ゼイ・クローン・タイローン 俺たちクローン?のレビュー・感想・評価
全9件を表示
アタック・ザ・ブロック✕ゲット・アウト=俺らの町(ストリート)から出ていけ!恐ろしいほど面白いSFヘンテコメディ
貧乏黒人のゴミ溜めみたいな町、そんな麻薬街で実験?とんでもなく大胆かつ挑発的、知的で真にオリジナリティ溢れる秀逸な奇想天外SFコメディ。やられた感あった。一見混ざり合わない要素がここでは上手く溶け合って絶妙なバランスを保っている、どころか独創性の上に確固とした世界観と語り口で成り立っている。今年の黒人からのソーシャルコメンタリーを描いたオリジナル作品枠決定。 自分のクローンを見つけたらどんな気分になるだろうか?計り知れない。『ボディ・スナッチャー』パターンに奴らの催眠術なんかにかかって操られたくない、洗脳されたくない。奴らはあらゆるフォームで忍び込んでいる…ぼくら観客の脳内にも知らぬ間に!クローンやそうしたSF要素とは縁の無さそうな売人フォンテーン、娼婦ヨーヨー、胡散臭い"起業家"ポン引きスリックの3人組が、町の下に隠された秘密を暴きに行く。信号色した最高すぎるキャストが完璧。ポスト『アタック・ザ・ブロック』モードで地元でオラついてブイブイ言わせているジョン・ボヤーガ、コメディリリーフな名優ジェイミー・フォックス。 開発や画一化、奪個性の大量生産大量消費社会での日々の繰り返しの中で見つけた自分達らしさは腐ってもホームタウン。これぞアイデンティティ、も脅かされる現代社会だ。ケヴィン・ベーコンか?『インビジブル』。思いついた?嫌がるぜ。クソ科学者どもが地下にいるのか?『ザ・ウォーカー』じゃダメ、『トレーニングデイ』じゃないと。コレが本当のクローン大戦?呪文は、"オリンピア・ブラック"! 勝手に関連作品『アタック・ザ・ブロック』『ゲット・アウト』『ワールズ・エンド酔っぱらいが世界を救う!』 ドラマシリーズ『ブラック・ミラー』『アトランタ』『ストレンジャー・シングス』
タイトルからそうなんだけど、予想も付かない面白さとテーマ!
何の情報も入れないで見たらこの映画のジャンルは何?…と思う。
クライム? コメディ? ミステリー? サスペンス? アクション?
タイトルのとあるワードから“それ”に絡むジャンルへ驚きの展開。サブ邦題が思いっきりネタバレしちゃってるけど…。
黒人が多く住む町、グレン。
そこでヤクの売人をしているフォンテーン。
ライバルディーラーやポン引きとのいざこざは毎日のように。
弟を亡くし、母親は部屋に閉じ籠ったきり。
犯罪、貧困、“外れくじ”のような人生…。序盤はそんなスラム街で暮らす黒人たちの話と思う。
ある日フォンテーンは、ライバルディーラーに撃たれ…翌朝目が覚めるとベッドの上に。撃たれた筈だが、記憶に無いが、一命を取り留めた…?
が、ポン引きのスリックは驚きまくり。お前、幽霊か? 撃たれて死んだんじゃねぇのか?
確かに自分は撃たれたようだ。なのに生きている。記憶もナシ。謎…。
もう一人、その場を目撃していた売春婦のヨーヨーの証言を頼りに、とある家に辿り着く。
その家の内装に似つかわしくないハイテクなエレベーターがあり、それに乗って地下へ。
そこにあったのは、謎のラボ。さらにさらにそこでフォンテーンは、自分の死体を見つける…。
トラブルが起きて一旦この場から逃げる。
翌日再びその家に行くが、謎の地下のラボどころかエレベーターも無くなっていた。
あそこは一体何だったんだ…? あそこにいた“俺”は…? 3人して夢か幻覚でも見ていたのか…?
真相突き止めたいフォンテーンと、忘れようとしたいスリックとヨーヨー。
店でフライドチキンを食べていたら、急に笑い出す。店内の客全員が。
このフライドチキンを食っちゃいけねぇ! 昨日のラボに謎の白い粉があり、このチキンに使われている。
そもそもあの白い粉は何なのか…? 誰が…? 何の為に…?
