「最後の一滴」グッバイ・クルエル・ワールド ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
最後の一滴
9/9公開は新作が立て込んでいてドッタンバッタンです。本命ではありませんでしたが、邦画らしからぬ雰囲気、強い役者陣、R指定映画、そこそこ期待するものがありましたが…。感想に困る作品でした。
良かった点
・役者陣の好演
一癖も二癖もあるキャラクター達を役者陣は乗りこなしていました。ぶっ飛んだキャラかと思いきや、落ち着きのあるリーダー格、金に目が眩みまくっている主犯格、悪どい手段でなんとか生き抜いてきた傷だらけの女、どこにも居場所のない刑事、個性派勢揃いでしたが西島秀俊さん筆頭に演技派の揃った今作では物語の軽さとは裏腹に重厚な演技合戦が楽しめました。特に奥野瑛太さんの渾身のクズっぷりは最高でした。
悪かった点
・そのキャラの扱いが雑
個性派がたくさんいる割には扱いが雑だったなぁという印象です。特に斎藤工さん演じる萩原の退場の異常な早さには驚きました。何かしらで死ぬんだろうなとは思っていましたが、物語の中盤で復讐といえば復讐ですが、そこまでの流れが割とあっさりしていて、喫茶店で面白いくらい撃たれまくって死ぬという呆気なさでした。胡散臭さのある感じではありましたが、あの死に方では何も報われません。宮沢氷魚さん演じる矢野の狂いっぷり自体は中々良いんですが、どこで豹変したんだ?というくらい狂いまくっていて、最後の発狂のシーンなんかはあのシチュエーションでしたかったんだろうなというのが滲み出ていてあまり乗れませんでした。
・物語が音楽の盛り上がりでなんとかなってる
基本的に襲撃シーンや豪遊シーンなんかは洋楽を鳴らしまくって盛り上げているだけなので、物語性はとても薄いです。洋画っぽいですが、洋画はそれがデフォルトなので、それを真似ただけのように思えたのが残念です。R指定という事もあり、しっかり血は出ますし、ちゃんと殺される、でも音楽でなんとなく流す、その繰り返しのせいかとにかく盛り上がりに欠けました。
・ラスト
最後のシーン、元ヤクザと刑事が鉢合わせ、2人が高らかに笑い合って、銃声が聞こえて終わりという観客任せなラスト。一つの映画としてしっかり決着をつけて欲しかったのにあのラストは勿体なかったです。
うーん…。評価的にはイマイチ、興行は爆死。邦画のオリジナルは数少ないんで、応援はしたいのですが、この内容ではね…。残念。
鑑賞日 9/10
鑑賞時間 10:20〜12:35
座席 D-5