グッバイ・クルエル・ワールドのレビュー・感想・評価
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期待せずに見たけれど…⭐︎
期待せずに見た方が良いみたいなコメントもあったので、そう言い聞かせての鑑賞だったが、うーん…。
正直、最終から最後まで殺してた感じ。
物語自体が、ヤクザのマネロンの現場に乗り込んで、現金強奪という筋書きで、それに参加したメンバーの
仲間うちの騙し合いや果ては殺し合い。
それぞれの境遇がもちろんバックグラウンドにあり、それを絡ませながらの物語の進行だが、どうも
薄っぺらく感じてしまった。
見終わってからも、ずーっとドンパチして どんどん人が死んで行き何なん??
ラストシーンの西島秀俊と大森南朋が瀕死で笑うのも、どうしてここに二人居る??
疑問符が数多く湧く。
ただ、これだけ良い役者さんを揃えたので⭐︎1。
宮沢氷魚と玉城ティナの「ボニー&クライド」に⭐︎0.5。
日曜日の午後の映画館だったが、席はまばら尚且つほとんどが
男性の方ばかりだった。
大森監督のバイオレンス
とりあえず最初から最後まで目が離せない展開でした。
お金を稼ぐって、まっとうに生きても裏社会でもどちらにしてもそう簡単でないですね。
「日々是好日」「マザー」「星の子」など大森監督の映画は好きな作品が多いのですが、なるほど大森監督かバイオレンス映画を撮るとこんな感じになるのですね。大森監督のバイオレンス映画はちょっと期待を下回りました。
ところで山梨県って海がないのに、山梨にいたはずの主人公がケガをしているのにどうやって海にたどり着いたんだろう?
最後の一滴
9/9公開は新作が立て込んでいてドッタンバッタンです。本命ではありませんでしたが、邦画らしからぬ雰囲気、強い役者陣、R指定映画、そこそこ期待するものがありましたが…。感想に困る作品でした。
良かった点
・役者陣の好演
一癖も二癖もあるキャラクター達を役者陣は乗りこなしていました。ぶっ飛んだキャラかと思いきや、落ち着きのあるリーダー格、金に目が眩みまくっている主犯格、悪どい手段でなんとか生き抜いてきた傷だらけの女、どこにも居場所のない刑事、個性派勢揃いでしたが西島秀俊さん筆頭に演技派の揃った今作では物語の軽さとは裏腹に重厚な演技合戦が楽しめました。特に奥野瑛太さんの渾身のクズっぷりは最高でした。
悪かった点
・そのキャラの扱いが雑
個性派がたくさんいる割には扱いが雑だったなぁという印象です。特に斎藤工さん演じる萩原の退場の異常な早さには驚きました。何かしらで死ぬんだろうなとは思っていましたが、物語の中盤で復讐といえば復讐ですが、そこまでの流れが割とあっさりしていて、喫茶店で面白いくらい撃たれまくって死ぬという呆気なさでした。胡散臭さのある感じではありましたが、あの死に方では何も報われません。宮沢氷魚さん演じる矢野の狂いっぷり自体は中々良いんですが、どこで豹変したんだ?というくらい狂いまくっていて、最後の発狂のシーンなんかはあのシチュエーションでしたかったんだろうなというのが滲み出ていてあまり乗れませんでした。
・物語が音楽の盛り上がりでなんとかなってる
基本的に襲撃シーンや豪遊シーンなんかは洋楽を鳴らしまくって盛り上げているだけなので、物語性はとても薄いです。洋画っぽいですが、洋画はそれがデフォルトなので、それを真似ただけのように思えたのが残念です。R指定という事もあり、しっかり血は出ますし、ちゃんと殺される、でも音楽でなんとなく流す、その繰り返しのせいかとにかく盛り上がりに欠けました。
・ラスト
最後のシーン、元ヤクザと刑事が鉢合わせ、2人が高らかに笑い合って、銃声が聞こえて終わりという観客任せなラスト。一つの映画としてしっかり決着をつけて欲しかったのにあのラストは勿体なかったです。
うーん…。評価的にはイマイチ、興行は爆死。邦画のオリジナルは数少ないんで、応援はしたいのですが、この内容ではね…。残念。
鑑賞日 9/10
鑑賞時間 10:20〜12:35
座席 D-5
なんだかなあ、、結構な期待値だっただけに失望度大。前日にブラピの映...
