シャイロックの子供たちのレビュー・感想・評価
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自分でこねくり回して落とし所を見つける所までを楽しむ映画
健全なサイズ感で安心の池井戸人生劇場
風呂敷を広げ過ぎて「何じゃそりゃ?」になってた、ここんとこの池井戸作品群。地方銀行支店を舞台にした、これくらいの話が、ちょうど良いや、ってのが、先ずはあります。
基本は人生劇場。金の貸し手がグルになった、変形の取り込み詐欺。久しぶりに聞いた「倍返し」の決め台詞に、ニヤってなりました。TVドラマの半沢直樹は、過剰演出でカタルシスのドーピングだったけど、こちらは仕掛けもシンプルだし、演出の方も地味。なんだけど、それが良いですもん。だって、基本はお江戸の人情噺なんだからw
佐藤隆太のこじんまりとしたリビングの一戸建てが、妙にリアリティあるんですが、その家の家族が、逆にメルヘン過ぎてリアリティがなかったりするという演出。浮世のドロドロにあえぐ旦那が、必死に守る幸せな家庭、って言う意図的な対比。が、オチにつながると言う。
銀行マン各人の落とし方のあっさり感も。
良かった。割と。
みんな負け
エンタメに振り切る前の作品
池井戸作品に外れなし
ほとんどドキュメンタリー‼️❓
池井戸潤映画にハズレ無し❗️札束を目の前にした時、人はどうなるのか考えさせられる力作❗️
面白かった!
池井戸潤作品のおはこである
銀行を舞台にした
「金融群像劇エンターテインメント」
ミステリー的な要素もありながら
主人公阿部サダヲ扮する西木課長代理の
コミカルな演技で
バランスの取れた演出になっていて
最後まで程良い緊張感で鑑賞出来た。
登場人物のほとんどが
何らかの金銭トラブルを抱えている。
喉から手が出るほど
お金を必要としている。
その描写がとてもリアルで
役者さん達の演技は迫真に迫っていた。
一部の登場人物を除いて
ほとんどが善良な人々に見える
家に帰れば
良き父親であり良き夫である。
しかし一瞬魔が刺す事で
人生の歯車が狂っていく。
単なる勧善懲悪な映画ではない。
全ての人にとって生活する上で
必ず必要な物が「お金」である。
物価が急激に上がっている昨今
そのお金と
どのように向き合っていくのか。
お金が全てでは無い。
しかしお金が無いと生きていけない。
お金とは何とも厄介な代物だ。
登場人物達は
様々な人生の選択をしていく。
正解など誰にも分からない。
自分の信じた道をいくしかない。
喉から手が出るほど
お金を必要としている時
札束を目の前にしたら
人はどうなるのか?
本当の戦いは人ではなく自分自身
観終わった後
そう感じたのは自分だけだろうか。
見応えのある力作でした!
是非とも劇場で!
ドラマなら…
面白いがスケールは小さい
本作は銀行支店の100万円が消えた事件がおこり
それが10億円の不良債権問題につながってくる
全体的に面白いし、終盤に倍返しっぽいこともするが
相手のスケールが小さい感じがする
お金に関しての人間の心理描写は個人的にはよかった
滝野が家族のために仕事で成功しようとして
不正に手を染めるのはリアルだと思った
本作の不正事件の背景には
支店長と社長が結託している描写があるが
パワハラ上司のほうは本当にタダのパワハラ上司だったようだ
支店長と社長に倍返しをするために
耐震偽装をされている物件を高値を売りつけるシーンはよかったが
地味な感じがするのでそこまでカタルシスはないように感じる
精神的にノイローゼになった銀行員は可哀想だと思ったし
その人のその後のことについてはあまり語られなかった
耐震偽装をした建築士が自首しようとするシーンは
なんかコメディっぽいと思った
この映画で競馬に勝った人も負けた人も
結局は銀行を去らないといけなくなったのは
「カネはただ返せばいいものではない」という言葉を体現しているな
独特のスピード感と、程よい笑い。芸達者がそろい、ほどよくミックスして楽しまてくれました。
映画『シャイロックの子供たち』作品レビュー
累計発行部数60万部を突破した池井戸潤による小説「シャイロックの子供たち」(文春文庫)。池井戸が「ぼくの小説の汲き方を決定づけた記念碑的な一冊」と明言し、原点にして最高峰とも言える原作が、満を持して初映画化された作品です。
映画は小説ともドラマとも展開が異なり、独自のキャラクターが登場する、脚本のツバキミチオによる完全オリジナルストーリー。
