シャイロックの子供たちのレビュー・感想・評価
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1本の映画に収めるなら、もう少し整理した方が良かったと思う
銀行支店で発生した詐欺事件に挑む、行員たちの活躍を描く物語。
ヒットメーカー池井戸潤が原作の映画ですね。
「倍返し」の池井戸だけに、ラストのカタルシスまで想像出来、安心して楽しめる作品に仕上がっていました。
ただ、映画としてみた場合、テンポが悪いように感じられます。伏線を張っている・・・と言われればそうなのでしょうが、もう少しテンポをあげないと、中だるみしてしまいます。
また、ラスボスに小物感があるのも球に傷。用意周到の割りに、素人探偵にあっさりと嗅ぎつけられる脇の甘さも、カタルシスを妨げます。
私的評価は、やや厳しめです。
痛快池井戸作品
「半沢直樹」でお馴染みの池井戸潤原作で、阿部サダヲ演じる主人公たちが銀行の裏の悪事を暴く社会派作品。「半沢直樹」同様銀行が舞台ということで、同じ銀行でもまた違った世界の銀行物語が繰り広げられていました。主人公とその部下2人を中心にストーリーは展開されていき、誰がどれだけの悪事を働いていたのか、最後まで予測がつかず、結末がわかったときにはなかなかにスカッとする、痛快作品でした。
直近で鑑賞した池井戸作品は「あきらとアキラ」が記憶に新しいですが、こちらも銀行員の話ですね。池井戸潤って銀行を舞台にした作品が好き?得意?なんでしょうか。「あきらとアキラ」はどちらかといえば胸アツの人間ドラマでしたが、本作はコメディ要素も含んだサスペンス風の痛快お仕事エンターテインメント、とでも言っておきます。これはストーリーが云々というよりかは、阿部サダヲの個性的な演じ方にあるのではないでしょうか。阿部サダヲって、どの作品でも似たような役柄が多いような印象ですが、ちゃんとそれぞれの役の唯一無二の個性を引き出しています。その演じ方にも強く個性が出ており、他のどんな役者にも真似できません。そんな阿部さんのお陰もあり、どんどん引き込まれるような映画になっていたと思います。こちらの予想をことごとく覆してくるので、その展開が癖になりました。「半沢直樹」にはない面白さが溢れていました。ちょっと難しい話をしている場面も見受けられて、理解が追いつかない気もしましたが、ストーリーそのものがよく練られているので特に気にすることなく最後まで見ることができました。
ちなみに本作は原作とは違うオリジナルストーリーのようですが、よくぞこんな話を作れるなと思います。作家、脚本家には毎度脱帽です。
面白かった
原作未読。
映画的に特筆する点はないが、それでも十分面白かったのは原作力が高いのでろう。
しかし銀行員は個人の口座情報まで会社に押さえられてるんだな
(自行に給与振込用の口座作らされるだろうから当然か)。
そう思うとちと怖い。
しかしちょっと前に公開された映画『スクロール』でパワハラ上司を演じていた忍成修吾が、本作ではパワハラで壊れる銀行マンを演じていたのは笑えないけどウケた。
時間を忘れる楽しい映画
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新しい支店に転勤になった銀行員・佐藤に橋爪が10億の融資を要求。
橋爪の会社の資料は全て粉飾だったが、佐藤は断れなかった。
過去に橋爪から裏金1000万円を受け取ってしまったからだった。
そしてこれが稟議を通る。しかし返済が滞り、連絡も取れなくなる。
会社の所在地にあったのはボロアパートで、名義も他人だった。
こうして大問題になるが、課長の阿部が全ての真相を見抜いた。
10億もの融資が、そんないい加減な審査で通るわけがない。
実は支店長の柳葉が橋爪とズブズブの関係だったことを突き止める。
佐藤は最初からそのために転勤させられたのだった。
支店長って花形なのかと思いきや、数年勤めたら出向になるらしい。
だから柳葉は今のうちに裏金を受け取りまくってたのだった。
阿部が飲み屋で知り合った柄本は多くの借金を抱えてた。
不動産は多々持ってるがボロばかりで、売るに売れないものばかり。
唯一見た目が立派なビルは、耐震偽装の物件だった。
でもそれは柄本が図面を見る目を持ってるから知ってるだけ。
世間一般ではそのビルは一流の物件に見える。
こうして阿部は柳葉と橋爪にこの物件を勧め、15億で買わせた。
映画のようなタイミングで直後に耐震偽装が発覚も、時すでに遅しw
柄本は分け前として3億円くれ、阿部は綺麗ごとはやめて受け取る。
で連帯保証人でヤミ金から返済を迫られてた1000万円を返済。
柳葉・橋爪・佐藤は逮捕され、阿部も会社を辞めた。
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ストーリーがよく練られてて、面白かった。
時間を忘れるほど引き込まれるし、勧善懲悪の痛快さもある。
やっぱり池井戸潤のこのテの映画はハズレがないな。
ただこの映画、阿部と上戸彩の映画かと思ってたが、
上述のストーリーに上戸が出て来ない・・・。
今考えるとあんまり重要な役柄ではなかったな。
最低女の木南から100万円着服の濡れ衣を着せられて、
それがきっかけで阿部が事件の真相を見抜くってだけw
上戸らしく一本気で飾らない、好きな役柄だっただけに残念。
あとよく分からんのが、橋爪って蒸発したんとちゃうかったの?
