劇場公開日 2022年9月30日

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「タイトルに惹かれず、期待せずに見てみたら、意外と「社会派」で意義深く、面白かった作品。」アイ・アム まきもと 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0タイトルに惹かれず、期待せずに見てみたら、意外と「社会派」で意義深く、面白かった作品。

2022年9月30日
PCから投稿

本作は、2013年製作のイギリス・イタリア合作映画「Still Life」(邦題「おみおくりの作法」)をリメイクした作品で、当初のタイトルも「Still Life」(仮)だったようです。
それが最終的には「アイ・アム まきもと」という、主人公推しのタイトルに変わりました。
その主人公まきもとを演じるのが阿部サダヲなので、阿部サダヲの演技力が大きく問われる作品になっています。
日本テレビの水田伸生監督とのタッグなので「舞妓 Haaaan!!!」や「謝罪の王様」のような派手な演技を想定していましたが、正反対でした。
人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」として小さな市役所で働く人物なので、実直な空気の読めないキャラクターと化していました。
そのため、周りとのやり取りの中で浮いてしまうことで笑えるシーンが生まれる仕掛けに。
また、阿部サダヲとやり取りをする共演者も重要になりますが、これが意外と豪華で驚きました。
これまでの水田伸生監督×阿部サダヲ主演作品とはかなり毛色が違い、あくまで原作と同様に「社会派」を目指した作品となっています。
「孤独死」は日本に限らず世界中で問題化してきていますが、「おみおくり係」のように一つ一つ対応すべきか、大胆に効率化すべきか判断が難しい面があるのも事実です。
ただ、前者の場合でも、まきもとが最後の案件として行なったところまでやると、コストパフォーマンスが悪すぎて非現実的になるわけです。
社会問題の落としどころを考える上でも適した作品だと思います。

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細野真宏