ザ・ホエールのレビュー・感想・評価
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鑑賞動機:ダーレン・アレノフスキー5割、フレイザー久しぶり!5割
今のボディスーツってこんな本物みたいなんだ。シャワーシーンも普通にゴシゴシ洗ってて、少なくともスクリーン上で観る限り、フレイザーが実際太ったと言われてもわからないくらい。
劇場で見逃してたので、観られてよかった。アレノフスキー監督にはひどい目に合わされているので、ストーリーの行き着く先は予想できることもあり、また心を折られる鬱展開を覚悟してはいたけれど…。
血圧の測定値にドン引きする。倍じゃないですか。回想以外はほぼ室内だけど、小道具など色々と細かいところまで気配りされてる。
あ、OUP の収載誌を見てる。どうせならPubmed を調べてたどり着いてほしかった。(無茶振り)
このエンディングがいいかは正直わからない。でもチャーリー/フレイザーの渾身の歩みからは、少なくとも前半にはなかった強い意志が感じられて、深く心動かされた。
米国の中産階級の下の方の人々を描いた映画
肥満が世界的に問題になっている現在、272キロの巨体の男を映像で見るだけでも価値がある。過食と言っても、どんな食事をしたらこんなに太れるのか、日本人には想像できない。
主人公は、米国の大学のオンライン講師をしているが、生活レベルは中産階級の下の方で、健康保険料が高いので、無保険状態。治療費等が高いので、元パートナーの妹(看護師)に面倒を見てもらっている。職業柄、貧困層になれないが、他の職業なら収入を減らし、貧困層になった方が生活は楽。貧困層になれば、食料援助、健康保険が安く入れるなど、社会福祉が手厚い。
このことは、米国だけでなく、先進国共通の問題で、日本においても、「納税者は4割減税、未納税者は7万円給付」など、貧困層になった方が社会福祉は手厚い。
この映画の登場人物は、ほとんどが、中産階級の下の方で、ギリギリの生活をしている人々の様子がよくわかる。
この映画は、米国が抱えるいろいろな問題を垣間見ることができると同時に、今後の日本が直面する問題でもある。
disgusting
予告編からある程度想定はしていたが、
冒頭の設定自体から個人的には全く受け入れられない。
よって、主人公に微塵も同情しないし、わかろうとも思わない。
これはキリスト教の宗教観とか以前のアイデンティティの問題だ。
観終えて不快感すら残らなかった。
主演俳優は熱演だった。
それだけの評価。
キリスト最後の5日間
チャーリーは巨漢だが決して特別な存在ではなく、私たちと同じく、善人でも悪人でもないグラデーションの中にいる。
“一見普通ではない”人物の内面を深く掘り下げ、一人称で語ること。それは異質なものに背を向け排除しようとする不寛容な現代に、とても重要な問いかけである。
イエス・キリストは自らの無惨な姿を晒し、原罪を一身に引き受けて十字架に掛けられた。身動きできなくなったチャーリーそのもの。これはキリストの最後の5日間を描いた物語。
うまく昇天できないシーンから始まり、カラスを養い、七つの大罪を引き受け、ダンによるジャッジがくだり、最後の晩餐、そしてついに昇天する。
そうしたキリストのモチーフを軸にしながら、『白鯨』を見事に呼応させ、現代社会にメスを入れる。
復讐に取り憑かれたエイハブ、攻撃を受け続ける鯨。そして悲しみを先送りにする語り手=イシュメール。
制御できない依存と怒り、他者の視線と自分から攻撃され、それを先送りにしながら少しずつ死んでゆく精神。それが我々の原罪性であり、我々の社会構造そのものが内包する地獄である。
あの海辺で正直に生きることを決意したチャーリー。怒りと喪失感で鯨(精神)を殺すことが人生ではないと悟ったエリーの姿を見て、思い残すことのなくなったチャーリーは昇天した。
言うほどおもしろくない
ブレンダン・フレイザーが実は業界内の性被害を受けていたとか意外なサイドストーリーも暴露されてて、どんだけ示唆に富んだ映画なのかしらと期待してたけど、何だかゴニョゴニョもちゃもちゃして、上質人間ドラマ気取っただけのやつでした。一番の戦犯は娘じゃないかね。何だか下手な演技でいつもキリキリしてて、母親が出てきて彼女は邪悪って言ったときに、あぁなるほどと腑に落ちたのに最後何かいい子になった?こいつはダメだ、ストレンジャー・シングス程度のドタバタキッズドラマレベルの女優だわ。ブレンダン・フレイザーの復帰に泥を塗りました。あとこの小さくもちゃもちゃした感じはもともと舞台劇だからなのね。そもそも映画化が間違ってたかもね。
壮絶。ブレンダンが素晴らしい。
壮絶。そのひと言につきる。
死期を間近に友人や娘や来訪者を通じて振り返る過去が苦しい。自分が望むものを追ったことで傷つく人がいたことを思い悩む姿。死に向かっていく姿。ピザを貪り食う姿も目に焼き付いている。
ブレンダン・フレイザーはこの役を演じるている間は270kg超の巨体を作る特殊メイク以上に心が削られたのではないかと思うし、だからこそ改めてオスカー受賞が嬉しい。そしてオスカーは逃したもののノミネートされたホン・チャウも本当に素晴らしかった。
日々を知らないくせにお前は美しい賢いめちゃくちゃ最高、果てにはおれ...