普通に公の場に出て来て、柄本の物件を購入手続きしてるのは何故?
銀行から借りた10億円を焦げ付かせてるのに?
しかも物件を買う金を、同じ銀行の別支店が融資するって何で???
いくら柳葉とズブズブでも、そんな稟議が通るとは思えんのやが・・。
お金は時に人を惑わすという事を教えてくれる映画
池井戸さんの小説を映画化している事を知り面白そうだと思い鑑賞。
舞台は東京第一銀行永長原支店で現金紛失事件が発生、この事件をベテランのお客様係の西本(阿部サダヲ)は、同じ支店で勤務する北川愛理(上戸彩)と田端洋司(玉森裕太)とともに、事件の裏側に隠され事実にたどり着いていくというもの。
銀行を舞台にしていることもあり、銀行内部の実情がリアルに描かれていると感じたし、お金に翻弄される行員の姿を通して、お金の怖さを知ることができる内容になっている。
特にお金に人生を翻弄され利用される支店行員の滝野(佐藤隆太)のエピソードでは、ラストに子どもの発表会で話す「パパはヒーローだ」という内容を聞き、自分の過ちを正す決意をして実行に移した姿は、家族の事を思うと簡単に出来ることではないだけに、子供に恥じない生き方を自らの姿勢で示したのだと思いました。
原作の小説は読んだ事はないけど、なかなか面白い作品でした。主人公役を演じた阿部サダヲさんは、まさにはまり役だと感じた作品でした。
「返せばいいってものじゃない」
東京第一銀行長原支店の課長代理滝野は、赤坂支店の顧客だった石本に10億円の架空融資を依頼され、受け入れる。滝野は、さらに100万円用立ててくれと頼まれ、行内の金に手をつけてしまう。100万円紛失で支店内は大騒ぎになり、無関係の北川が疑われる。北川の上司西木の取り計らいと、九条支店長らにより騒動はうやむやになるが。
シャイロックはベニスの商人の金貸し。物語は、十分に楽しめました。ただ現地を視察しないでの巨額融資は不自然と思いました。銀行員が闇金の連帯保証人だったり、競馬好きだったりは問題視されないのかなと思うけど、登場人物が大なり小なり問題を抱えているのが面白いです。
一言「狐と狸の騙し合いじゃんw」
(一応説明:悪賢い者どうしが、互いにだまし合うことのたとえ)。
劇場で予告がバンバン流れてて。それで見た気になってしまってて。
その予告の作り方が、なんとなくいまいちな気もする。
だって本編がとっても面白かったんです。手を叩くほど。
池井戸作品によく出てくる「不正融資」それも10億円。
そこに「銀行内で消えた100万円」等、話がてんこ盛り。
加えてアクが強い役者さんも揃って(予告参照)、よく2時間に収めたなあ。
そうくるか!と伏線が後半に生きてきてたし。
「銀行(小規模支店)の裏側見せます」みたいな面もあって。
大変だなあと言うより、銀行員も所詮人の子。当たり前だけど。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「金を返せばいい、というものじゃないし」
モヤモヤ感が残る池井戸潤作品‼️
おそらく多くの人が池井戸潤の作品に求めるものは、「半沢直樹」や「花咲舞が黙っていない」のような勧善懲悪、スカッとする水戸黄門様だと思います‼️しかし、この作品は確かに悪い奴(橋爪功、柳葉敏郎)はお縄を受けるわけですが、登場人物が受ける罰、贖罪が印象的な作品でした‼️バレなかったかもしれない過去の一時的な現金持ち出しの罪を後悔し、スーパーの店長代理になってる佐々木蔵之介、100万円の横領の責任を取って、刑務所で2年の実刑を受けた佐藤隆太などなど‼️そして銀行の過酷な業務で精神に異常をきたし、神社の狛犬に頭を下げる銀行員の描写はかなり衝撃的でした‼️今までの池井戸潤作品同様、銀行の闇を興味深く描き、物語自体は大変面白くできてると思います‼️ただ、全編を通して起伏に乏しいというか、テンポがイマイチ悪く、映画的なカタルシスが不足してるように感じる‼️淡々としすぎてるというか‼️阿部サダヲのキャラも柄本明からお礼に3億の小切手を渡され、「これを受け取ったらまっとうな銀行員でなくなる」とか言いながら、ちゃっかりもらっちゃってる‼️借金全て返済しても9千万円の丸儲け‼️銀行員辞めれば問題ないということか⁉️ただ柄本明と阿部サダヲの行為も完全な詐欺罪だと思うんだけど・・・。
実績を上げるために無理な融資をする銀行の闇が興味深かった。 柳葉敏...