フライドチキンだけじゃなかった。整髪料、音楽…。
昨日の謎のラボや死体など、この町には恐ろしい何かが隠されている。そんな事を企むのは…、一つしかない。
政府やアメリカという国の大陰謀。
いつもおかしな事を言っていると思っていた浮浪老人。暗示めいたその言葉は実はヒント。
それを頼りに、教会から潜入。地下に広がるは、さらに巨大な施設。
そこで密かに行われていた実験/陰謀とは…。
町人のほとんどのクローン製造。
粉で感情をコントロール。
行く行くは黒人全てを白人化するという、にわかに信じ難い計画。
政府も関与。イカれた役人め。
しかしこの計画に深く関わっていた驚きの人物。
それは、フォンテーン。
フォンテーンはフォンテーンでも初老。
実はこちらがオリジナル。スラムで暮らすフォンテーンはクローンであった…!
にしても、なんちゅーブッ飛んだ話。
下手すりゃ破綻しかねない所を、予想もつかないストーリー展開でなかなか巧みな作品に仕上げている。
クローン化計画なんて、ちょいB級SFの味わい。
ほとんど仏頂面のジョン・ボイエガ、お笑い担当のジェイミー・フォックス、ツッコミ担当のテヨナ・パリス。3人の丁々発止のケミストリーが楽しい。
台詞の端々に通な映画ネタや俳優ネタ。
新鋭監督のセンスもさることながら、本作をただのエンタメに留めていないのは、社会風刺。
人種問題。老フォンテーンがこの計画を始めたきっかけは、弟の死。人種差別によって殺された。黒人たちが殺されていくよりかは、徐々に白人化していって同化。平和の為と言うが…?
スラムで喘ぐ黒人たち。一人消えたって気付かれず、実験台に最適。俺たちは生きる事や存在の価値もないのか…?
否!
スラムの皆で非人道な陰謀に反撃開始!
始終監視している奴らの目を欺き、地下施設に殴り込み!
フォンテーンも自分と対峙。スリックとヨーヨーもピンチに陥るも、俺たちはナメるんじゃねぇ!
ここは俺たちの町。これが俺たちだ!
陰謀は暴かれ…に思えたが、これはまだまだ氷山の一角。
陰謀は別の町、大都市でも。
LA。TVを見ている一人の男。TVに映ったクローンのフォンテーンを見て驚愕。
彼もまた…。
“ゼイ・クローン・タイローン”=“私たちはタイローンのクローンを作った”。
タイトルの意味やタイローンとは誰?…も判明するラストにも衝撃ニヤリ。
これで完結でもいいような、さらに壮大な展開に発展していく続編が作られてもいいような、絶妙なオチ。
何だか、ジョーダン・ピール映画、シャマラン映画、タランティーノ映画を彷彿させる要素を合わせたような。
エンタメ性と社会風刺。あまりにもブッ飛んだ話に好き嫌い分かれそうだが、才と独創性と面白味あり。
個人的には結構気に入った。
あなたの人生。
あなたの町。
そこで恐るべき陰謀があったら…?
あなたがクローンだったら…?
一風変わったBLM…
貧民地区で暮らす黒人を白人に同化させるべくクローン化していくストーリー。奇想天外、SF的?ではあるが、人種問題ある現代において、シニカルに捉えている。だがテンポが悪いと言うか、場面が暗いのと髪型が違ったりするとクローンと中々顔の違いが分からないと感じた。
前半と中盤以降はガラッとテイストが変わる
ジョン・ボイエガの今までのイメージとは違いますね。 ジェイミー・フォックスと共演して いわゆる町のチンピラ黒人を演じました。 前半と中盤以降はガラッとテイストが変わり SFの話になってからのストーリー展開も面白かった。 ただ全体的には作品として何かもうひとつ物足りなさを 感じましたね。もったいない・・・
出鱈目なご都合主義な話だ。微妙な話だと思う。ご都合主義だけど、それ...
出鱈目なご都合主義な話だ。微妙な話だと思う。ご都合主義だけど、それなりに劣悪な現実も残していると思うので、完全否定出来ない。
BLMをシニカルな笑いで
タイムループと思わせて、別な方向に進んでいく展開が面白い。 ジョン・ボイエガのギャングスタイルがめちゃくちゃ決まってる。今後は、悪役もできるんじゃない。 ジェイミー・フォックスは60年代風のソウルファションに身を包んだポン引き役で、ヘタレ気味マシンガントークで売春婦役のテヨナ・パリスとコメディーパートを盛り上げる。 ブラック・ライヴズ・マターを題材にした映画は、主張が強すぎて興醒めしてしまう場合があるんだけど、『ゼイ・クローン・タイローン』は、自虐ネタを含んだ笑いで楽しませてくれる。 はちゃめちゃのラストの中で、驚きの真相も明かされる。SFテイストの上にシニカルな笑いをふんだんにまぶした、なかなか自分好みの作品でございました。
全9件を表示