仕掛人・藤枝梅安2のレビュー・感想・評価
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時代劇ならではの役者の演技
初回作がよかったので、2回目も観ると決めて、公開3日目に観てきました。映画館では年配の方が目立ち、時代劇ってやはりこの年代にもたのしめるものだなと思います。
さて、今回も役者の演技が深いです。豊悦、菅野美穂、片岡愛之助はさすがの味わいある演技だし、今回は佐藤浩市も加わって、悪役でも妻を梅安に殺められた過去をもつ役を演じてます。
佐藤浩市役にとっては梅安は妻の仇。さらには、片岡愛之助役・彦次郎の妻子の仇も早い段階で出てきます。この悪党役が椎名桔平でヤバい目を演じてます。この悪党がいかに悪いことをしたかが、憎しみの深さにかかわるからか、彦次郎の妻に与えた被害はひどいものです。
そうした梅安と彦次郎の過去、仕掛人になったキッカケのような哀しい過去と仇が錯綜していって、最後は梅安、彦次郎が生き残るものの、自分たちもいずれ殺められるような予感をもっていて、殺しをやるやつはいずれ殺されるという諦念のような気持ちを持っていて、それが単なるスーパーヒーローものではない深みを感じます。
時代背景として、江戸時代、京ではまだこうした刀剣でもって市井の人々を脅かして、カネと女を横取りするような悪党たちが、取り締まりの網目からこぼれていたのでしょうか。江戸時代って、人口が増えても都会は治安がいいイメージもっているので、史実はどうだったのかなって少し興味出ました。
エンドロールが終わってさぁ明るくなってザワザワってし始めそうなときに、最終カットが少し流れますので、エンドロールが終わるまで映画ってことで、それまで静かにしておく、これも鑑賞マナーのひとつだと思います。
ちょっと苦言も言っておきます。
第1部のポストクレジットシーンから始まる本作、ネタバレなしでレビューを書くことは困難のため「ネタバレ注意」にしておきます。悪しからず。
2部構成にはなっていますが、制作については通しで行われているわけで、キャストは勿論、制作陣も変わらず根本的な部分で印象は変わりません。一言でいえば「好きです」ね。
まず、脚本は概ね申し分ない出来だと思います。仕掛人には「因果」がつきものです。第1部は主に梅安の過去であり「わだかまり」としてまつわり続ける「母、妹」の話がベースにありましたが、第2部は「ある男」の登場をきっかけに、相棒である彦次郎の過去が解き明かされ、また意外な展開でまた別の梅安の過去が絡んでいきます。自分が仕掛けた仏を見ながら「次は自分が」と思い続ける彼らは、どこか本能的に「自分の死に時」を選ぶような選択をします。今回も腕の立つ浪人(+取り巻き5人)の仕掛けをあっさり請け負う梅安。彦次郎のために躊躇のなく命をかける選択をするところは胸アツです。
ただ、取り敢えずここで一旦苦言を挟みますと、、、1部のレビューでも少々触れましたが、肝心な仕掛けの中で一部巧くない演出があり残念です。今回、6人の仕掛けのうち、4人目(実際には3人)までは特に悪くありません。基本、梅安の仕掛けは小細工のないシンプルさがカッコよさでもあります。そこからの5人目、6人目の仕掛け。仕留め方は別に悪くはないんです。仕掛人の目的は確実に殺すことであり、自分より腕の立つ相手に真っ向勝負を挑む必要はないわけで、あんな方法も否定しない、のに、なんでそこ、苦しみだす順を逆にしたのか。。反って井坂が苦しみだす瞬間に注目してしまう分、椎名さんの演技が「アホっぽく」見えてしまう残念さ。。。別に、飲んだ順で苦しみだしていいのに、何であんな演出するだろうか。かなりカッコ悪いです。がっかり。。