なんだかなあ、、結構な期待値だっただけに失望度大。前日にブラピの映画2回目を観だばかりだったので余計にその差が。テンポも悪いしユーモアも無いし、タランティーノ作品を真似た様なシーンもシラケるばかり。ガッカリでした。悪口ばかりになってしまうので止めます。俳優それぞれの演技はまあまあ良かったとは思います。特にヤクザのニイチャン、迫力有りました。
最後の銃声は1発でしたよね。西島だけが撃たれたの?
【良かった点】 奥野瑛太さんが全部持っていった。この映画を観たあと...
【良かった点】
奥野瑛太さんが全部持っていった。この映画を観たあとにずっと脳裏に焼きついて離れないあの狂気に満ちた演技。画面越しに恐怖を覚えた。
【良くなかった点】
アメ車をアップにタイトルが出た時の「面白いかも!?」がピークだった。そこから熱い銃撃戦やアクションシーンはなく、淡々と進むストーリーに若干退屈してしまった。西島秀俊さん演じる主人公も中盤から後半にかけて言ってることとやってる事がちぐはぐでそこもノイズに。狂者たちの群像劇をやりたいのは分かったが、視点の移動による面白みが感じられなかった。
まさかの大嫌いな殺し合い。
西島秀俊演じる主役の安西が元ヤクザで、強盗をしているってのは知ってたんだけど、こんなに殺しまくりの映画だったとは!
たくさんいい役者が出てるのに、出てくる奴らは皆んな人殺しで殺しまくって自分も殺される。斎藤工君なんて、すぐ殺されちゃってビックリ。
大声出してぶん殴って撃ち殺す連続。途中で席を立ちたくなるくらい嫌いな展開だったので感想も何もあったもんじゃありません。
残念でした。
西島秀俊と三浦友和は・・・イマイチ
お互いにどんな素性なのか知らない5人組の強盗組織(三浦友和、西島秀俊、斎藤工、宮川大輔、玉城ティナ)が、ラブホテルで行われていたヤクザの資金洗浄現場を襲い、1億円近い大金の強奪に成功した。強盗たちは下っ端の2人(宮川大輔と玉城ティナ)には数万円と借金チャラで済ませ、大金は残りの3人で山分けし、それぞれの日常に戻っていった。しかし、金を奪われたヤクザが現役の刑事(大森南朋)を金で雇い、警察組織を使って身元を調べ、5人を追い始めた。騙されて分け前をもらえなかった玉城ティナは斎藤工から殺されかけ、ヤクザ組織の情報を提供したラブホテルの従業員(宮沢氷魚)も殺される直前に救われ、ヤクザ組織と刑事に脅され斎藤工など喫茶店で大量殺人を実行した、元ヤクザの西島秀俊と元政治家秘書の三浦友和も狙うのだが、西島秀俊はやはり元ヤクザ(奥野瑛太)に付きまとわれ周りの人に元ヤクザだと吹聴し金をせびられた。
誰が生き残るのか、てな話。
強盗組織で金を分けた3人のうち斎藤工はそれなりに悪そうな演技をみせてくれたが、西島秀俊と三浦友和は全然ダメ。
全く怖さがない。この2人は善人役しか向いてないかも。
刑事役の大森南朋と宮川氷魚、玉城ティナ、鶴見辰吾、奥田瑛二はそれなりでそこそこ良かったかな。
西島秀俊を強請った身体中刺青の元ヤクザ・奥野瑛太は一番怖さが有って良かった。
西島秀俊の妻役の片岡礼子はさすがで悲壮感有って良かった。
ヤクザの目的だった奪われたお金の回収は出来たのか、出来なかったのか、ちょっと気になった。
自己のみを肯定する犯罪者たち
無国籍な雰囲気を醸し出したい感じがしつつ、お金という蜜に蟻の様に群がる者たち。
それぞれが自己の理由を押し付け合う中には何も生まれない。
物語の中に善人は出なくても良いが自己の行いのみを肯定し、生きようとすることには違和感がありそれぞれが辿る結末にもモヤモヤが残る。
ヤクザからお金を奪い、奪ったままいままでの生活に戻れることが出来ること自体夢であるだろうことが、盗む者の中で誰も考えないなんてありえるのだろうか?
