「重厚な物語をテンポよく魅せる!」仕掛人・藤枝梅安2 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
重厚な物語をテンポよく魅せる!
待ちに待ったトヨエツ梅安の第2部。公開2日目の土曜の朝イチの上映回でしたが、熟年男性が大半を占めるまあまあの客入りでした。時代劇の人気の高さを再確認して、ちょっぴり嬉しい気分で鑑賞スタート。
ストーリーは、梅安と彦次郎が京都へ向かう途中、かつて彦次郎の妻と娘を死に追いやった仇と瓜二つの男を見かけ、素性を探ろうとする中、京都の元締から彦次郎の仇の殺しの依頼を受けるが、その一方で梅安自身も浪人・井上半十郎から仇とつけ狙われるというもの。
本作は、彦次郎の復讐と梅安への復讐が織りなす、情念の物語として実に見応えがありました。登場人物の過去を回想シーンとしてうまく取り込み、人物像を深掘りし、人間ドラマとしての厚みを加えている点がとてもよかったです。無駄なシーンは一切なく、すべてが必要にして十分な描かれ方をしているように思います。そのため、ゆったりとした語り口と所作でありながら、物語の展開としてはとてもテンポがよく、ぐいぐい引き込まれます。
映像的には派手な演出はなく、夜のシーンは全体に暗いのですが、それがかえって好印象です。衣装やセットはもちろん、小道具やライティングまで、こだわり抜いた絵づくりがなされていることが伝わってきます。おかげで、江戸時代の風情や情緒、町人たちの息づかいが随所から感じられ、劇場内はもはや江戸時代です。
終盤は、梅安が死亡フラグを立てまくりながらラストに向かうのですが、その決着の付け方も十分に満足できるものでした。まだまだこの世界観に浸っていたい気分の中、エンドロールを眺めていたら「長谷川平蔵」の文字を目にして、「あれどこで出てたっけ?」と思ったら、まさかのポストクレジット。いいですねー!鬼平とのクロスオーバーですか!まだまだ今後も期待できそうです。
今回は仕掛けが少なめで、その点は物足りませんでしたが、そのぶん骨太の物語が魅せてくれます。そして今回も、おいしそうな料理が登場したのは嬉しかったです。
キャストは、梅安に豊川悦司さん、彦次郎に片岡愛之助さんで、もう長年コンビを組んでいるような安定感が秀逸です。そして、脇を固めるのは、椎名桔平さんと佐藤浩市さんで、このお二人がさすがの貫禄で一気に作品の雰囲気を高めています。やはり敵役に魅力があってこそ、主役が引き立つというものです。女優陣では、菅野美穂さん、高畑淳子さんらが、前作に引き続き出演し、いい仕事をしています。
美紅さん、共感&コメントありがとうございます。
そちらのレビューにコメントできなかったので、こちらに返信いたします。
本作は、前作以上に奥行きと深みのある物語になっていると感じました。脚本も俳優陣も演出も文句なしです。久しぶりに満点つけちゃいました!