日々を知らないくせにお前は美しい賢いめちゃくちゃ最高、果てにはおれの最高傑作とか言われてもね…
300キロ弱を維持しようとしたら毎日ピザをホール2枚は痩せてしまうのでは?🥺
涙が止まらない感動作😭💗
池袋・新文芸坐にて鑑賞。
(リニューアル後初めての新文芸坐)
予告編は見ていたが、序盤は、やはりブレンダン・フレイザーの極度の肥満に圧倒されつつ、彼の娘への愛情あふれる姿に、感動の涙が止まらなかった😭💗
チャーリー(ブレンダン・フレイザー)は恋人アランを亡くしたショックで極度の過食症となったことから、身体的にも超肥満となり、食事がつかえたり喘鳴も聞こえたり…と先が長くなさそうな状況。
そんな彼を看護師として支えようとする女性、8年前に「恋人のために家を捨てた父親」と再会する娘エリー(セイディー・シンク)などがチャーリーの家に来る。
娘エリーは、大好きだった父親に見捨てられた「愛情の裏返し」のような態度で、父親チャーリーに辛辣な言葉を投げかけ、キツイ態度を取り続ける。
そんな娘を見るチャーリーの表情が柔らかく、「あぁ、本当に娘を愛しているんだな」と思う。
本作は今年(2023年4月)に日本公開され、当時Twitterでも贔屓のフォロワーさんが「この映画を観て、朝から涙しました」というコメントを見て、行こう行こうとしていたのに春先に見逃していた映画。ようやく名画座で鑑賞。ホントに涙が止まらない感動作でした。
今年を代表するヒューマン・ドラマの傑作!💗✨✨
<映倫No.49569>
こんなに心が震える作品なかなか出会わない
ボーイフレンドを自殺で失い、過食症になった男性とその娘の絆の再生のお話。
主人公には心惹かれたボーイフレンドと一緒になるために捨てた妻と娘がいた。
主人公はずっとそのことを悔いており、特に娘のことが気掛かりであった。
演じる俳優はブレンダン・フレイザー。
ハムナプトラを当時擦り切れるくらい再生していた私個人としては思い入れのある俳優の1人だ。
彼が演じた主人公チャーリーがメルヴィルの小説の白鯨に例えられていたのが印象的。
劇中、空中に投げられたノートパソコンの衝撃そのまま心に喰らったものがあった。
正直さを何より重んじた彼の主張に習って言いたい。
こんなに心が震える作品なかなか出会わない。
文句なく今年出会った洋画のベスト。
感情移入のしようがない主人公の末路
ダーレンさんが得意な主人公が酷い目に合うシリーズの最新作!
レクイエムフォードリームやブラックスワンやレスラーなどほぼ全く一緒のテーマとオチでやり続けてますが
自分は肌に合っていて、ホモだちと一緒になる為に離婚して嫁と娘をブン投げてホモだちが自殺したからって過食症になり今更娘と和解したいとか普通にお前が一方的に悪いし同情出来ないしなんなのよってなるとは思いますがブレンダンの顔演技と看護師(実は自殺したホモダチの兄弟!)もナイス演技だしツンデレ娘もですが演技はめちゃくちゃ良かったです!
ラストは想定内の展開なんだけどあのラスト5分は映像と演技と演出が上手く噛み合っていて見終わって2日くらいフラッシュバックするくらい強烈な体験しました。
この作品て共感出来る訳の無い身勝手な人間のブーメランで自業自得な主人公の話なのでその観点で見てる人の評価は大抵が低評価だとは思います!
