「渦巻のような物語」鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
渦巻のような物語
原作は読んでいませんが、2017年の劇場版は観ています。大泉洋さん演じるショウ・タッカーが娘と犬を錬成してしまう話が不気味で、もうこの作品は観たくないと思ったほどでした。でも完結編連続公開にワクワクして観に来てしまうのだから、世話なしです。
それとロイ・マスタング大佐がエドを「鋼の」と任侠ものそのままの呼び方をするチープさが気に入ったのも、覚えています。
今回も鋼の…は生きていました。
◉次々に投入される戦士たち
国家錬金術師、イシュヴァール、シン国、ホムンクルス、軍を牛耳る上層部までが広くはない街に溢れかえって、前作を上回る大きな渦巻を作っていた。
こんな境のない世界観が大好きなので、かなり興奮。戦闘シーンがキリもなく繰り返されるのも、この映画の潔い作風だと感じました。ただ、大勢出せば良いと言うものじゃないのも分かっているのですが。
◉ホムンクルスが秀逸
女子のホムンクルスは前作で斃されましたが、3匹どころか、もっといるんですね。
不気味でヒリヒリさせてくれるのに、どことなく間が抜けているエンヴィーを演じる本郷奏多さんが、また好きになりました。グラトニーは本気で怖い。
キング・ブラッドレイもホムンクルスだし、お父様も息を荒げて登場したし、やはりハガレンでは彼らホムンクルスが肝になる。
◉黒い復讐者を目指すのか?
新田真剣佑さんはるろうに剣心に続いて、怨念を抱いた敵役。そのパワーを別のことに生かしたらと思わせるほどのキレある武闘シーンは迫力がありました。血塗れと言うより、様式美に満ちた闘い。
比べれば、エドは少々、空回りするギャグが多すぎたかなと感じました。
◉散りばめられた格言 笑
「行わない善より行う偽善の方が良い」。そう呟いて人は好き勝手する側に身を置く。「造る者がいて、壊す者がいる」。これも、この作品の国家側の行動原理の根幹で、そう叫んでは破壊する。
噛みしめればタメになります。