そして舞台は江戸にもどります。京都でまたもや自分の過去の因縁と立ち向かうこととなった梅安。自分で選んだ「死に時」とは違い、付け狙われる対象となったことで動揺しますが、やはり梅安のよりどころ「おもん」の登場で、観ている私たちも救われます。今回のおもん役、菅野美穂さんは何だかハマりが絶妙なんですよね。。一見、拙く見える演技なんですけど、芯の強さや包容力を感じて結局は「恐れ入りました」と感じます。ちなみに、池波作品における重要なポイントは女性と料理です。2部では特におるい役の篠原ゆき子さん、ポイント高いですね。素晴らしい。そして、料理では彦次郎の「醤油の焼き握り飯」。思わずハラが鳴りましたw
さて脱線しましたが、後半は仕掛ではなく因縁との決着です。死を覚悟しながらその時を待ち、そして対決へと至るわけですが総じて悪くない出来です。彦次郎も大活躍。ただ、ここでもう一つ苦言です。佐々木八蔵、、井上半十郎の相棒なんでしょうけど、この佐々木については何の掘り下げもないため、仕事でもなければ因縁もないのに、なんで梅安たちと戦ってるの?エピソードの一つでもあれば、井上に付き合っている理由も見えるのに、伊達にイケメン配役してるので反って悪目立ちで違和感です。
とまぁ、苦言を挟みつつも2部作通して満足の仕上がり。まだまだ続いてほしいと思いつつ、そもそも2部作の終わり方は「完結」と言った感じは皆無です。そこで「今回も何かあるな」とエンドクレジットを観ていると「!」。やはりありました。本編にはいなかったはずのあのキャラクター。そして配役のお名前。もう皆さん解っているようで(私の周りで)立ち上がる人はいません。そしてお約束のポストクレジットシーン。「出ました、池波ユニバース!」。鑑賞後に映画.comで確認すると24年5月にあるタイトル名とキャスティングを発見です。これ、単にポストクレジットシーンにおける「サービスショット」なの?それともまさかの「クロスオーバー」させるのか?ユニバース化実現の有無はかなり楽しみですが、情報は入れ過ぎないように来年を待ちましょう!
今回は豊川悦司VS佐藤浩市。そして、、
相変わらず登場人物がほとんど壮絶な過去でもう。。
椎名桔平さん、バスカヴィル家の犬でもキーマンでしたが、今回も狂気の役のほうは目が怖かったです。
そして豊川悦司と佐藤浩市対決も勝てるかどうか微妙な、一筋縄ではいかない敵役でさすが佐藤さんだと思いました。
エンドロールですぐに帰る方達が居ましたが、今回おまけ映像がありました。
続編は果たしてどんな物語なのか?!
とりあえずは、行きずりで助けた足の悪い少年が、梅安先生のように何か手に職をつけたりしてそれなりに無事に幸せに生きていってくれることを願うばかりです。
彦次郎の意趣返しと梅安のけじめ
梅安と彦さんの忌まわしき過去
池波正太郎の生誕100周年を記念した『藤枝梅安・仕掛人シリーズ』の第2弾。自分の地元、駿河の国・藤枝出身の闇のヒーローという藤枝梅安が主人公だから、1作目に続いて楽しみにしていた作品。本作でもしっかりと藤枝出身をアピールするシーンがあり、個人的にもニンマリ!
