劇場公開日 2024年12月6日

「どんな行動を取るかの選択は誰にも奪われない」ホワイトバード はじまりのワンダー AZUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5どんな行動を取るかの選択は誰にも奪われない

2024年12月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

大好きな「ワンダー君は太陽」のスピンオフ。
けれど特に前作を見なくても、話の核やメッセージは捉えられる作品になっていると思う。

ワンダーファンは、前作のようなハートウォーミングなストーリーや展開を期待していたら、少し驚いてしまうかもしれないけれど、元々この時代背景の映画が好きな私は大満足な作品でした。

普通に生活していただけなのに、否応もなく人間狩りの狩られる立場になっていく恐怖はどれほどの恐怖だったか、あの時代のユダヤの人々の気持ちを思うと本当に苦しくなる。

この時代の作品を見るたびに、私がこの時代に生きていたら、どんな行動や判断を取るだろうと考えてしまう。
憎悪や偏見に染まることは容易くて、大多数がそうなる中、優しさや他者を思う気持ちや、自分の身が危うくなっても正義を貫く人間でいられるのか。正直自信がない。

サラが経験した、人生で1番恐怖と悲しみを味わったあの時期でのジュリアン一家の優しさには涙が出た。どれだけ彼女の希望になり光になったか。
優しさとは1番の勇気、優しさは残り続ける、優しさとは何かを心に刻み込まれるような、覚えておかなければならないと思わされる作品だった。

闇や闇では追い払えない。闇は光でしか追い払えない。今世界で闇が襲ってきて助けを求めている人々が、どうか光でその闇が消え去りますように。私もその光を放てる人間になれますように。

AZU