キラー・オブ・シープ

劇場公開日:2026年2月

解説・あらすじ

アフリカ系アメリカ人の日常と人間性を描き、アメリカ映画に静かな革命をもたらした映画作家チャールズ・バーネットが1977年に発表した長編デビュー作。ロサンゼルスの片隅で暮らすアフリカ系アメリカ人労働者の日常を、写実的なまなざしと詩情豊かな映像美で描く。

ワッツ暴動の爪痕が残る1970年代初頭のロサンゼルス、ワッツ地区。スタンは妻と2人の子どもたちを養うため羊の屠殺場で働きながら、空虚な毎日を送っている。日々の労働と貧困のせいで肉体的にも精神的にも疲れ果てている彼は自分の殻に閉じこもるようになり、妻は孤独を募らせていく。

UCLA映画学部の大学院生だったバーネット監督が卒業制作として手がけ、身近な人々を中心とした素人のキャストを集めて地元ワッツで撮影。音楽著作権の問題で長らく公開できなかったが、2007年にアメリカで劇場公開が実現した。25年に完成した4Kレストア版では、ラストシーンを彩る楽曲が、バーネット監督が当初望んでいたダイナ・ワシントン「Unforgettable」に差し替えられた。1981年・第31回ベルリン国際映画祭フォーラム部門にて国際批評家連盟賞を受賞。日本では、特集上映企画「チャールズ・バーネット エブリデイ・ブルース」(2026年2月7日~、シアター・イメージフォーラム)にて、4Kレストア版で劇場初公開。

1977年製作/81分/アメリカ
原題または英題:Killer of Sheep
配給:After School Cinema Club
劇場公開日:2026年2月

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

  • ヘンリー・ゲイル・サンダース

  • ケイシー・ムーア

  • チャールズ・ブレイシー

  • アンジェラ・バーネット

  • ユージーン・チェリー

  • ジャック・ドラモンド

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フォトギャラリー

映画レビュー

5.0 暴動の街のささやかな生活

2022年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知られざるアメリカの黒人名監督と言われるチャールズ・バーネットの作品。70年代ロサンゼルスのワッツという街に暮らす黒人たちのささやかな営みを描いた作品で、確かに隠れた名作と言われるだけはある。どうして、これが知られざる名作になってしまったかというと、音楽の版権の問題が大きかったようだ。学生時代の卒業制作として作ったのでその辺は意識が甘い部分があったんだろう。
スラム街であるこの街の住民のほとんどが黒人で、60年代に起きた「ワッツ暴動」が起きた街として知られてしまっている。スラムを舞台にした作品だが、この作品はことさらにギャングが出てきたり、抗争などを取り上げているわけじゃない。むしろ、市井の人々のつつましい生活をリアリズムで撮り上げ、ささやかな幸せを噛み締める姿を捉えている。
往年のケン・ローチの映画のようなみずみずしさと人々を見つめる温かい視線を持った作品だった。ちょっと危ない遊びに興じる子どもたちの無邪気さと、タイトルの由来となっている、主人公一家の父親が従事する羊の屠処理がとても印象深い。

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杉本穂高

5.0 石川啄木の詩歌を思い出した。

2022年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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Socialjustice

4.0 子供たちの遊ぶ姿

2022年3月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

難しい

≪This is Charles Burnett/チャールズ・バーネット セレクション vol.1≫

何かが起こる出来事や解決する物語があるわけでは無いけれど主人公の淡々としながらもがき苦しむ姿に暗い影がありながら、都市部のゲットーに暮らす子供たちが遊んでいる姿を長尺に映す映像にドキュメンタリーの要素が効果的で全体的に無邪気なイメージが心地良く。

フランソワ・トリュフォー監督作『トリュフォーの思春期』の子供たちを思い出しながらこの作品には子供の権利向上など、チャールズ・バーネットが描く子供たちは大人になった時の将来像すら見えてこない。

羊の解体シーンは思いのほかグロくて、車のエンジンは思った通りの結末で笑えてしまう割に呆気なく。

ヒップホップ前夜、ソウルミュージックが流行の時代にジャズやブルース、オールディーズの音楽が印象的に流れるセンスが良い。

ユーロライブにて鑑賞。

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万年 東一