劇場公開日 2022年9月1日

「東京から京都までの2時間で見るのにピッタリな"なんちゃって日本"( = 芳ばしさ)全開/全振りバイオレンスアクション・コメディ!」ブレット・トレイン とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5東京から京都までの2時間で見るのにピッタリな"なんちゃって日本"( = 芳ばしさ)全開/全振りバイオレンスアクション・コメディ!

2022年9月1日
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"To be honest," 正直に、散らかり放題!きかんしゃトーマスが言うには、"シンプルなのが一番"。本作は全速力フルスロットルでその逆車線を爆走していく!!
他人に批判的なのはよくない…日本人と、外国人の考える日本像の間には壁がある。けど壁には窓がある。くそっ、ドアだ。CG全開ソニースタジオ撮影ネオンジャパン。開始5分、10分くらいの時点ではまったく乗れなさすぎて「どうしよ…めちゃくちゃつまらないんじゃないか」という危機感に襲われたけど、昨今のアクション映画界を牽引する仕掛人デヴィッド・リーチ監督だけあってアクションはしっかりとしていて魅力満載!ジャッキー・チェンからの影響も感じられる、身近なものを使ったコミカルなアクション。出てくるキャラクター数飽和 & 時間軸交差。そのうちにこの散らかり放題な米国産"弾丸列車"はエンジンをかけ速度を上げていく。不思議とクライマックスに向けてそうした"散らかり放題"が --- 愛しい力技で(?) --- 収束していく。
頭空っぽにして見ていられる、24時間営業の夜行新幹線?原作未読(東北新幹線らしい)ながら寝台列車やそれに類似するような特急を想定したような設定や、「名古屋はずっと前に過ぎた( = 静岡はもっと前に止まっている)」みたいなセリフあったのに窓の外には富士山が見えていたりと安定の"なんちゃって"ぷり。車内販売のモノ取り放題、どこにでも侵入し放題のセキュリティガバガバな"いつの時代だよ!"というヤバい世界線。逆に観光客の気持ちになって見ていられるかも。この映画に乗車して、しばしのあいだ時間を忘れるようなカラフル極彩色とネオンの非日常に揺られよう。日本原作、日本舞台にも関わらず白人主体のキャスト/多国籍キャラ変更はホワイトウォッシングとの声もあるみたい。ホワイトウォッシュと言えば、4:3のブラウン管みたいなテレビに、ガラケーとかのほうが気になった。

《運命》ですべてつながっている。仕組まれた/集められた殺し屋たち --- 裏で糸を引く"ディーゼル"は一体全体誰か?一度見た顔は忘れない。役者スター同士の"今度はオレの番"みたいな横(あるいは縦?)の繋がりを感じた/見て取れた。ミュージシャンで言えば、ある曲では一方が"feat.(フィーチャリング)"で客演して、今度はそのアーティストがメインの楽曲やアルバムにもう一方が客演するみたいな。
各人の進んできた道が交錯する。まず、マリアビートル役サンドラ・ブロックということは鑑賞前から知っていたので、ブラピが本作に先駆けてキレキレアクション披露していた『ザ・ロストシティ』との繋がり/関連だなと思っていたけど、蓋を開けてみればそんなどころじゃなかった騒ぎ。『ヘイトフル・エイト』『フリー・ガイ』と"サプライズ・チャニング・テイタム三部作"と名付けよう?コメディアンっぷり発揮!『デッドプール2』で元々ケーブル役の候補だったブラピ、結果的にはカメオ出演にとどまったけど、デップー以降『フリー・ガイ』といった主演作ばかりか『Hobbs & Shaw ワイルド・スピード/スーパーコンボ』などカメオやそれに付随するようなプチ出演でも、キャラ確立してすっかり開き直ってる感のあるレイノルズも。『デッドプール2』と言えば、ラッキーな役柄を演じていたザジー・ビーツが、対して"世界一運の悪い"悪運のレディバグと戦うという。
次に、外国人祭りな本作で唯一日本人家族役のはずなのに、キャスティングのせいもあってなんだか逆に悪目立ちして浮いてる木村家(少なくとも日本人から見て親近感などは覚えない)。去年公開で、本編よりも、ケバケバしいネオンイメージの文字情報が忙しなく動き回るEDクレジットの方がずっと記憶に残った『スネーク・アイズ』に続いて、似た世界観の本作でカタコト"なんちゃって日本人役"ならきっともう任せろ状態なアンドリュー・コージ。去年と言えば『モータル・コンバット』でハリウッド映画出演以降、過去一でキッレキレなアクションを披露し最高に輝いたのも記憶に新しい、我らがレジェンド真田広之さんも、本作でもスコーピオンみたいな復讐シチュエーションに置かれている。…と様々な点で類似点を見出だせる。

笑いを誘うノリノリトリオ!!! もはや余生モードで歳とともに飄々とした肩の力の抜けた感じのブラピに、アーロン・テイラー・ジョンソン × ブライアン・タイリー・ヘンリー = 名前"3語"コンビが印象に残ったし好き!!
自社プランBで製作者として毎回/毎年(度)のように賞レースに絡みメインで賑わせるなど大成功しているブラピ、『マネーボール』の頃には「50歳で役者やめる」発言しながら有り難いことにそうはならなかったわけで、でもどうやらキャリア最終局面に差し掛かっているのは間違いないらしい。そんな締めのタイミングにアクション映画を進んで選ぶ余生モード(どちらも実現しなかったけど『デッドプール2』ケーブル、『グレイマン』主人公)。まるで『アイアンマン』以降のロバート・ダウニーJrやベネディクト・カンバーバッチetc...みたい!
秒で退場するキャラ続出!なのに、そんなキャラクターでもちゃんと名前の通ったキャスト使っているから豪華キャスト…。逆にそうした格差が少ないことが、誰がさっさと死んで退場するかということを分かりにくくできる面もある(まぁ見てたら分かるが)。ブラビとは戦車アクション『フューリー』で共演し、年長者と最年少として胸熱な関係を築いていたローガン・ラーマンもその一人なのでファンはドンマイ。すっかり大人になったな〜とは前から思っていたけど、いつまでも少年のイメージが拭いきれていなかったので本作の長髪髭タトゥーは新鮮だった。

♪ヒーロー
P.S. IMAX上映終わる前におかわりしておこうと思い立って『トップガン/マーヴェリック』を先に見て、何度見てもものすごく興奮&感動して体力使ってしまうものだから「ミスった…初見の『ブレット・トレイン』を先に見るべきだった」と思ったけど、結果的には"見る順番合っていたな"という芳ばしさで気張らずゲラゲラと楽しく見ていられた。2作品ともIMAXで見て両方に予告あった、チャドウィック・ボーズマンの死によって内容を変更せざるを得なくなった『ブラック・パンサー/ワカンダ・フォーエバー』、予告見てもどんな内容かまったく分からん。けど、ものすごく凄そうなことだけは伝わる…!
ちなみに本作アクションの"身近なものを使う"という面だけで言えば、本作製作としてクレジットされているアントワン・フークア監督作品『イコライザー』マッコールさんも、そんな設定でしたね

とぽとぽ
なないろさんのコメント
2022年9月1日

未読の方の意見がとても興味深かったのですが、物凄い洞察力で楽しくレビュー拝見させて頂きました!

なないろ