なのでその前提が崩れてる時点でこの物語には寄り添うことがどうしても出来なかった。
また若者たちがショットガンを放つのだが、ことごとく当たる。そんなことがあり得るのだろうか?なんか昔の勧善懲悪のヒーローの様に滑稽に映った。
【”何処にも居場所のない人々”の所業を描いた、ブラッディ・クライム・ヴァイオレンスムービー。タラちゃんがこの映画を観た感想を是非、お聞きしたいモノである・・。】
ー 大森立嗣監督。
今作にもメインキャラで登場する大森南朋を弟に持つ(父は、大駱駝艦の怖い人です・・。)振れ幅が非常に大きい監督である・・。故に、毎回、劇場に観に行く時は、ドキドキする監督でもある。-
◆感想
・暴力団のマネーロンダリング現場を襲い、大金をかっさらう、強盗団5人を演じる面子が非常に豪華である。一番驚いたのは、宮沢氷魚さんである。今までの華奢なイメージを保ちつつも、玉木ティナ演じる女性ミルと、強盗団の”駒”として使われた事に対し、静に怒り、次々に強盗団の主犯格クラスを撃ち殺していく。
ー 特に、暴力団員のたまり場の喫茶店での、ミルに酷い仕打ちをした荻原(斎藤工)を始めとした暴力団員を殺しまくるシーンは、ナカナカである。-
・一度は暴力団を抜けた安西(西島秀俊)は、別れた妻(片岡礼子)と娘と再び旅館を再開するために、一度だけ強盗団に加わるが・・。
ー この辺りは、描き方が少し粗い。が暴力団員を演じさせたらこの人、奥野瑛太演じる元舎弟が現れたことで、彼の本性が現れてくる・・。-
・又、元政治家の秘書で、政治家の悪事の罪を被り、コンビニ経営をするも過労により妻を失った、浜田(三浦友和)は、社会に対して、不満を持っている。
ー 何故に5人が集合したかは、ハッキリとは描かれていない。今作は、ブラッディ・クライム・ヴァイオレンスを楽しむ映画なのね・・、と思いつつも、すっきりしない・・。-
・刑事でありながら、暴力団と繋がっている蜂谷(大森南朋)も、どこか屈託している。
ー 多分、警察の中では浮いているのであろう・・。暴力団と繋がっているという噂などにより・・。-
<今作は、ヴァイオレンスシーンはナカナカ見応えがあったが、各キャラクターの描き込みが粗く、強盗団の行動理由は理解できたが、今一つすっきりしない作品であった。
序でに言えばタイトルが”グッバイ・クルエル・ワールド”なのであるから、劇中曲の中に、エルヴィス・コステロの”グッバイ・クルエル・ワールド”を流して欲しかったなあ、と思った作品でもある。>
昭和を引き摺って加湿失速
って言うか。鼻っからヤクザ映画。井筒監督が撮りそうな話やんw
全開の玉木ティナです。久々の美脚です。喫茶店の報復まではパルプフィクションな感じもありワクワク。でも、それ、弾、出過ぎだけどw
居場所があるやら無いやら、あたりからジメジメし始めます。湿度が上がり飽和水蒸気圧まで上がるのがガソリンスタンド爆発あたりで、スピード感は完全に死にます。
コレは、アレです。初速のまんまに最後まで行って欲しかったーー!
