ザ・ホエールのレビュー・感想・評価
全186件中、101~120件目を表示
自分で納得する人向き
決して面白い映画ではないので、人に薦めることはできません。
よくある「何言いたいんだかよくわからない」作品です。「いや私はこう感じた、深い」的な人にはウケるが、「何言いたいんだ、これ?」っていう方が正常な反応です。
話は単純で、要するに屈折した家族愛が主題ですが、各人の行動や考え方の根拠に共感できない、てかサッパリわからないので終始他人事として傍観せざるを得ません。
映画技術的には一軒の家の居間に限定された空間に、気弱でオドオドしたお父さんと入れ代わり立ち代わり登場するヒステリーな女性たちのコントラストを、照明を落とした暗い画面に重苦しく演出した、ということろです。まあ、ひとことで言えば「くらーい映画」
確かにお父さんは畢生の大熱演ですね。
Be honest!
あ〜この人見たことあるな〜誰だっけ〜?ああ、そうそう、ハムナプトラだ。すごいな〜役作りなのかなぁ〜?え〜?あぁ、特殊メイクか〜。いや、なんかそれもすごいな〜。ホエール???鯨だっけ???いや気になるよな〜これ。
ってな感じで、とくに前知識もなく、レビューも読まず鑑賞。
テレビのドキュメンタリーだったりバラエティー番組とかでたまに見るような、ソファーから立ちあがるのも歩くのも困難な巨体の男の人。なかなかリアルでその生活は見るほどに苦しく、切なく、辛くなるほど。
チャーリーは本来とても前向きだし、何とも穏やかで素晴らしい知性の持ち主である。だがしかし、そんな彼が"おぞましい"姿になってしまったきっかけは愛する人を亡くした喪失感からという。どんなにも強い悲しみだったのか。
その愛する人のために捨てられた妻、8歳の娘。死期を覚悟したチャーリーは高校生になった娘に会うが、娘の心は嫌悪に満ちていて邪悪なゆえチャーリーを受け入れることができない。しかしあの、人を不愉快にさせる饒舌っぷりは、まさしくチャーリーの知性を受け継いだものであろう。彼女は邪悪と言うより、実はとても冷静で正直者なのだ。
何よりもリズ。リズがすごい。亡くなった兄が愛したチャーリーを献身的に支える姿に心が震えた。リズにありがとうと言いたいし、私の中でリズは助演女優賞獲得である。
最後に、チャーリーが娘にとって正しいと思えることが伝わったと感じることができて、やっとホッとできた。
巨体だからホエールなのかと鑑賞前は思ってしまったが、そうか、娘のエッセイのことだったのか。泣かすな〜。
鑑賞が終わってシートから立ち上がる時、私はすっかりチャーリーになっていて、すごい決意を持って立ち上がったような気がした。
おぞましい:接する状態に恐怖・嫌悪を覚え、そこから逃れたい、いやな思いだ。
翻訳の松浦さんは、チャーリーが自分の姿をとらえた人に問いかけた言葉に"おぞましい"を表現した。すごくそこに深みを感じた。
人生で一度正しいことをした
クジラがモチーフ
この映画が『ザ・ホエール』というタイトルになっているのは、クジラがモチーフになっているからである。クジラに例えられているのは主人公の体重272キロの巨漢チャーリー、そのモデルになるクジラはアメリカの作家メルヴィルが著した長編小説『白鯨』に登場する白いマッコウクジラである。8歳の時捨てられたチャーリーの娘エリーは10代半ばで『白鯨』を読んでエッセイを書いた。このエッセイをチャーリーは何度も読み返すほど心の拠り所にしていて正直な気持ちを吐露した文章だといって激賞している。
『白鯨』というのは、次のような内容のものである。語り手のイシュメイルが捕鯨船に乗りたくて港町にやってきて、黒人の銛打ちクィークェグと出会い、一緒に捕鯨船ピークォド号へ乗り込む。船長であるエイバブは、かつて白鯨に片足を食いちぎられた過去を持ち、義足を装着していて、その復讐に執念を燃やしている。数年にわたる捜索の末、白鯨と対峙するが、船は沈没させられ、イシュメルだけが生還する。
一方、それに対するエリーのエッセイというのは、次のような内容のものである。クジラには感情がなく、船長エイバブがどれだけ復讐心を燃やそうとそれが伝わらない悲しさがある。エイバブはクジラを殺せば人生が良くなると思っているが、実際はなんの意味もない。クジラだけの描写の章はあまりにつまらなくて悲しくなった。作者(メルヴィル)は自身の悲しい物語を通して少しだけ読者を救おうとしている。『白鯨』を読んで、自分の人生について考えさせられ、良かったと思えるようになった。
大学のオンラインエッセイ教室の講師であるチャーリーは、娘には書く力があり、その文章に娘の持つ知性と誠実さを読み取った。
偶然にも今月からカルチャーセンターのエッセイ教室に通うことになった。正直に書くことがなにより大切ということを肝に銘じたい。
これを映画的と言わずしてなんと言う
恋人に先立たれた主人公は、その喪失感を埋めるために、暴食に走る。
夫に捨てられた元妻は、シングルマザーの重圧と世間の目を紛らわすために、酒に溺れる。
父に裏切られた娘は、二度と傷つかないために、人間をロクデナシと切り捨て世界を攻撃する。
兄を失った妹は、兄の恋人の面倒を見ることで、兄に何もしてやれなかった自分をなんとか保つ。
間違いを犯した若者は、神による救いを授けることで、自分の行動を正当化しようとする。
みなそれぞれ、単純化された行為によって自身が救われると思い込んでいる。鯨を殺せば人生がよくなると思い込んでいるエイハブ船長と同じように。
だが、そうはならない。なぜならそこには感情がないからだ。
この世で救いを得る方法はただ一つ。感情を持った相手に正直な気持ちを表明し、本心で対話すること。
それが成されたクライマックス。今までネガティブだった様々な事柄、その全てが一気にポジティブな方向へ動き出す。
説明セリフもなく、映像のみで表現されたこのラストシーンこそ、映画的と言わずなんと言うべきか。
こういう瞬間に出会うために映画を見続けていると再確認させられた。現状今年ベスト
見応えのある作品
来日舞台挨拶
謝罪する男と怒れる人々の話
ラストが秀逸!
