「どうまとめるのやら…」鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)
どうまとめるのやら…
前作は酷評されているほど悪くない、と思っていたのだが、本作は「前作より断然良い」という評価が多いようなのだけど、個人的にはうーん…という感じ。
外国人名のバタ臭い人物を日本人が演じる違和感には2作目ではずいぶん慣れた(笑)
シン国のキャラは元々東洋系の設定なので日本人が演じても違和感がなく、それもあったのかも。
でも、前作のレビューでも指摘したディーン藤岡のマスタング大佐は相変わらず大根(笑)
それと今回から登場するスカー役の新田真剣佑も大根(笑)
低く抑えたセリフに凄みがなく、単なる棒読みにしか聞こえない。
マスタングとスカーは物語の中核にいる人物なので、この2人が大根だとかなり辛い。
山本耕史のアームストロング少佐は笑ってしまったが、そもそもあれはホモ・サピエンスには無理な造形なので、まあ頑張ってると言わなければ(笑)
そしてこの映画の最大の欠点は、やはりシナリオ。
前作でホムンクルス側の背景を何も語っておらず、クライマックスも彼らの目的とは関係ないプロットにしてしまったせいで、敵側の目的と計画を完結編2作で説明しなくてはならなくなった。
…なのに本作でもこの半端さ。
ホーエンハイムをやっと出してきたと思ったら、ほんとに出しただけ。
ここは原作ではとても大きな疑惑を読者に持たせる意味があるエピソードなのだけど、そもそも伏線を張っていないので、単にエドの父親が出てきただけのシーンに成り下がっている。
イズミもオリヴィエもまだ出てきていないので、「起承転結」の起だけで2作ぶち抜いて、3作目で承転結を駆け抜けるような構成にならざるを得ない。
ほんと、どうまとめるつもりなんだろ。
本編が終わっての予告編は、すべて原作のどのシーンか分かるので、最後は概ね原作と同じ方向でまとめるつもりらしい。それにしてはまだ伏線すら出してない仕掛けが多いようなのだけど…(笑)
その予告編、いきなり「うわーっ!予告編でそんなネタバレしていいのかー?!」って叫んだ(心の中で)シーンがあったのだけど、よく考えたらそこの伏線、映画ではまだ張られてなかった(笑)
え?でも3作目で張られるのだったら、やっぱりここは重大なネタバレになるのでは?
うーん、てことは、このプロットは映画では無視するのか…?
なんかグダグダなシナリオだなぁ…
マスタングとリザの関わりも説明されず、いきなりイシュバール殲滅戦で「お久しぶりです」と挨拶するシーンが2人の最も過去のシーンになっているので、イシュバール戦終結時のマスタングとリザの会話が原作未読者にはさっぱりワケが分からないものになっている。
雑なシナリオ、というより原作の「理解・分解・再構築」の過程の「理解」がロクにできないまま分解・再構築してしまったため、シーンやエピソードだけがバラバラに再構築されてしまった印象を受ける。
まあここまでつき合ったので、最終作も見るけどね。