「怒濤のエンタメの根底に流れる、同胞への熱いメッセージ」RRR REXさんの映画レビュー(感想・評価)
怒濤のエンタメの根底に流れる、同胞への熱いメッセージ
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マトリックス、レ・ミゼラブル、ベン・ハーなど数々のアクション大作と歴史大作を混ぜ合わせたような、極上のエンタメ。
二人の主役は不屈の精神と不死に近いパワーでバタバタと敵をなぎ倒す。恋愛はメロドラマ風だし、毒や怪我が一瞬で治る魔法の薬草に突っ込みたくもなるが、そんな些末なことはどうでもいい。とにかくすべてが画(え)的にもかっこいいし、とにかく全ての場面が熱を帯びているのだ。
この物語の根底には白人からの差別と独立へ闘いの歴史が流れている。これからも暴力や権力が国を揺るがすならば立ち向かうべきなのだと同胞を鼓舞し、ラストで昇華するそのたぎるメッセージ性はインド人ではなくても、世界中の人間の胸をうつだろう。
社交ダンス場面での黒人ドラマーの同胞意識、ビームの拷問中に怒りの沸点に達する民衆、ラーマの父と息子のエピソードなど、ぐっとくる箇所は枚挙に暇がない。
何より貧しい田舎者のビームが最後に求めた見返りがお金や武器ではなく、文字というところが現実的で、教育や知識の大切さを訴えかけることで、ドラマを引き締めている。
いわゆるボリウッド的な映画を初めて観たのだが、最初に最高傑作を観てしまった感。他のボリウッド映画を観ても物足りなくなるのではないだろうか…?それが一番の問題点だ。
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