確かにタイトル通り
鑑賞後真っ先に頭に浮かんだのは、正にタイトル通り。
随分とんちがきいてるじゃないか。
主人公のラスト台詞ではなく、主要登場人物が全てタイトル通りなのは、ある意味笑えるレベル。
ただ、テンポが悪いし、一番重要なシーンはすっ飛ばしているし、普通、そこ深々と刺されて、あれだけの失血して生きてるわけないでしょ。とか、散弾銃で撃たれたら逃げるどころか、歩くこともできないだろ、とか突っ込みどころ満載。
斎藤工さん演じるキャラ、もっと掘り下げて欲しかった。
格好いい台詞は無い、音楽センスは無い。このキャラ、このシチュエーションになったとき、こんな風だったら面白いね感が全面すぎて、白けました。
MVPは奥野瑛太さんですね。この方、本当素晴らしい俳優さんですね。奥野さんには星5です。
やる気が感じられない
撮った大森立嗣監督の前の作品
最近話題に上がる新興宗教にのめり込み
搾取され続ける家族の子供が主人公の
「星の子」がなかなか良かったので観賞
妙に豪華なキャスト
特に宮澤氷魚はいい俳優だなと
思ってるとこもあり期待してたんですが
感想としては
弱いシナリオにやっつけ演出
30年前のタランティーノ映画を
今更劣化オマージュですか
キャスティングも全体的に
名前だけでやる気を感じないし
企画だけ盛り上がって
テキトーに作った映画って感じ
そこそこいい食材を見せられて
店に入ったら出てきたのが
かっぱ巻きという感じです
(かっぱ巻きはかっぱ巻きで
美味しいからまだいいか)
話は
タランティーノが使いそうな
BGMに乗せて走ってくるアメ車
(この時点で嫌な予感がした)
ヤクザの裏金を集めていた
ラブホテルの部屋に4人組の
強盗に強奪され誰が情報を
漏らしたのかというところで
そのヤクザから情報を貰って
汚職警官の蜂谷が冷静に
探っていきます
ほらもうレザボ・・
いやなんでもない
その4人組の強盗は
・元ヤクザながら妻と娘がいる旅館を
強盗した金で立て直そうとする安西(西島秀俊)
・金だけが欲しい欲望の塊の金貸し萩原(斎藤工)
・元政治秘書で汚職で終わった
左翼崩れの浜田(三浦友和)
・売春婦の美流(玉城ティナ)
となっていますが
まぁとにかくこれがひどいの
まず西島秀俊がヤクザに見えますか
ドライブマイカーの時と髪型も変わってない
斎藤工も何か奥がありそうで全然ない
もともとぺランペランの役なんだろうけど
だったら他の誰でもいい感じ
三浦友和は退廃的な役ではありますが
これまた誰でもいいような感じの演技
前の駄作「ドクター・デスの遺産」
でも思ったけど本人ももう演技とか
やる気無さそう
玉城ティナもかわいいけど
例にもれず誰でもよさげな配役で
よく見る
で蜂谷は美流と接点があり
強盗時に捕まった矢野(宮澤氷魚)
という男に接点があった事を突き止め
ヤクザの親玉に処分を求めますが
死ぬことも恐れてる感じがない矢野らに
金を奪った奴らを消させるチャンスを
与えます
そのヤクザの親玉も奥田英二が
やってるんですがこの人ももう
演技が随分安くなってしまいましたね
大滝秀治のモノマネかと思ってしまいました
ここまで全体的にダメダメだと
演出が悪いんだろうね
何かの何かっぽいのばかり
やる気がない
宮澤氷魚なんかいい俳優なのに
投げっぱなしですよ
痛々しい
人物描写がダメダメなので
矢野は本当に死が怖くないのかどうか
わかりませんがこの映画の世界の
若者はGTAのように銃をいきなり
持たされてもバリバリぶっ放せるようで
浜田がビラ配りさせてただけのガキ共まで
銃撃戦やりだすからもう笑えてきます
PG15とかいらないと思う
これで作り手は今の若者の命に対する
考え方の軽さを~とか思ってるんだろうな
痛い痛い
ホント今の映画ラインアップ
3~4年前のコロナ禍で企画された
みんな暇してるとこを押さえて
撮ったようなヤバい出来の映画が
わんさかある印象です
キャストだけで観に行くと
こんなのに出会ってしまう
週一は行くようにしてるけど
映画館に行く足が重いですわ
居場所
洗う為に集められたヤクザのシノギのアガリを盗んだヤツらの他の顔と、被害届の出せない事件の犯人を追うヤクザに飼われた犬の話。
強盗野郎とそれぞれ事情を持った2人と素人ティーバードバカップル?という組み合わせでの華麗な強盗から始まって行くけれど、扱いの悪かったバカップルが不服を申して…。
その後結構非常な様子をみせる強盗野郎が何であんな中途半端な痛め方?と感じながらも、まあそこが残らないとその後の展開が産まれないからしかたがないか…。
それぞれのバックストーリーも悲しかったり胸クソ悪かったり豪快だったりとなかなか面白かったけれど、犬に飼われた2人もなかなか狂気。
ちょっと最初のリアクションとはズレてるけどね。
自業自得とはいえ堕ちて追い詰められた人物達のチョイ悲しめな感じとか、ガンガン人が死んで行く展開とかなかなか見応えがあったけれど、何で最後の最後でこんな中途半端な。
そして締めの銃声1発?