本作では、梅安の相方・彦太郎の忌まわしき過去を振り返る中での、妻と子供を殺した極悪人・峯山への敵討ちに燃える復讐劇と、梅安自身が過去の過ちから殺めてしまった女の夫・井上からの復讐劇という、両面が並行した形で、展開されていく。
前作のラストで、彦太郎が見つけた妻と子の仇の井坂。後をつけてその井坂の正体を探るのだが、本当の仇は、井坂の弟・峯山であることを知る。そんな中で、梅安は、京都の元締めから悪事を繰り返す峯山の仕掛の依頼を受けることになる。そして彦太郎と協力して、仇の峯山と対峙していく。
一方で、逆に梅安を妻の仇と復讐心に燃える井上は、梅安同様、京都で仕掛けを生業としてる浪人。梅安が京都にいることを知った井上もまた、梅安を追って、妻の仇として命を狙ってくる。それぞれが復讐する側とされる側として、憎悪の連鎖となって、息詰まる攻防が展開されていくのだが、そこは『仕掛人』、見応えある仕掛けが繰り広げられていく。
出演者は、1作目から引き続き、藤枝梅安を豊川悦治、相方・彦太郎を片岡愛之助、梅安を愛おしく思う女中・おもんに菅野美穂が出演。そして、敵役となる峯山と井坂の2役を椎名桔平が演じ、梅安を仇と思う浪人には佐藤浩市が飯伏銀な演技を見せていた。そして、1作目でも登場していた、梅安のお手伝い・おせき役の高畑淳子の演技は、シリアスなドラマ中に、一服の柔らかさが伝わる、アクセントにもなっていたと思う。
そして、前作の椎名桔平に続いて、エンドロールの中に出演してなかったはずの大物俳優の名前があり、「あれ?」と思ったのだが、エンドロール後に、『藤枝梅安3』へ続くシーンがあるので、席は立たないように。
因縁だらけの人生ですから、そりゃ疲れて死にたくもなります
嬉しいオマケ
快作かと。
人情深さ
先生の針が恋しゅうございます
1作目の終わりで予告されていた待望の続編。今回は京を舞台に彦次郎にまつわる話…と思いきや、それだけでは終わらせない。梅安のもうひとつの過去バナに、この時代でも髪の量が多すぎて後ろにまとめている(違うか)佐藤浩市を強敵としてぶっ込んできて、クライマックスを盛り上げてくれる。
登場人物の誰もが脛に疵を持ち、そこは主人公も例外ではなく、薄暗い過去から来る弱さを抱えているのがいい。人妻に女を教わり(篠原ゆき子というのがまた絶妙)、死を覚悟した闘いを前に、鍋のハゼをちゅうちゅう吸うようにおもんにむしゃぶりつかずにはいられないトヨエツ梅安。闇のヒーローとはいえ実に人間味がある。今作は愛之助とのブロマンス要素より、女にモテモテのトヨエツ全開であり、言い換えればそんなモテモテ許すまじで命を狙われているわけである。
仕掛けのシーンは際限なく殴り合うバトルもののようなクドさがなく、潔く終わる。山犬の眼・桔平の最期なんか毒薬&縛り首というカッコ悪さ(笑)。裏切り必至のアウトレイジにしか見えなかった白子屋・石橋蓮司が信頼のおける蔓というのは意外性があった。
エンドロール後の幸四郎についてはちょっとググったところ、来年に池波正太郎バースが続くということらしい。本作1・2とも堪能した身としちゃあ、梅安先生にはもう1本ぐれえ針を打ってもらいてえもんだが。
「梅×彦」度、飯度は低めも、時代劇としては面白い
2ですが、あまり1と関係ありませんので、2から観てもok。
1と同じく仕掛=殺しの依頼を受けた梅安さんと彦次郎が取り組むのが、色々と因縁のある相手。梅安さんは鍼医で、彦次郎も元は寺の下男で、二人とも刀は使えない。しかし、今回の相手はバリバリの侍と剣術使い、さあどうする。
時代劇としては1よりも面白いかも。あまり本編が面白いので、1の時に楽しんだ「梅×彦」のBL妄想が出来なかった、、、
今回は仕掛けが忙しく、あまり二人がイチャイチャ飯を食べる暇がなかった、、、。椎名桔平と佐藤浩市と、、、これもどうかな〜。
「美しい彼」というガチBL作品が今週末公開のようで、今日はやたらと腐なお姉たまが映画館に多いです。が、BLというのは本来は、歌舞伎・落語・宝塚と同じく日本が誇る「見立て」という大変高度な演芸なはず。これからも、こういう作品を見つけたいですね〜
もはや芸術作品と言える
彦さん、梅安さん、彦さん、梅安さん・・・・・二人が話すとき相手の名を必ず呼ぶのが不思議だった
チャンバラ劇として見応えあり。殺し屋としての覚悟、闇の世界で生きる者の悲しみが伝わる戦いにしびれました。
池波正太郎原作の同名時代小説の映画化第2弾。
はり医者と冷酷な仕掛人の両面を持つ梅安を豊川悦司が演じ、色気と諦観漂うダークヒーローを創出しました。
前作は、梅安は、実の妹の殺害の依頼を受けて、紆余曲折のなかで実行してしまうまでが描かれました。今回は、まず彦次郎が仇として追っていた人物を京への旅先で見つけて、さらにその人物の殺しを梅安が受けるという彦次郎の過去に迫る話が先行します。さらに今度は、梅安が昔患者だった武家の妻女と不義密通の仲となり、あげくに殺してしまったことにより、仕掛人となっていた元夫の凄腕に追われるというふたりの因縁が複雑に絡まる設定となっていました。
チャンバラ劇として見応えあり。殺し屋としての覚悟、闇の世界で生きる者の悲しみが伝わる戦いにしびれました。撮影や照明など丁寧なスタッフワークが集結して、見応えたっぷりです!
