「体育会気質の描写を受け容れられるかどうかで評価が分かれそうな一作」野球部に花束を yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
体育会気質の描写を受け容れられるかどうかで評価が分かれそうな一作
原作は未読のまま鑑賞した観客による感想です。
「Vシネマの帝王」「顔面凶器」などの異名を持つ小沢仁志を要所要所で登場させたり、話の腰を(意図的に)折る解説(里崎智也)など、実写映像だからこそ映える演出が盛り込まれており、原作未読でも楽しめました。
野球部、というよりも体育会気質の理不尽な側面を一歩引いた視点で捉えつつも、その描写には一抹の愛情も含まれており、単に(ポスターにも掲げられているような)「時代錯誤」ぶりを冷笑する、という作品にはなっていません。とは言え主人公達が経験する野球部における振る舞いは理不尽かつ不合理そのもので、特に亀井(駒木根隆介)の変貌ぶりなど、そのまんま『フルメタル・ジャケット』(1987)のレナードなんだけど…。それらの描写を、共感しないまでも物語の要素として受け容れられない場合は、まず本作を楽しむことは難しいのでは、と感じました。原田監督(髙嶋政宏)が過酷なしごきの合間に時折含蓄あ(りそうに見え)る人生訓を語るところも、おおっ、と納得しつつ、監督がちょっといい人に見えてしまって落ち込む自分が。
これだけ高校野球を前面に押し出した作品なのに、主演の醍醐虎汰朗(黒田鉄平役)も髙嶋政宏も野球未経験だったことが驚き。黒羽麻璃央(檜垣主圭役)は野球大好きみたいだけど。中盤にかけて登場人物が増えてきたんだけど、割と消化しきれないまま終わったので、もしかして続編があるのでは?と期待させる作品でした。
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