ブレンダン・フレイザーの悲しみに溺れる
どうしてこんなにも悲しいのだろう。
醜く太った体で、自分の脚で体を支えることはおろか、
笑うことも泣くことも食べることさえ満足にできず、発作を起こして死にかけている。
こうなってしまうまでの過去が、チャーリーの部屋に訪れる人々との会話劇から明かされていく。
各々が問題を抱えながら、全く完璧ではない人生を生きてきたことがわかる。
エリー(娘)のぶつけどころのない苛立ちが、その口から放つ言葉の辛辣さや、過ぎた行動から伝わってきて、
見ている側まで切り付けられているようだ。
愛する人を失った心の隙間を暴飲暴食で埋め続け、人生のバランスを崩したチャーリーが自責と贖罪の念に苦しみ、それでも死ぬ前に何かを成し得ようとする姿は、あまりにも人間臭くて、不器用だ。
その深い悲しみと優しさを湛えた眼差しに、これ以上傷つくブレンダン・フレイザーを見ているのが辛くて、
なんと私はラスト15分を残して映画館を出てしまった。
あのチャーリーの悲しみの表情に、胸を打たれまくってしまったのだ。
明日もう一度、終わりを見届けに行こう。。
一部屋内での会話劇
試写会にて鑑賞🎞
2023年のA24作品は熱い。
アカデミー賞も受賞しており、非常に期待値が高かったが、見事にその期待を超えてきた。
男が過去に逃げ出したものたちと、真正面から対峙するまでを描いた作品。
終始アパートの一部屋内での会話劇。
なのにも関わらず、全く飽きを感じることはなく、物語が進むほどその世界にのめり込むことができた。
主人公を演じたフレイザーがインタビューで、「自分の限界を越えて深く掘り下げ、私のすべてを見せたつもりだ。それがこの映画に焼き付いているよ。」と述べていたが、まさにその通りであった。
身も心も削り、全身全霊でこの作品を創り上げてくれたのだと感じられた。
登場人物について
初めはそれぞれかなりの癖者のように感じるかもしれないが、話が進んでいくうちに、誰しも共感できる部分が多く見つかるのではないかと思う。
とびきり善人がいるわけではないし、とびきり悪人が登場するわけでもない。
"グレーなゾーンで生きる大多数の人々"をとてもリアルに描いた、共感性の高い作品であったことも驚きの一つであった。
ストレンジャーシングスファンでもある私の超個人的感想としては、口の悪いセイディー最高に可愛かった。ブラックジョークが止まらないセイディー最高に可愛かった。
何はともあれ、私の乏しい語彙力でこの作品の魅力を語るには、あまりにも限界がある。
「とにかく観て。」もうこの一言に尽きるかもしれない。最高の作品。
『白鯨』を読み返したのち、もう一度映画館で鑑賞したいと思う。
肉体の変容は死に向かう、しかし。
人が人を救うとはどういうことなのだろうか? 誰かを苦境から救いたいと思う時に生じる憐憫の情、正義感。
そして同時に生まれるのは、救い手と救われる人間との間に生まれてしまう上下関係、支配関係、優劣関係。
救おうと思ってる人間は、対象者が自分が置かれてる状況より酷い環境や不健康であることを理由に、そこから脱するために手を貸そうとする。
本作の主人公チャーリーは、自らの足で歩行できないほどの巨体の持ち主で同性愛者である。アメリカでは、肥満であることが自己管理できない人、無能な人、という評価をくだされ、侮蔑され社会の落伍者として見られることが強い国と聞く。ゆえに大学のオンライン講師としてエッセイライティングの授業を受け持つチャーリーは、オンライン授業中、常にカメラをオフにしている。配達ピザももちろん置き配だ。
介護者のリズの手を借りなければ生きていけない不自由な体を持ち、突然の訪問者である宣教師にゲイムービーで自慰を目撃されるという羞恥の塊のようなチャーリー。
では彼は、誰かに救われるべき人間なのだろうか。
彼は、自分の心に正直だ。
かつて、女性と結婚をし子を持っていた。しかし、同性の教え子と恋に落ち、家庭を捨てた。深く愛したパートナーのアランが不幸な出来事によりこの世を去ったあと、チャーリーはその悲しみに耐えきれずに、その心の空洞を埋めるかのように食べ続け、彼は鯨のような姿になった。
動植物が、生存のために環境に適応すべく体を変容させるように、彼も自分を保つために体を変容させたのだ。
しかし、自然界を生きる動植物のその変容は種の保存なのに対し、彼のその変容は明らかに死に向かっている。
本作は、その彼がこの世から旅立つまでの五日間の物語。
私たち観客は、その五日間の彼の生活に寄り添うことで、彼が決して誰かに救われなければいけない落伍者でもなく、自身の生を、彼なりの自然な形で真摯に全うしようとしてることに気づくだろう。
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