならざるを得ないようなことが残念でなりませんが、介護の現場状況ひとつとってみても、待ったなしです。
どうしようもないわけではないはずなのに、現状はどうしようもないところまできているということを伝えるためにも、映画というのは重要な役割を持っていると考えます。

R41