結構好きな感じだったけれど、そんな委ね方はなしでしょうよ…。
赤髪にしても、それでも淡々とした感じにした方が格好良さがあったんじゃないかな。
行く所が無い人達
銃撃戦クライムエンターティメントって事で、隠れた名作である、マーティン・スコセッシ製作のフリー・ファイヤーの様な、全編銃撃戦の映画なのかなぁと思っておりましたが、全然そんな事なく、
むしろ銃撃戦も全編の3割ぐらいしかなかったのじゃないかって思うぐらい、アクション少なめでした。
大森立嗣監督作品で珍しくアクション寄りの映画だと思いましたが、いつも通りの大森立嗣チックな、ヒューマンドラマでしたね。
(って言うか大森立嗣監督って大森南朋さんのお兄ちゃんなのですね、ビックリ)
とあるヤクザのお金盗んだら、そのヤクザと裏切られた若者達が、その裏切った泥棒達をブチのめす。みたいなある意味復讐映画なんですかね?
全体的に演出面のセンスが良く、キャストの演技もよく、意外に読めないストーリーで、銃撃戦も手に汗握りました。
最後の西島秀俊さんと大森南朋さんがやっと会えて、お互いに大変な思いをした事を笑い合うシーンはめちゃくちゃ好きです。
ですが、やはり銃撃戦を楽しみたかった僕としては、期待ハズレな点。
前半がなかなか展開弱めで人によっては寝そうな点。(僕は大丈夫でした)
宮川大輔さんがあっけなくサヨナラしてしまい、もっと場の空気を読まない役として、暴れて欲しかった点。
そこら辺含めて、−1ですかね。
「行く所が無い」って言うのが、一つのキーワードなのかな。
アクション映画と言うより、ヒューマンドラマとして見たら楽しめます。
って言いながらヒューマンドラマにしては、少々グロいので気をつけて下さいませ。
タランティーノ憧れ映画
60年代風サイケなフォントの題字、BGM、容赦なき銃撃戦などタランティーノ感満載映画。
カップル2人が喫茶店でテーブルの上に乗って銃を構えるシーンはパルプフィクション、爆破で炎上するガススタンドをバックに男女2人が歩いてくるシーンはデスペラード(監督はロバートロドリゲスだけど)、最後ほぼ全員が死んでしまうのはレザボアドッグズなどストレートなオマージュがたくさん観られる。
毎日暇なのか本業を余所に反社会的組織員と日中堂々と行動を共にする刑事役には監督の実の弟の大森南朋が演じているが、こちらが主役なのだろうか?
主役と思っていた西島秀俊よりも出演時間は長く、しかもダントツで格好良い役。
逆に西島秀俊は普通のおじさんに戻りたい元ヤクザだが、今一つ冷徹になりきれない中途半端な感じ。(なぜ三浦友和を?)
