「外道にしか断てぬ外道がございます」仕掛人・藤枝梅安2 マスゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
外道にしか断てぬ外道がございます
藤枝梅安1に引き続き
これでもかと因果が絡み合った
ハードボイルドな世界観で
仕掛人藤枝梅安の鍼が光ります
今度は舞台は京都
前作で助けた剣士たちを
上方(大阪)でかくまう
ついでに師匠「津山悦堂」の
墓参りに彦次郎と旅をする
事になった梅安
その道すがら彦次郎は
忘れえぬ生涯の仇の顔を
見つけ目の色を変えます
梅安を巻き込むつもりはない
と彦次郎は言うものの
どんな事情があったか
聞くことになります
彦次郎は十で家出し
孤独の身ながら妻子を
もらいささやかな幸せを
つかんでいたものの
ある男達が突然現れ
彦次郎の目の前で
突然妻を犯しあえて彦次郎の
命をとらず見せつけるように
したという超外道
妻は乳飲み子を道連れに自殺
彦次郎は妻と子の仇を討つべく
仕掛人になっていったのです
梅安はそこで彦次郎が
自分と同じような境遇で
あったことを初めて知ります
梅安もその男は到底許せないが
道ですれ違った男は
確かに(彦次郎の断言する)
顔は同じでも
あまりに雰囲気が違う
奉公人の身なり
宿まで後をつけるとなんと
津山悦堂の墓参りをし始める
(この時空の狭さが池波ワールド)
そこで詳しく話を聞くと
名は「峯山又十郎」と言い
大名に使える剣術道場の
師範代の生まれ
父が津山先生に命を助けられ
年に一度必ず挨拶に来ていたが
父も亡くなり代わりに
訪れているとのこと
その話は梅安も聞いていたようで
どうやらこの男は彦次郎の
言っているような男では
ないと梅安は確信しますが
話の中で双生の弟がいることも
知りその名は「井坂惣市」
自分が養子に入ったことで
しばらく会っていないとの事
梅安は話の中で又十郎に
まだ隠している事が
あると感づき宿を張っていると
京都の蔓(仕掛の元締め)の大物
白子屋菊右衛門が又十郎を訪れます
白子屋には過去に仕掛を依頼された
事もありこれは何かあると梅安は
白子屋が出入りしている茶屋に
向かいます
又十郎は仕掛を依頼して
いたのはその弟(の一味)
井坂は剣の腕に溺れ太平の世で
持て余しごろつきと傍若無人の
限りを尽くし目が届かない
無法地帯の京都で略奪誘拐
好き放題とのこと
白子屋も知ってはいたが
又十郎の依頼金が要求の
半分以下で首を縦に振らず
それでも引かない又十郎
白子屋も井坂の一味が
街を脅かしている事は
承知しているからでしょう
しかもそいつらの腕が
相当立つことも
そこで白子屋は
手練の剣士「井上半十郎」と
仲間の若い剣士「佐々木八蔵」
にダメ元で依頼しますが
あまりに安い依頼金で話にならず
そのすれ違いでやってきた
梅安が詳しい話を聞き
その仕掛を請け負います
その途中ですれ違った
半十郎と梅安
ここにも何か因縁が
あるようです
(もーこんなんばっかり)
梅安はここで彦次郎に
委細を全部説明し
本当の仇が惣市であること
その仕掛けを自分が
請け負ったことを明かします
彦次郎は巻き込みたくない
と思いつつも力を貸してくれる
梅安に言葉にできない感謝を
しつつ仇討ちを改めて決意します
まず二人は惣市の取り巻きから
酒を飲んだ帰りを狙って
始末していきます
そして仲間が殺され最後にいた
酒場の店主を問い詰める
惣市の仲間を始末していきますが
鍼を使おうとした瞬間を
そこへ入ってきた半十郎に
見られかけたところで
とっさに逃げ出します
梅安に只ならぬ復讐心を持つ
半十郎と梅庵の間にある
ただならぬ関係とは?
かつて
井上半十郎は妻「おるい」
のある腕の立つ剣士でしたが
津山悦堂亡き後医院を受け継いだ
梅安はおるいの元へ治療へ
行っていましたが
家を空けがちの半十郎に
よっておるいはあろうことか
劣情を抱いて梅庵を
押し倒してしまったのです
梅安はまんざらでも
なかったのですが
おるいはそこを半十郎に
詰められると自分が襲われたと
嘘をつき半十郎は梅安を
半殺しにしてしまいます
なぜ討ち捨てなかったのか?
おるいの不貞をかねてより
知っていたのだろうと梅安は
勘ぐっていました
その後医院へ謝りにくる
妻ですがそれでも好きだから
心中しようと匕首片手に
襲い掛かってきます
そこでとっさに鍼で急所を
突いて妻を殺してしまいます
これが梅庵が仕掛人になる
きっかけとなり
半十郎は鍼跡から
梅安を生涯の仇とし
探し求めていたのでした
さて
残り二人になった惣市一味は
金と女を漁りに行き
泥酔したところで飲んだかめの水に
仕込んだ「(前金の)20両する毒」
で弱らされ彦次郎の妻同様
首をくくられ無様な最期
しかしそこで半十郎と八蔵が
現れ梅安に襲い掛かろうとしますが
謎の暗殺者に囲まれます
半十郎も八蔵も凄腕で暗殺者を
さっさと片づけていきますが
梅安と彦次郎はその場をしのぎ
暗殺者が白子屋の手の者だと
確認し救い出した少年を
白子屋に預け江戸へ戻ることにしますが
半十郎に面も割れその後の展開は
わかっていました
医院へ戻るとおせきを早く帰し
彦次郎を屋根裏に忍び込ませ
半十郎と八蔵を待ち構えます
半十郎は事前に梅安の来店を
待ちに待つおもんがいる井筒屋に行き
梅庵の居場所を探りますが
アッサリ教えるおもんに
あの男を好いておるかと詰めると
おもんは正直に答えます
あいつはお前のことなど
何とも思っておらぬと
半十郎は看破しようとしますが
おもんはそれでもよいと
こうした自分の(おるいに対しての)
一途な思いを逆に思い知ったのです
「誰を許せないのですが」と
おもんに聞かれると
半十郎は混乱しながら
「許せないのは自分だ」と
吐き捨て井筒屋を去ります
梅安はどんぶりに卵かけご飯
彦次郎は醤油を塗った握り飯
(これがまたうまそう)
を食べて襲撃に備えます
案の定半十郎と八蔵は
襲撃してきますが
半十郎は彦十郎の毒矢を
二つも受けても暴れまわるも
梅安の首まであと一歩の
ところで絶命
梅安はこのまま斬られても
是非もなしと思うのでした
母に駆け落ちをされたことで
悲しみにも怒りにも混じった
感情しかなかった梅安には
片づけきれない感情
そんな気持ちをおもんに
ぶつけつつ梅安は再び
鍼医者と仕掛けの日々に
戻っていくのでした
いやー相変わらず渋い
やりすぎなくらいの
テンポの良さも120分に
ギッチリ詰まってて満足感
高かったと思います
どんな場面でも
梅安と彦次郎のいちゃいちゃが
楽しめて良かったです
あーあとね
ラストに大サービスがあるんですが
スタッフロールでネタバレするんですよ
あのへんはちょっと工夫がほしかった
ですねぇ