「令和の今にド直球のラブコメを投入してきた勇気には脱帽!!」モエカレはオレンジ色 バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
令和の今にド直球のラブコメを投入してきた勇気には脱帽!!
いつの世にも、それほど枠は多くないが、ティーン向けのラブコメは地位を毎年確立していた。70・80年代の『ピンク・レディーの活動大写真』『シブがき隊 ボーイズ&ガールズ』といった、アイドル映画から始まり、90年代の東宝の「ぼくたちの映画シリーズ」や『新宿少年探偵団』『アンドロメディア』とアイドルプロモーションと少女漫画の映画化の中間を行ったり来たり。
2000年代に入ると、日本映画のネタ切れが深刻化し、そのまま絵コンテのイメージがしやすい漫画を原作とした、少女漫画の大量映画化時代に突入する。しかし、量産されたことで、需要が一気に冷めてしまった。
動画配信サービスが普及したことで、劇場公開しても収益が見込めないティーン向け映画は、劇場公開を諦め、配信スルーに一斉に流れてしまい、一気に過疎化してしまった。
さらに男女平等、フェミニズム思考が強くなっていく中で、男が女を守るといった、時代錯誤にしか思えない内容の作品は、映画化し辛い風潮にある。
ただでさえ偏っていた客層だが、単純にジャニーズやイケメン俳優のプロモーション的なものを観たいという層は、邪魔な恋愛要素より、BL作品に流れる傾向にもなっている。
ストレートなティーン向け恋愛映画は絶滅状態。作るにしても設定がぶっ飛んでいたり、橋本環奈の主演作のような、極端に自虐に徹したラブよりコメディに特化したラブコメでないとウケない。
もしくは、やたらにタイムループのようなSF要素、プラスワンの独自性のある要素がなければなかなか映像化に踏み切れないというのが現状。
そんな中でも、『ピーチガール』『PとJK』『兄に愛されすぎて困ってます』『ハニーレモンソーダ』と松竹は年1ペースではあるが、なかなかストレートなティーン向けラブコメを輩出し続けている。
そして今作も、ド直球なラブコメだ。内容どうこうという以前に、ラブコメを制作し続けてくれる姿勢は評価するしかないだろう。
バラエティでよく見る生見愛瑠こと、めるるというより、Snow Manの岩本照プロモーション的な映画ではあるし、こっぱずかしいセリフのオンパレードではあるものの、これが……悪くない。
冒頭からハイスピードで展開される物語に、若干の不安を感じるし、父親の死との向き合い方が後半雑になりがちではあるものの、意外と内容が詰まっていて、非常に上手くまとまっていて、何より丁度いい!
そして、めるるの素人感あふれる演技(良い意味で)も素晴らしい!!