2番手と思われた斎藤工は中盤早々に・・・とキャストの扱いには見事に裏切られる。
夢も希望も失ったもの達が自暴自棄になり命を惜しむことなくのたれ死んでいく様は分かりやすく美学を感じカッコ良いのだが、人間臭さに欠け共感しきれない。
またそれぞれが結局死んだのか生きてるのかよくわからない終わり方も監督のイサギ悪さが出てしまい残念であった。
ラストのカリフォルニアドリーミングにはかなりグッときたので少し加点。
「お前も自分の居場所がない奴か。」
まず最初に営業妨害になるかもだけど、この映画に「好きなだけ銃を撃ちまくり、嫌なヤツを倒してスカッとしたい」という期待をしているなら見ない方がいい。
そういう期待には添えない。
見た後に、「期待外れだ。」なんていうように悪く言ってほしくないからだ。
もちろん映画には色々な側面があるけれど、自分は「沈んだ、暗い」側面に反応してしまった。
感想も何だか「感傷的」になってしまった。
監督は「難しいことは何も考えないで、感じて楽しんでほしい。」と言っていたように思う。
考えないで「感じたこと」を言えば、ひたすら「痛み」を感じていたと思う。
ラブホテル襲撃の後、ギシギシと軋むように、強盗団メンバーそれぞれの世界が壊れ始めていく。
ひとりひとり破滅していく。
それだけでなく周りの他の人間も巻き添えにして。
上の人間で死ぬのは誰もいない。死ぬのは「誰かの下で働いていた」人間なのだ。
強盗団は、やがて殺しあう。
本当に撃つべきなのは、その相手なのか?
誰かの下で働いていた人間同士が、撃ち合いを始めてしまった。おそらく「同類」の、味方ではないが敵とも言い切れない、「同類」を撃ち始めた。
それが、自分の感じる「痛み」の原因だと思う。
西島秀俊が会見で、「この中の一人だけが生き残ります。」と言っていたから、これはネタバレにはならないと解釈して書くけれど、最後に生き残った「あの人」は「映画を見に来た人」の代表なんだと思う。
大森南朋演じる蜂谷刑事が口にする「自分の居場所のない奴」であり、この映画を見に来た人の代表。
生き残った意味は、果たして単なる「死までの猶予」なのか、それとも「自分の居場所を見つけることができる可能性」なのか、この物語は何の示唆も保証もしない。
そこが却って優しいように思えた。
「自分の居場所を見つける」という重荷にとらわれないようにと。
西島秀俊演じる安西は、元組員。
しかし、安西に「ある種の凶暴性」を感じることができない。一般人とは違う「狂気」や「暴力性」を感じ取れない。
それは元組員飯島の語る安西の凶暴性は、追い詰められたゆえだから。
元から持っている凶暴性とは違うから。
奥野瑛太演じる飯島は、安西の前に現れた時には既に狂気を漂わせている。
それまでに味わってきた出来事が、この飯島を壊してしまっていたのがよく分かる。
そして安西も、飯島を前にしてとうとう壊れてしまう。
安西が鉄パイプを振り下ろす一瞬、今までとは違う顔になる。
安西の妻は、それを見まいとして、摺りガラスの戸を閉ざす。
安西が居場所を失う象徴的な場面だ。
安西が離れ行く妻子を見つめる最後の表情が忘れられない。
ここまではネタバレしないように気をつけてきたけど、ここはやはりネタバレにつながりかねないから、ネタバレを気にする人は飛ばしてほしい。
ラストシーンに響く銃声は一発のみ。
実は安西と蜂谷は似ているというか深く通じる存在だと思う。
最後まであがいたけれど、「自分の居場所」を結局見つけられなかった存在同士。
だから一つの影のように、一発だけの銃声なのだと思う。
追記:
何回か観て、印象や解釈が変わった点を。
飯島と対峙する安西の目が実は時々冷たく鋭くなっていることに気づいた。
飯島の動きや勢いが止まったりするのは、目立たないやり取りが交わされていたからかもしれない。
ラストシーンの蜂谷はもしかしたら、「幽霊」かもしれないと思った。
組幹部を撃った後の蜂谷の脚が動くから、あの後立ち上がり、安西のもとに行くのかとも思えるが。
もしくは安西の見た「幻」かも、と。
だから最後の銃声は一発だけなのか、と。
パンフレットでプロデューサーが言っているように、それぞれが解釈できるのが面白い。それを読み合うのも面白い。
読解力不足、注意力散漫の明白な誤解、曲解は困るけど、解釈の違いを楽しめるのはよい。
「こっちが正解だ!」というマウントの取り合いではなく。
追記2:
確かに西島秀俊に、凶悪な元ヤクザ組員のイメージを求めるのは「違う」気がする。
なぜなら、この映画で「安西」に求められていたのは、「哀しさ」だったからだ。
ガソリンスタンドの場面で、若者二人に追い詰められ、「こんなところで血まみれになって……。俺にもお前らにも居場所なんて、どこにもねぇ!」と思いを吐く時、この映画で描きたかったのはこの「哀しさ」だったんじゃないか、と思った。
ラスト近くで妻子からの拒絶を受け、黙って帰って行く。同じく若者二人から刺され、捨てられた蜂谷と「居場所なんてなかった。」と笑い合う時、実は同じ哀しみを味わった者どうしがいる海辺の歩道に、一瞬だけ「居場所」があった。
そして一発の銃声で、その「一瞬の居場所」も消えてしまったんだと思った。
9月公開の、西島秀俊、斎藤工などが主演する『グッバイ・クルエル・ワ...
