劇場公開日 2022年11月25日

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「誰かの為ではなく、自分の為の人生を生きるために」シスター 夏のわかれ道 ねねこさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0誰かの為ではなく、自分の為の人生を生きるために

2022年11月4日
iPhoneアプリから投稿

とにかく涙止まらん。
姉にも弟にも感情移入して泣ける。
何を持って幸せと感じるのかは本当に人それぞれなのに、他人に干渉される理不尽の中、彼女の気持ちが揺れ動くたびに一緒に迷って泣けた。

弟は両親に溺愛されて育ったのがめっちゃわかる、甘え上手。
姉の心を知らず知らず手繰り寄せて懐に入り込んでしまった。
周りにいる人に可愛く甘えてうまく動かす手腕は姉にはないもので、愛が足りない甘え下手な姉との対比も素晴らしかった。

中国の一人っ子政策がもたらしたものは何だったのか。
家系のための男子獲得への執念、それによる女子への不憫な男尊女卑、思うようにならない人生の選択。
なぜ女子に生まれたから、夢を諦めねばならんのか。姉に生まれたら弟に尽くすのが当たり前なのか。

賢い彼女のその時々における選択を悉く真っ向から否定してくる昔からある風習、価値観、消えない家父長制。
めっちゃ芯のしっかりしている彼女だが、周囲による価値観のうるさいノイズのおかげで、弟への気持ちが大船に揺られたようにあっちこっち行き来していく。いや、それを越えて彼がとんでもなく可愛いのもあったかな。

たくさん悩んで苦しんだ彼女が選んだラストはとりあえず号泣。
泣く準備はして観た映画だったけど、やっぱり泣けた。ハンカチ3枚くらい用意して観るといいと思う。

icco