京では、無頼の浪人集団が町家で暴れまわっていました。金や酒、女を強奪し、逆らう者は容赦なく斬り捨てる。その中心にいるのが井坂惣市(椎名桔平・二役)という男でした。
そのころ、藤枝梅安(豊川悦司)は幼いころ自分を拾って、鍼医にしてくれた恩人・津山悦堂(小林薫)の墓参りのため、相棒の彦次郎(片岡愛之助)と京に向かっていました。その道中で、彦次郎はある男の顔を見て「あの野郎、生かしてはおけねえ」とつぶやくのです。
男は、彦次郎の妻と子を死に追いやった憎い仇でした。初めて明かされる彦次郎の生い立ち。しかし、男はきちんとした身なりの武士であり、非道を働くような人柄には見えなません。梅安は本当にこの男が仇なのか違和感を覚えます。同じ旅籠に泊り、身元を探ると、男は 松平甲斐守の家臣・峯山又十郎(椎名桔平・二役)とわかります。悦堂の墓前で、悦堂を亡き父の恩人だと感謝する又十郎と会話した梅安は、この男が仇ではないと確信するのでした。
けれども峯山には不審な動きもありまし。その夜、上方の顔役で殺しの依頼を仲介する元締“蔓”でもある白子屋菊右衛門(石橋蓮司)と久しぶりに再会した梅安は、いきなり井坂の仕掛を頼まれます。一方、店ですれ違いざま、梅安の顔を見て、目を見張る浪人がいました。男の名は井上半十郎(佐藤浩市)。井上と梅安も切り離せない憎悪の鎖でつながれていたのでした。新春の祭りで華やぐ京の町で、彦次郎と仇、梅安と井上、暗い因縁の決着をつけるべき時が巡ってくるのです。
仕掛人梅安が生み出す独特の世界観と時代劇の醍醐味である活劇のワクワク感を堪能できました。佐藤や小林、椎名ら重厚な俳優陣が加わって、男たちの宿命と人間模様も映し出すてんこ盛りの一本です。今回の映画版では過去の因縁が明らかになって、梅安が悪だくみに利用されたり恨みを買ったりしていたと描かれます。正邪の境があいまいになった現代を映したのか、陰影が濃いなと感じました。苦みと渋みが加わって、大人の味わいです。
特に梅安を慕っているおもんが、井上半十郎の襲撃を受けたとき、「あなたは誰と闘っているのですか」と渾身の言葉を放ったとき、演じる佐藤浩市の「俺自身だ!」というかえし言葉には、しびれました。この台詞の意味を、ぜひ大きなスクリーンで感じ取ってください。
ところでエンドロール後のもう終わったようなひと呼吸置いて、梅安がおもんのいる通いの料亭へ顔を見せると、遊び人風情の男が店から入れ違いに帰ろうとしていて、亭主が「長谷川さま、またのおいでを」と丁重に見送っているシーンが出てきました。
この遊び人風情の男の尋常ではない佇まいに驚いた梅安が、亭主はお客様の身上は明かせませんとやんわり断られます。
でも本編では登場しなかった松本幸四郎のクレジット。そして本作シリーズと同日に製作が発表された来年の公開開予定の『鬼平犯科帳』のことを思うと、今から楽しみです。最後まで席をお立ちになりませんように。
「緒形拳版しか許さぬ」そう言った友人にも勧められる今作
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