9月公開の、西島秀俊、斎藤工などが主演する『グッバイ・クルエル・ワールド』、ひと足早く試写会で鑑賞しました。監督は大森立嗣。
夜の東京、ラブホテルの一室、暴力団員たちがシノギの金を集めている。
そこへ目出し帽姿の4人が拳銃片手に殴りこんでくる。
暴力団の上前をハネるタタキ。
金を奪った奴らは車で逃げる。
運転手とその愛人のふたりは「これで借金はチャラ。とっとと姿を消せ」と仲間のひとりから放り出される。
しかし、タタキの情報を持ってきた運転手の愛人にしてみれば納得できない。
一方、金を奪われた組幹部も黙ってはいられない。
情報を漏らしたヤツがいる・・・と考えた幹部は、協力者の悪徳警官を使って犯人たちに報復を試みる・・・
といったところからはじまる物語で、冒頭、夜の街を行くアメ車に被って、ソウルの強烈な音楽が流れてくる。
ここで、「ははん、和製タランティーノといったところね」と予想がつきます。
タランティーノ作品でも初期作品『レザボア・ドッグス』、『トゥルー・ロマンス』(脚本のみ)、『パルプ・フィクション』といったあたりの作品。
大勢の人間が入り乱れての血まみれ合戦。
とにかく、銃弾は飛ぶ、血は飛ぶ。
これほどまでに銃弾が放たれ、血まみれになるのは、日本映画では珍しい。
はじめのうちは誰が物語の核なのかはわかないのだが、タタキのきっかけを作った若い男女が中心となっていき、行き場のないふたりがぶっ放す銃弾がカッコいい。
このあたりから『トゥルー・ロマンス』臭が強くなっていきますが、個人的には若いふたりのエピソードが好きです。
タタキチームの中堅狂犬野郎に怒りの銃弾をぶっ放すところ、特にいいですね(巻き添え食った人々はお気の毒だけど)。
で、若いふたりとは別に、チームの年配男ふたりの話も進んで行くのですが、こちらはやや湿っぽい。
最年長の男は左翼くずれのインテリ、もうひとりは冷静な元組員。
後者は「元」なので、その世界から足は洗ったが、世間からは更生は認めてもらえず・・・という『竜二』風のエピソードが展開されます。
終盤にかけては、こちらの方のエピソードに重点が置かれていくのですが、これがよかったのかどうかは微妙。
脚本(オリジナル)の高田亮の心情としては、こちらの方にウェイトを置きたくなるのはわからないでもないですが。
ということで、最後は再び若いふたりと年配男が激突して、更には、悪徳警官とタタかれた組側も絡んで・・・となるのだが、エンディングはカッコつけすぎで、かえってシマらなくなったのが残念。
出演は、西島秀俊、斎藤工に、宮沢氷魚、玉城ティナ、宮川大輔、大森南朋、鶴見慎吾、片岡礼子、三浦友和といった面々。
誰がどの役を演じているのかは映画を観てください。
全37件中、21~37件目を表示