池袋母子死亡事故 「約束」から3年のレビュー・感想・評価
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【”交通事故は、被害者も加害者も不幸にする。”深い悲しみの中、様々なメッセージを発信し、運転免許更新制度を変えた松永拓也さんの姿には頭を垂れる涙なしには観れない重いドキュメンタリー作品。】
<Caution!内容に触れています。> ー この作品で扱う、元官僚の老人が起こした交通事故は良く覚えている。当初は様々なデマとともに老人が元官僚の上級職で有った事と、只管に事故の原因は”車の故障”と主張していたからである。ニュースで観る松永拓也さんは、常に理路整然と自身に起こった悲劇を繰り返さないように、様々な現行制度を変えるようなメッセージを発信していて、立派な方だな、と思っていた。 だが、このドキュメンタリーを見ると、松永拓也さんが亡き奥さんと娘さんの写真や遺品を見て泣き崩れる姿を見てこちらまで涙が溢れてしまった。松永さんが報道陣の前では毅然と振舞っていた姿しか観ていなかったために、一層その深い悲しみが伝わって来たからである。そして、もし、私の家族が同じように交通事故で被害を受けた際に、私は松永さんのように高所、大所の視点でメッセージを発せられるだろうかとも思ったモノである。- ◆感想 ・このドキュメンタリー作品を見ていると、松永拓也さんが自身の悲しすぎる出来事を、二度と起こすまいと街中に立ち高齢者の自主的免許返納を訴え、39万人を超える署名を集めた事実には、頭を垂れるしかない。 そして、彼の行動は免許更新制度を変えたのである。 ・更に言えば、交通事故だけではない被害者側が、裁判のために仕事を休まざるを得ない現状から”特別休暇”を取得できる制度の導入を求めて厚生労働省に申し入れる姿も、自分と同じ被害者の事を考えての事であり、高所、大所の視点でメッセージを発信する姿には、心を打たれる。 ・松永拓也さんが泣きながら亡き奥さんと娘さんの写真や遺品を整理するシーンは、涙が溢れて来る。カメラマン、インタビュアーも嗚咽している。 松永さんは、こんな悲しみを抱えつつ、報道陣の前では毅然とした態度で自身の考えを語っていたのである。凄い人であると素直に思う。 ・怖いと思った点は、高年齢者の免許問題だけではなく、加害者の男性の家族に向けられた誹謗中傷の言葉の数々である。暗い気持ちになる。 だが、一方、事故現場に建立された碑に対し、多くの人が献花し手を合わせる姿には、救われた気がしたものである。 ■今作でも、少し触れられているが、私は可なり昔から交通事故加害者(特に、スピード違反、飲酒、煽り運転)に対する刑の軽さには疑問を抱いていた。 人を殺しておいて、懲役年数一桁の判決が多いからである。この点は近年法改正が進んでいるが、【危険運転致傷罪】の更なる厳罰化を進めて貰いたいものである。 ・ご存じのように、加害者の元官僚の老人は、最近、刑務所でひっそりと亡くなった。老人は最後まで”車の故障”を主張していたが、禁固5年の刑に対し控訴しなかったからである。 本人も、社会的な地位を築きながら、最後、刑務所で一生を終えるとは思わなかったであろう。 <このドキュメンタリーは、決して気楽な気持ちでは観れない重いモノであるが、免許を持ち車を日常運転する者であれば、観ておきたい作品であると思う。 そして、ハンドルを握ったら、自分の健康状態のチェック、早めの出発、歩行者や他の車に対しても気を配った運転をする、という当たり前のことを今更ながらに再認識させて頂いた作品である。 今作は”交通事故は、被害者だけではなく、加害者側の家族も不幸を齎す”ことを伝える貴重なる作品でもあると、私は思います。>
飯塚幸三、一ミリも反省してない…
松永拓也さんが最愛の妻と娘を失って非常に辛いだろうに、激情に駆られて言葉を発するようなことがなく、努めて冷静に今後同じような事件を起こさないために言葉を選美ながら発言していることに対して尊敬の念を抱く。時々こらえきれず声が震えて涙をこぼしても、飯塚浩三を罵倒するようなこともない。殺したいと思っても仕方ないだろうに。
事故を起こしても免許を返納しようとしない父親に困っているという女性からの相談に、まだ免許を手放したくないという父親をつとめて言葉を選びながら説得している姿には頭が下がる。
被害者遺族が松永拓也さんだったからこそ彼の真摯な言葉に心を動かされ、60万人モノ高齢者が自主的に免許を返納したのだろう。だが、それにしてもここまで思いやりと聡明さを持っている人に対してあんまりな仕打ちではないだろうか。
それに比べて飯塚浩三、「丈夫な車を作って欲しい」発言に加えて、受刑者になってからも、刑務所での生活が決まりが多くて不便だとか抜かしてて、別荘にでも行くつもりだったのかよ。
この呆けた特権階級のおっさんに轢き殺された松永拓也さんのご家族や、怪我を負わされた人々が気の毒でならない。
交通事故の加害者にはもっと重罰が与えられてしかるべきではないだろうか。
上級国民
2人の命を奪ったほか、9人の重軽傷者を出した交通死亡事故。加害者は90歳近い高齢ドライバー、100キロ近いスピードで赤信号に突入。杖をついて歩くのもおぼつかない老人だった。東大卒通産省のキャリア。単なる交通死亡事故ではない。高齢者免許証返納制度や安全運転性能の向上など多くの問題を内包していた。 「プリウスミサイル」という言葉もネット上で広がっている。コンビニに車が突っ込んだりしてると、「ああ、またプリウスミサイルか」などと揶揄されている現実。今は色々とサポカーと呼ばれる安全性能も装備されている車が多い。ただ、この安全運転パッケージもオプションであり、年金に頼る高齢者にはかなりの出費となってしまう。 タクシードライバーをやってるので、交通事故に関しては興味深いし、松永拓也さんのX(元ツイッター)の記事にもけっこういいねを押している・・・こんな映画があったんですね!といった感じで鑑賞。 当初の裁判でも車の不具合を主張していた飯塚幸三受刑者。そんな問題があったなら凄い量のリコールになるだろうな。工学博士でもある彼がなぜバレてしまう不具合(アクセルペダルが床に張り付いていた)を主張したのかも理解できない。まぁ、「老害」という言葉で解決できるかもしれないけど、それがネット上の誹謗中傷となり、加害者家族にまでも迷惑をかけてしまう。家族としても免許証返納を説得した経緯があり、事故前1年くらいは車に乗ってなかったと近所の人の証言もあった。そして加害者家族への支援団体もあることを教えてくれた。 インタビュアー自身ももらい泣きするシーンがあったけど、それに対しても寛容な松永さん。加害者を恨むことより、今後こうした悲惨な遺族を生み出さないためにも法改正を訴えるほど立派な人生を歩んでいる。 映画を見たついでに松永拓也さんのX投稿記事や関連YouTubeを見てしまった。彼に対する誹謗中傷もあったりしたけど、これは許されないなぁ。
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