実績を上げるために無理な融資をする銀行の闇が興味深かった。
柳葉敏郎が最初は単なる無能な支店長役だな、と思っていたら、後半は無能どころの騒ぎではなくなって驚いた。
映画としてはおもしろかったが、終盤の騙されたから騙し返すという展開はまともな銀行員のやることではない。
また、謝礼金に対してもそう。
主人公は後輩には偉そうに説教しておいて、結局自分も金を受け取ってしまったではないか。
終わり方はがっかりだった。
それなりには楽しめる映画
本作より前の池井戸原作の映画は全てスクリーンで観たが、本作は映画館スルーしてDVD鑑賞🎥
相変わらず、池井戸原作の映画は飽きさせることなく全編楽しめるが、これはチョットこじんまりした感じだった。これまでの映画のように「そう来るか~!」という驚きのような感覚がやや薄っすらした感じ😅
今回は某銀行の支店を舞台とした「架空物件の投資資金と偽って、銀行融資(大金)を騙し取る」という詐欺などを扱っており、その詐欺師に加担した者・調べる者・暴く者などを描いていて、キャスティングもナイスで確かに面白い👍
ただ、現在の銀行では、本作で描かれたような杜撰な事務手続きをするはずがなく、「現実離れしたところでの話」と思ってしまう😅💦
そのため、やはり自分の中に「醒めた眼で見てしまう感覚」があったのは事実。
また、予告編にも登場人物が紹介されていて、本編でも存在感はあったが、「パワハラ行員」などという人物も、現在の銀行社員にいるわけがない。
こんなパワハラ社員は、一発アウト!
そこもリアリティ欠けていた感あり…(^^;
……といろんな事を書いてしまったが、現実との比較などしないで観られれば、やはりそれなりに楽しめる映画だったような気がした (^^)
<映倫No.123132>
我々はアントーニオの子供か、シャイロックの子供か
知っている方ならピンとくるであろう“シャイロック”。
ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ヴェニスの商人』に登場する金貸し。
強欲な性格で悪人のように描かれているが、開幕この舞台を見ていた夫婦の会話。
お金を返さない方が悪い。金はただ返せばいいってもんじゃない。
夫は銀行マン。ギャンブル狂で、ATMから金を盗み、競馬で当て、戻すという不正を繰り返していた。
ある時その場を検査部の行員に見られるも、気付かれず、事なきを得た。以来、ギャンブルから足を洗った。
企業相手に金を貸す銀行をシャイロックに見立て、行員たち各々の罪…本作を暗示めいている。
お馴染み池井戸潤金融小説が原作。
こちらもWOWOWでドラマ化され、『空飛ぶタイヤ』『アキラとあきら』のように単なるカット&脚色の映画化ではない。
原作小説ともドラマとも違う映画オリジナル・ストーリーが展開。オリジナルキャラも登場。
原作の話を少し調べてみたが、確かに映画の話とは違うようだ。
原作は読んでいないので何処が違うとは指摘出来ないので、この映画版のみの感想を素直に。
話の入りである事件は同じようだ。
東京第一銀行・長原支店。
100万円が紛失する事件が起きた。翌日見つかったと言うが、それは上役たちが金を出し合って“揉み消し”。
営業課の愛理のバッグから帯封が見つかり、疑われる。それも同僚の嫌がらせ。
ゴミの中からある伝票を見つけた営業課課長代理の西木は、ある人物を怪しいと睨む。
お客様一課のエース・滝野。“江島エステート”という会社に10億円の融資を成功させたばかりだった。
この時滝野は一大事に追い込まれていた…。
“江島エステート”は名ばかりの会社。が、話を持ち掛けた石本は、見込みありそうな案を引き合いに出してくる。
何処か胡散臭そうな気がしつつも、滝野は上役からの営業プレッシャーから話に乗る。
印鑑証明も偽造。上役たちはこれに気付かず、受理。
大口案件に支店は喜び沸くが…。