冒頭で、主人公の勤務先の東京第一銀行が協賛する『ベニスの商人』のヤマ場となるシーンが描かれます・
悪徳金貸しのシャイロックはバサーニオから頑として金を受け取らず、裁判に訴え、契約通りアントーニオの肉1ポンドを要求する
ポーシャは肉を切り取っても良いという判決を下す。 「肉は切り取っても良いが、契約書にない血を1滴でも流せば、契約違反として全財産を没収する」。シャイロックは、仕方なく肉を切り取る事を諦めたのでした。
勝者も敗者もいないこの群像劇は一体どこに向かうのか。本作のテーマを暗示する冒頭シーンでした。
そしてつぎに登場するプロローグが、東京第一銀行に勤務する黒田道春(佐々木蔵之介)が、休日の馬券の資金として、現金預金機から札束を盗み出し、月曜日の朝札束を戻そうとしたとき、札束の帯府を落としてしまうのです。それがまさか10年後にある人物から脅される材料になるとは、当時の黒田には予想も出来ませんでした。
別件でも発生してしまう札束が消えて、帯府だけ残されてしまう事件。札束の帯府が本作の重要なキーアイティムとなっていくのです。
舞台となるのは、メガバンクである東京第一銀行の大田区にある長原支店。業績が伸び悩む支店にあって、牽引車となっていたのが課長代理の滝野真(佐藤隆太)でした。滝野は前任の赤坂支店からの顧客である赤坂リアルターの石本浩一という不動産会社の社長からの口利きで江島工業という宅地開発会社からの10億円の融資を受けて、支店で業績トップとなり、支店長から表彰をうけるのです。
ところが支店の田端洋司(玉森裕太)と北川愛理(上戸彩)が、たまたま江島工業の社長の自宅の住所を訪ねてみると、そこには全くの別人が住んでいたのでした。
実は、赤坂支店で石本を担当した滝野は、1000万円の裏金を受け取って以来、悪魔に魂を売り続けていたのです。
石本は、実質的に破綻し社長が失踪してしまった江島工業という会社の社長になりすまし融資を受けることを滝野に提案したのでした。石本が大口の不動産取引で5億円が入った時点で返済するつもりでいたが、その取引は流れてしまって、融資した10億円の返済の見込みが立たなくなっていたのです。
滝野は、不正融資が露見することを恐れて、1回目の利払いを建て替えるために銀行の金lOO万円を横領します。現金欠損の犯人と疑われたのは田端と北川でした。ふたりの上司である課長代理の西木雅博(阿部サダヲ)は、真犯人捜しに乗り出すのでした。
同じ池井戸作品の映画化で、「アキラとあきら」の三木孝浩監督と本作の本木克英監督を比べてみると、本作の方がテンポが速く展開であると感じられることでしょう。
場面展開のテンポの良さこそ本木監督の持ち味で『超高速!参勤交代』でいかなく発揮されました。本作でも銀行業務の裏側と不正融資の経緯を説明臭く感じさせずに見せる導入が鮮やかです。西木らの独自の調査が進むにつれて、不正融資がさらに大きな腐敗と結びついていく展開も飽きさせず、前半は快調に飛ばします。
ただ次第に、次々と証拠を見つけ巨悪に近づく西木のスーパー行員ぶりが突出していきます。この辺は話が広がりすぎて、伏線の回収に忙しくなったキライはあります。但し別な言い方をすれば、何気なく登場するエピソードや事件が単純に起こるべくして起こるのではなく、そうせざるを得なくなった複雑な背景がキチンと押さえられていくということです。大きく破綻しなかったのは、さすが本木監督といいたいです。
そして真相を突き止める西木もまた滝野同様に、悪魔に魂を売る展開が意外でした。シャイロックの子供たちは、みんな等しく金に目が眩むのです。ただし最後に西木がどんな決断をしたのか、ぜひ事後談としてのエピローグを見届けてください。
本作は、社会派というわけでもなく、コメディーというほどでも、人の弱みにつけ込むというほどエグい展開でもなく、人を欺くコングームというほど振り切っているわけでもありません。しかし芸達者がそろい、ほどよくミックスして楽しまてくれました。
目の前に金……貴方ならどうする?
魔が差す時がある。
それは、誰にでも。
「忍耐」
「人生に消しゴムは無い」
「基本は性善説を信じる。やられた時は倍返し」
リアルさのバランスを保つ
微妙なところとは思いましたが笑
エンタメとしては楽しめました。
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