「【"どんなに離れていても、愛する事は出来る・・。"哀しき物語だが、ラストシーンには人間の絆の大切さを感じた作品。今作は、人と人の繋がり、様々な愛の形を、”痛みを含めて”描いた作品でもある。】」LOVE LIFE NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"どんなに離れていても、愛する事は出来る・・。"哀しき物語だが、ラストシーンには人間の絆の大切さを感じた作品。今作は、人と人の繋がり、様々な愛の形を、”痛みを含めて”描いた作品でもある。】
- 妙子(木村文乃)は、6歳のオセロが強い息子と、再婚した二郎(永山絢斗)の3人で幸せに暮らしていた。
義父(田口トモロヲ)とは、ギクシャクした関係だが・・。(序に言えば義母(神野美鈴)も”私達の孫が欲しいわ・・、とか言っている。)だが、ある日2人は不慮の事故で息子、敬太を失ってしまう。-
◆感想
・今作品は不慮の事故で息子、敬太を突然失った、妙子と二郎の関係性と、夫々の揺れる感情を絶妙に描いている。
- 事故を知った妙子の元夫のパク(砂田アトム)が葬儀場に突然現れ、妙子を平手打ちした後、自分の顔を何度も何度も殴るシーン。
そして、妙子は自らの心の痛みを、身体 の痛みとして感じさせてくれた、韓国籍で聾唖者の元夫パクの面倒を見始める・・。-
・一方、二郎も元カノ、山崎(山崎紘菜)との距離を縮めて行く。
- "何をやっているんだ!"という想いと共に、彼らは夫、妻意外の"誰か"にすがっているのであろうと思った。
妙子が、自分のせいで息子を溺死させてしまったと思い込み、ずっと自宅の風呂に入れない姿。だが、パクに手を握って貰いながら漸く、風呂に入る姿。
一方、二郎は途中から自宅の風呂に入るようになる・・。-
・二郎が言った言葉"俺たち、いつから目を見ないで話す様になったんだろう。"
- 彼は元カノの山崎からも、同じ事を言われている。
目を見ないで話すという事の意味を考えさせられるシーンである。
妙子と二郎は、冒頭から心から、笑わない・・。-
・パクが韓国に"父が危篤だから"と帰るシーン。パクが手話で妙子に伝えた言葉"乗り越えなくて良いんだ。君は敬太君の傍に居れば良いんだよ"
その言葉を聞いて、妙子もパクについて行く。
- この言葉は沁みた。そして、妙子は二郎と、一度距離を置こうと思ったのではないか、と私は思った。離婚も視野に入れていたのかもしれない・・。-
・けれども、パクが韓国に帰った理由は別れた妻との間に出来た息子の結婚式に出席する事が分かったシーン。
ー 妙子は、パクの息子に会った時に、”自分は息子の傍にいなければいけない”と悟ったのであろう。雨が降る中、一人佇む妙子の姿と表情が印象的である。
<今作品は、妙子と二郎の愛、2人と息子の愛を代表として、様々な愛の姿を"痛み"を含めて描いた作品である。
ラスト、妙子と二郎が昼食前に散歩する姿をロングショットで捉えたシーンは、2人の将来の、僅かな光を感じた作品でもある。>