「ジュリアンのようなジュリアンになれ」ホワイトバード はじまりのワンダー コビトカバさんの映画レビュー(感想・評価)
ジュリアンのようなジュリアンになれ
『ワンダー 君は太陽』の続編かと思って特に下調べもなしに観たら、はとこくらい別のお話。
自分のしたことを反省し、何もしないという選択をしたジュリアンに、おばあちゃんが昔話を始めることで、これからの彼の生き方に影響を与えるであろう結末は予想できた。
しかしそこまでの命懸けの道のりが素晴らしかった。
収容所送りから逃れる映画はいつもハラハラする、今作はおばあちゃんの少女時代の話だと分かっていても。
あの夜の列車はどの映画を観てもなんだか不安になる。
映写技師もやってるジュリアンがプロジェクションマッピングのような風景を見せるシーンは、光が綺麗でとても好き。
納屋が世界の全てになってしまったサラに、恋心ダダ漏れながらも勉強を教えたり、少しでも楽しく過ごしてもらおうとするジュリアンが、健気で可愛らしい。
"外に出る=死"という状況の中で、真夜中の森のシーンは幻想的で美しいけれど、人種的というか民族的な違いか、もっとぎこちない方がピュアな感じで良かったかなぁ。
戦禍を生き抜いたサラに触発された孫ジュリアンが、顔を上げ自分の意志で前に進む。
良い映画だった。
コメントする