「月は無慈悲なはりぼての女王」ムーンフォール レントさんの映画レビュー(感想・評価)
月は無慈悲なはりぼての女王
月が突如その軌道を外れて地球にせまってくるという。植民地の月で独立運動が起きて地球に戦いを挑むというハイラインの「月は無慈悲な夜の女王」が映画化されると聞いていて、てっきりその映画化と思ったら全然違った。エメリッヒにハイラインは荷が重すぎるよね。
人類の祖先である古代文明人が人工物である月を作り、子孫を地球に残したのだという。月は中は空洞のはりぼて。しかしかつて人類を滅ぼしたAIにより月の軌道が外れて、あわや地球へ落ちてくるといった内容。
相変わらずのCGによるカタストロフ映像だが、よりリアルな描写、特に津波の映像などは「ディープインパクト」の頃よりかなりリアル。日本の3.11の映像も参考にしてるのか。でもやはり物語に深みがなく最後まで興味を持続するのは厳しい。
エメリッヒを否定的に評する意見で段取り映画とよく言われる。フィルモグラフイーにディザスタームービーが多い監督だが、本作はその中でもこの段取り感が際立って目立っていた。
こういう事態が起きればこうなりますよ、人々はこう行動しますよという映像が観客の想像通りにまさに段取りをただ消化していくためだけにスクリーンに映し出される。すべて段取り通りに事は進んでいくので観客には驚きもなく刺激も何も受けない。ただ死んだ目でスクリーンを虚しく見つめるだけである。
まあ、本作は全然見る気がなかったんだけどAmazonプライム会員で動画が見れるということを今まで知らなくて、今回慌てて見たという感じ。もう何年も会員だったのに。
無駄にCG映像には金かけてるけど、トランスフォーマーシリーズみたいにスポンサー商品を本編で映して広告収入から制作費をねん出したんだろう。レクサスの映像なんかほんとわかりやすい。