劇場公開日 2022年10月21日

「イギリスが死ぬほど嫌いなのは分かった」RRR @花/王様のねこさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0イギリスが死ぬほど嫌いなのは分かった

2022年11月20日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

興奮

インドが英国の植民地時代だった頃が舞台になっている。
この前鑑賞した「スーパー30アーナンド先生の教室」でも、英語ではなく母国語のヒンディー語でスピーチをさせてください。英語は私たちにとっては大きな壁なのです。って言葉があった。

大国の植民地として、奴隷として扱われた歴史のある国だからこそ、自分達の国を勝ち取ったと言う思いが強い。

平和ボケした日本人なので、イギリスが使っていた銃を奪って銃による統治、支配をしても国内に格差が生まれ、今度は国内で内戦になるんじゃないだろうか?と考えてしまう。
タイトルのRRRは
RISE(蜂起) ROAR(咆哮) REVOLT(反乱)を意味しているそうだ。

国の外に大きな敵がいると民意は纏まりやすい。
纏まっているようで、行動が伴う人は少ない。
英国軍に妹を攫われたビームと大義のために英国の警察官になったラーマ。
2人の主人公を軸に物語が超スピードで駆け抜けていく。

インド映画は上映時間がとにかく長い。
3時間耐久レース。膀胱との戦いだが、作品のテンポも早く息をつく暇がないくらい胸熱展開の連続なので、尿意も吹っ飛んでいく。
今作も勢いが凄まじい。
キャラクターの感情がとても分かりやすいので、感情移入しやすい。葛藤する姿や共闘する姿に心が震える。
物語は単純ではあるが、ここでそれが活かされるのか!ここでそれが必要になるのか!と伏線回収にも余念がない。

今時珍しく勧善懲悪なのも見やすさの一因だと思う。
敵は大国イギリスだ!これでもか!と言うくらい底意地の悪い悪役として描かれている。一方でインド人に寄り添おうとする人もいると言うフォローも忘れない。

大国を倒し、自国を、妹を取り戻す!と言う主軸がブレないので先が読めてしまう展開でもワクワクしながら楽しむことができる。

インド映画は高度経済成長時代の日本の雰囲気に似ている。
日本でもかつては人情と国を自分達が守っていくんだと言う思い、自分達の文化や言語を守りながら、学をみんなが身につけたいと思って切磋琢磨している時代があった。
誰がなんと言おうと、自分達は自分達の生きる場所を自分達で統治すると言う意志があった。
日本はアメリカの植民地ではないけれど、戦争には負けた国なのだ。
だからこそ、インド人が大国イギリスに反旗を翻す内容にも共感できるし、応援したくなる。
日本人が好きな展開が盛り込まれているのがインド映画なのかもしれない。

映画の最後でビームのいう台詞が、バーフバリやスーパー30に通ずるものがあった。
やはり、知識を身に付けることが国力を増強する上で必須であり、みんなが平等に教育を受けられることが当たり前なんじゃないことを痛感した。

本作はインド映画は未体験という方にもオススメできる作品なので、是非劇場に足を運んでご鑑賞ください。

@花/王様のねこ