「前作以上にアイディアと趣向に満ちた快作」ナイブズ・アウト グラス・オニオン 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
前作以上にアイディアと趣向に満ちた快作
ジョンソン監督、お見事!そう声をかけずにいられないくらい、趣向がいっぱい詰まったエンタテインメントの幕の内弁当だった。序盤、ロックダウンの暮らしを描くくだりから、ちょっとした感情の起伏や宅配便を受け取るのにマスクを忘れて慌てて口元を覆う様子に思わず笑ってしまう。みんな日常に飢えている。名探偵でさえバスタブにPCを持ち込んで「Among Us」やっちゃうほど事件に飢えている。この映画はそんな共感から幕を開け、かと思えば、あれよあれよと言う間に前回同様、アガサ・クリスティ風の推理ドラマへと雪崩れ込む。しかしこの映画の本質は何かといえば、やはり「既存の型を踏襲しているようでそれを見事に突き崩している」ところにあるのだろう。随所で豪快俳優や有名人のカメオ出演に驚き、007とは異なるダニエル・クレイグの愉快な演技に笑みが止まらない。謎解き以上に魅せる大胆不敵な筋書きとケレン味に胸がスッとする快作だ。
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