「理性と感情のせめぎあい」LOVE LIFE ユウコさんの映画レビュー(感想・評価)
理性と感情のせめぎあい
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細部にまで張り巡らされた設定とストーリー。
訳あり家族に突然降りかかるこれ以上ないような災難。これはきつい。この事件を掘り下げるだけでも濃い話になりそうだが、映画はそれぞれの気持ちの深いところまであぶり出す。
木村文乃演じる妙子の一本気なホスピタリティーは物語の推進力となるが、出色は永山絢斗と神野三鈴の親子だ。自分の気持ちより、周囲に合わせて常識的に親切に振る舞う善人。息子の方が母親よりより理性的であるが、逆にいうと他人と一定の距離を取り本心は見せず、状況で行動を選ぶ冷たさを感じる(けれど誰より犬や猫に懐かれてるのが面白い)
母親は事件で動揺して出た自分の本音を持て余し宗教にすがるがすがりきれない理性の持ち主だ。(それゆえに悩みは解消されない)
優しいが弱いと見えた妙子の元夫は、結構したたかな奴で、お節介なほど親切に見える妙子は大事な岐路ては計算高さを見せる。
世の中は理不尽でままならないけど、折り合いをつけて生きるしかない(それもいずれ破綻するかもしれないけれど、ずるしながらでも今を生きるしかないのだ)
「よこがお」も面白かったけど、どちらもスッキリとした結論を示さないモヤモヤを残したところがいいと思う
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