「デフレはホラー」君たちはまだ長いトンネルの中 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
デフレはホラー
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屁理屈全開だったらどうしようと構えていたが、しっかりエンタメしてました。
『コーヒーはホワイトで』の瞼重めのポーカーフェイスから、加藤小夏のギャップが凄い。
作品の温度感を見事に体現していました。
アサミの猪突猛進さや空気の読めなさも、高校生という年齢とそのキュートさで許容できてしまう。
政府や反対意見にも一定の理解を示し、全否定ではないところもいい。
話は、出会いや人の繋がりにご都合主義な面こそあれど、普通の女子高生の範囲で展開する。
当然日本を変えたりしないし、バズも即座に潰される。
草の根活動で興味を促したり商店街を盛り上げようとする程度で、アサミ本人も現状の無力さは自覚している。
クライマックスも、アサミではなく武藤議員の熱弁だ。
これは、日本が変わるには政治家が変わるしかない、というメッセージのように感じた。
もちろんアサミが全面的に正しいとは思わない。
ただ、こういう作品で取っ掛かりをつくったり石を投げ込むことは非常に意義深いと思う。
それを小難しい内容でなく、青春エンタメ映画として提供する手腕は素晴らしい。
アサミの主張が一貫してることが、逆に一意見の押し付けに見えかねないところだけマイナス。
戦隊ヒーローあがりの武藤議員の熱さと、落ち着いた声音と口調で説得力を出す二階堂議員の対比が好き。
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