「恐るべきインド映画とそのパワー」RRR ターコイズさんの映画レビュー(感想・評価)
恐るべきインド映画とそのパワー
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熱い友情、裏切り、権力への抵抗というのは万国共通のカタルシスを呼び起こす要素で、RRRではその要素がとにかく濃厚で熱い。ラーマとビームは意気投合し兄貴!と絆を結ぶし、身体能力超人のラーマには隠している過去と意図がある。襲撃となれば猛獣が画面を駆け回るしオートバイすら投げ飛ばされる。炎の中での二丁拳銃とくれば「男たちの挽歌」を思い出すし「ガンパウダーミルクシェイク」をも思い起こす。パーティではタンゴやフラメンコを誇る白人をキレキレのナートゥでねじ伏せる。ここまでやるかという過剰さはこの作品ではエネルギーにしか見えず、単純に熱くて楽しい。
RRRは英語では、蜂起、咆哮、反乱の頭文字だが、タミル語などでは怒り、戦争、血なのだという。その差というのがそもそもわたしたちは民族や文化的に隔たっているという事実を示していると思う。自分に関して言えば、ラーマとビームがインド独立運動にかかわる実在の人物であることも知らずに観ていたわけで、インドにおいてこの作品が持つ意味や価値をわかっているとは言い難いのだろうなと思う。あの怒りも、傷も、涙も、けしてエンタメのためだけのものじゃないということ。
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