ほどなくして、石本から返済難の電話。とりあえず100万円立て替えてくれ。
滝野は、同僚が顧客先に用意していた900万円から100万円を盗む。それを返済に。
100万円紛失事件の犯人は、滝野だったのだ。
しかしそれっきり、石本とは連絡付かず。本人も会社も姿を消した。
100万円紛失事件はただのきっかけに過ぎなかった。東京第一銀行長原支店は、架空融資で10億円損失という一大事に瀕していた…。
この大事件に真っ先に気付いた西木。
人のいい性格。部下の愛理が疑われた時も庇う。飲み友達の老人の相続問題に振り回されながらも、相談に乗る。この時紹介された訳あり物件、やはり後々ね。
出世コースからも外れ、うだつが上がらず、部下から信頼されてるだけの課長代理と思いきや、なかなかの切れ者。
阿部サダヲが好演。
上戸彩演じる愛理と玉森裕太演じる田端と共に、何か腑に落ちない一連の事件を調べ始める。
すると、銀行内に蔓延る“闇”が明らかになっていく…。
石本は滝野が赤坂支店勤務時からの顧客。
だから話を持ち掛けてきたのだが…、実は関わる人物がもう一人。
長原支店の支店長・九条。石本とは兼ねてからの知り合い。
九条もまたギャンブル狂。金に困っていた。
そんな時、石本から架空融資の話。上手くいけば大金が手に入る。
それには“ピエロ”が必要。まんまと利用されたのが、滝野だったのだ…。
序盤辺り、滝野の案内で江島エステートの架空オフィスで石本と九条が合うシーン。この時すでに騙していたかと思うと、滝野が憐れに思えてくる。
何故滝野は断れなかったのか。それは石本から弱みを握られていたから。
石本から大金を受け取った過去…。
この時から、汚れた金に手を伸ばしてしまった滝野は、真っ当な銀行員じゃなくなった…。
どうしたらいいんですか…?
そう自問する滝野に、西木が投げ掛ける。
それは君自身が決める事だ。俺は石本と九条を許さない。やられたら倍返し!
まさかのあのフレーズが飛び出すが、この時の西木がカッコいい。
西木もプライベートは金の問題を抱えている。兄の連帯保証人になり、借金の肩代わり。ヤクザから借金の取り立て。
絡まれてた時、滝野が助けに入る。この時、うだつの上がらない行員とエリート行員に思えたが、正念場で逆転。
本当に真っ当な銀行員に相応しいのは…?
終盤で西木は謝礼金を提示される。西木は…。
一つの事件がきっかけとなって、その裏に隠された巨大事件へと繋がっていく。
小難しい金融システムや用語はあるが、さほど苦にはならない。
『半沢直樹』のようなスカッとする勧善懲悪ではなく、やるせなさ、苦さ、哀しさも滲ませる。忍成修吾演じる行員のパワハラとノルマ課せられた果て…。
それだけに、西木が仕掛ける一世一代の“倍返し”。滝野がやられた事をそっくりそのままやり返したようで、ここはやはり痛快。
石本=橋爪功と九条=柳葉敏郎の憎々しさも見事。
個人的には、昨今の映画やドラマで黒幕に欠かせない橋爪と柄本明の“対決”も見応えあった。
佐藤隆太や佐々木蔵之介ら豪華キャストのアンサンブル。もう一人個人的に、木南晴夏のやる気のなさ&嫌な女っぷりもオマケポイント。
『空飛ぶタイヤ』に続く本木克英監督の手腕も手堅く。
話の面白さ、役者陣の好演、ユーモアとスリル、社会派テーマと行員たちの裏の顔と銀行の闇…。
見始めたら引き込まれる、いつもながらの池井戸金融エンタメ。
人は誰しも金に翻弄される。
ならば翻弄される我々は、アントーニオか…?
金を貸す者、借りる者、返さない者、盗む者、甘い汁を啜ろうとする者、手を伸ばしてしまう者…。
“シャイロックの子供たち”の欲が蠢く金の世界。
そんな世界を見せつけられ、本当に銀行や行員は信用に値するのかと疑念すら沸いてくるが…、
作品を通じて、何もそれだけじゃないという事を訴えているのを感じた。
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