演技の迫力 引き込まれる世界観
主演男優賞とメイク賞を取ったという事しか知らずに視聴。
有名な小説「白鯨」がでてきてタイトルはあぁそゆことかと思って見ていたが最後でも更に納得。
豚などではなく、確かに「鯨」でした。
ブリーチングというらしいです。
本当にどうやってメイクしてるんだ?
動きもメイクも本物そのものでした。
そして話の内容だが、
失恋を食べる事で埋めたことで着いてしまった脂肪。
それにより引きこもり生活をする男の話なので、本当に一切外のシーンがなかった。
回想シーンや玄関でのシーンはあるが外の景観も分からず、拘りを感じました。
個人的に陰で人が通ったのを確認してるシーンとか特に好きです。
本当にいろんな気持ちになりすぎて感想がまとまらないけれど、一言に纏めるなら主演のブレンダン・フレイザー演じるチャーリーからは、死期が近い男の迫力がかなりすごく見ていて圧倒されました。
本当に凄かった。
エリーはどう育ったのかなぁ‥
なるほどなー
ホエール、吠えーる
「エブエブ」が作品賞を受賞"してしまった"、2023年のアカデミー賞は駄作だらけ、最悪の年だと思っていたのだけど、本作はめちゃくちゃいい映画だった。A24の作品の中でもトップクラスで好きかも。主演男優賞も、メイクアップ賞も大納得です。この作品以外考えられない!ってのは、実にパラサイトぶりかも。作品賞もこれで良かったと思うんだけどなぁ。
272キロの巨体を持つ男が主人公ということで、一部回想シーンを覗いて、彼の自宅のみで起こる物語。最近流行りの密室ワンシチュエーションもの。画はずっと変わらないため、結構飽きたり中だるみしたりしそうだけど、不思議と目を離さず見れてしまう。それは紛れもなく、本作で主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザーの圧倒的な演技力のおかげ。
可哀想でみすぼらしい姿でありながらも、自分の失敗を悔やみ、とある理由で病院へ行くことを拒む強い信念。こんな状況でありながらも、ポジティブで前向き。なんと言葉にしたらいいか分からない。彼の過去の経験と少し重なる部分があるためか、とても演技とは思えない葛藤や苦しみが体現されていた。おデブさんの虚しい物語に留まらないところが、本作と彼のすごいところ。監督やフレイザーがこの作品を通して伝えたいことが明確に示されており、観客は制作陣の強い思いに胸が痛くなるほど苦しく、悲しくなる。
しつこいようだが、ブレンダン・フレイザーの演技力が本当にすごい。ジョーカーぶりの衝撃。どうしてここまで心を掴む演技が出来るの?なぜ、狂気と優しさを抱えた難役を、これほどまでに自分のモノに出来るの?ラストには鳥肌が止まらなかった。思い出しただけでも、震えが止まらない。この作品が絶賛されるのは紛れもなく、彼がいるから。介護士の友人、娘、そして元妻との会話に胸に胸が打たれる。一つ一つの会話が辛くて、印象深い。近年ドラマのベストだ。近年アカデミー賞受賞作品のベストだ。
色々と考えさせられるものがこの作品には詰まっている。そういう面から何度観ても見応えのある作りに仕上がっていて、そこが高評価に繋がったんじゃないだろうか。久しぶりにオスカーと意見が一致して嬉しい笑 万人受けするかは微妙だけど、私はかなり楽しめました。ストーリーは平凡で、物足りなさはあるけれど、すごく重厚感のあるいい作品です。ぜひ、劇場で。
感情を完全にもってかれた。
いわゆる密室劇で、パーソナルな物語。舞台劇のようや小さな設定に「人は人を救えるのか」といった重いテーマは、登場人物たちの演技力に、前のめりで見入ってしまうほどの迫力を感じられた。レトリックや伏線が重ねられて複雑にも思えるけど、軸はブラさずにエンディングに進んでいく流れは好印象。しかもポジティブに。久々にいい映画を観た。
末路
ブレンダン・ブレイザーの演技は見事だが?
アカデミー賞作品賞候補だったザ・ホエールは
主演男優賞ブレンダン・ブレイザーの演技は素晴らしかったが、作品全般からすると分かりづらく、作品終盤でやっとこの作品のポイントが見えてきただけにもう少し分かりやすくしてほしかった。観た感触がイニシェリン島の精霊を観た時と同じ感覚。題名がそのままこの作品のキーワードとなっているし、英文学に関心がある方は興味深く鑑賞できる内容。物足りなさは残る。
全186件中、101~120件目を表示